モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「変な家」感想ネタバレあり解説 家よりも流れや設定や演出の方が変!!

変な家

どうもこんにちは渡辺篤史です。

今回ご紹介する建物は…って、知らねえ人多いかw

 

なんか子供のころ、日曜の朝くらいに人んちの家を見て回る「渡辺篤史の建もの探訪」って番組がありまして。

親と一緒にダラダラ見てた記憶があるんですよね。

住んでる人のこだわりとか工夫とか、家を作るうえでどういう住処にしたかったのかを伺いながら楽しむんですけど、あれまだやってんのかな?

 

今回観賞する映画は、そんな家にまつわる怖そうな話。

家を設計するうえで欠かせない「間取り図」をよくみてみると、「ここ変じゃね?」って疑問から追及、そこには作った人の意図が隠されてるようなんだけど…という。

 

僕自身、住んでる家の間取りなんてそこまで気にしてなかったんだけど、この映画を知って以降、妙に天井が出っ張ってる箇所がやけに気になり始めましたw

なんでここだけ飛び出てるの??ってw

それも作った人の「意図」なんでしょうか。

とにかく早速観賞してまいりました!!

 

 

作品情報

白いお面を被って画面の前に姿をさらすYouTuber・雨穴(うけつ)

彼が手掛けた元の動画はネット上で瞬く間に拡散され総再生回数は1500万回を突破するほどの人気を呼んだ。

一見普通の民家の「間取りに不可解な点がある」と相談から進んでいく動画は、間取りを注意深く見ていくと次々と謎が謎を呼び、その裏に隠された驚愕の真実に迫っていく。

それを基に、動画の続きを本人が加筆して誕生したのが、小説「変な家」だ。

 

70万部を超えるヒットのほか、朗読劇まで催されるほどの人気を博した原作を、「エイプリルフールズ」や「ミックス。」などを手掛ける石川淳一監督の手によって実写映画化となった。

 

オカルト動画クリエイターと変人設計士がバディを組み、違和感だらけの間取りのある部屋の謎を導く中、死体遺棄事件や謎の女性らが登場することで、さらに深い謎を生み出していく。

 

東京リベンジャーズ」や「ある閉ざされた雪の山荘で」などで活躍する間宮祥太朗や、「さがす」、「リボルバー・リリー」の佐藤二朗、朝ドラ女優を経験し、さらなる活躍が見込まれる川栄李奈、そしてCreepy NutsDJ松永石坂浩二斉藤由貴髙嶋政伸、根岸季衣、瀧本美織、長田成哉などが出演する。

 

 

一見ごく普通に見える家でも、間取りを見れば「違和感」があるかもしれない。

果たして作り手の意図は、謎を探る彼らにどんな災いをもたらすのか。

 

 

 

あらすじ

 

“雨男”の名前で活動する、オカルト専門の動画クリエイター・雨宮(間宮祥太朗)は、マネージャーDJ松永)から、引越し予定の一軒家の間取りが“変”だと相談を受ける。

 

そこで雨宮は、自身のオカルトネタの提供者である変人設計士・栗原さん(佐藤二朗)にこの間取りの不可解な点について意見を聞いてみることに。

次々と浮かび上がる奇妙な“違和感”に、栗原さんはある恐ろしい仮説を導き出す。

 

そんな矢先、ある死体遺棄事件が世間を騒がせる。

その現場は、なんとあの【変な家】のすぐ側だった。

事件と家との関連性を疑った雨宮は、一連の疑惑を動画にして投稿することに。

 

すると、動画を見た「宮江柚希(川栄李奈)」なる人物から、この家に心当たりがあるという連絡が入る。(FasionPressより抜粋)

youtu.be

 

 

登場人物紹介

  • 雨男/雨宮(間宮祥太朗)…オカルト専門の配信をする売れないユーチューバー。マネージャーからある家の間取りについて相談を持ち掛けられ、栗原をバディに“変な家”の真相解明に動く。

     

  • 栗原(佐藤二朗)…雨宮と共に間取りの謎に迫る設計士。ミステリーの愛好家で、冷静沈着だが一風変わった妄想家。雨宮とバディとなり不可解な間取りの謎を解明していく。

  • 宮江柚希(川栄李奈)…物語の鍵を握るヒロイン。雨男(雨宮)がアップした“変な家”の動画をきっかけに雨宮や栗原と共に行動するようになり、その間取りについて心当たりがある様子の謎めいた女性。
  • 柳岡(DJ松永(Creepy Nuts))…雨宮に間取図の相談を持ち掛けるマネージャー。

 

 

感想

「多分殺人犯一家ですね」…いやいやいや、その線で探るよりも別の選択肢を選ぶでしょ普通w

後半まさかの横溝正史でガンニバルでゲゲゲの謎な展開で、そっちの方が楽しいです。

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

家よりも流れが変。

建てられた家には住む人の意図があり、秘密や闇がある。

そんな「知りたい欲求」に駆られ闇に足を突っ込んでくYouTuberのバズり欲しさが垣間見えた物語。

 

・・・という、数字やインプレッションを優先したツケを見せることができれば、広告収入のためなら何でもオッケーな連中に注意喚起ができることができればそこそこいい話だったなぁというのが率直な感想。

 

じゃあ全くそうでもなかったのかといわれるとそんなことはなく、しっかり雨宮はバズ欲しさにしっかりツケを払ったような物語ではありました。

 

冒頭、マネージャーから見せられた物件に違和感を持ち、興味を示した雨宮。

確かに変な箇所に空間があるので、実際ここに住んでみたいかと言われると、俺も嫌だなぁという気分になる。

しかし、その後登場した設計士の栗原の指摘で、さらに気味が悪くなっていく。

2階の子供部屋には窓がなく、しかもその部屋を別の部屋が囲むような間取りになってるじゃないか。

こ~わ。

 

・・・いや、待てよ?

これ最初の小さな空間よりも明らかにすぐ気づくべきポイントなんじゃないのか?

いきなりツッコみたくなったシーンでした。

 

そして個人的に最大のツッコミポイントは、栗原による妄想。

あらかじめ妄想なのだから信じなくても良い話なんだけど、どう飛躍したらファーストルックで「殺人犯一家」だとか妄想できるんだ。

しかも雨宮がそれを真に受けちゃうんだから困ったもんだ。

 

例えばその小さな空間がないと家を支えることができないとか、「物置」を表記するのを忘れたとか、もっとリアリティのある想像ができると思うわけですよ。

それを一切「選択肢」として提示すらせず、栗原の妄想だけで突っ走っていくこの映画の脚本、めちゃめちゃ変ですよ。

 

まぁもっと変なのは、栗原の妄想が全部的中するという気味の悪さ。

1階と2階の間取り図を重ねると、2階の子供部屋と1階の小さな空間が重なる、さらには浴室まで続いていく。

実際法を無視して家に侵入し確認敷いたところ、確かに浴室までが繋がっているという事実。

さらには柚希が登場したことで、もう1つの物件の間取り図が出てきたことで、栗原の妄想が加速。

家を建てた後に増築したと思われる部屋や、増築できなかった部分には地下室が存在するとか、何で間取り図見ただけでそんなに妄想できちゃうんだよっていう。

 

この栗原って男、色んな家族に設計の相談受けておきながら、家でこんなことずっと妄想してると考えると、本作で一番近づきたくないのこの人だってw

 

てかさ、俺が主人公ならよ?こんな変態設計士に相談する前に、この家を設計した人を探して聴き込む方が近道だと思うんですよ。

そしたら柚希の姉ちゃん一家に直結できるわけで、何も柚希があそこで怖がらせる必要なんてないわけよ。

なんでこんな遠回りな物語構造にしたのかさっぱりわかりません。

 

とりあえずそんな合理的な考えをすると映画が楽しめないので一旦忘れるとして、柚希も柚希ですよ。

何で身分を偽って雨宮に接触したんですかね。

明らかに雨宮を危険に晒させようとするためのエクスキューズに過ぎないと思うんですよ。

「失踪した夫を探してほしい」ってエピソード要らないですよね。

さっさと「姉夫婦を探してほしい」って言えばいいのに。

 

他にも、雨宮が家で襲われるシーンね。

一体どこから侵入してあんなことをしたのか。

結局あれ柚希の母ちゃんだったんですよね?どうやって雨宮の家を突き止めたんですかね。

マネージャーは失神してましたけど、何で彼は危害を加えられなかったんでしょうね。

あ、失神したからほっといたのか。

 

またもや合理的に物事を考えてしまった…。

 

ともかく、前半は「ヘンな家の間取り図」が2つ現れたことや、謎の女性柚希の所在、それが明かされたことで、彼女の家系にまつわる怖そうな展開へと発展していきます。

 

後半はまさかの伝承ホラー。

結局は、柚希の家は山奥の村で明治時代から村を牛耳る一族で、当時の女中を妾にしたことで本妻が怒りだし監禁、精神的に狂いだして左手首を切断したことを機に、その一家で生まれた子供は皆左手首がないまま生まれてしまうという呪いがあったとのこと。

 

その呪いを解くために頼んだ霊媒師の助言「左手首を供えれば祟りが消える」に沿って、一族はコソコソ隠れて殺戮を繰り返していたという種明かし。

それを一切外界に触れさせずに育てた子供にやらせるという鬼畜ぶり。

 

だから柚希の父の死去後、姉は姿を消して村に戻され、そこで出会った同級生と結婚。

事情を知った夫は一族の言い伝えに倣って、預けられた子供を部屋に監禁しながら育て、殺害を企てようとしたけれど、別の誰かがバラバラ死体を家の近くに埋めていたことが発覚。

 

柚希の姉ちゃんもシロだったということで、一体誰がバラバラ死体を埋めたんでしょうねという謎を残して物語は幕を閉じるのであります。

 

もうね、後半からいきなり横溝正史的村の伝承ホラーへと姿を変えていくんですね、この映画は。

ぶっちゃけここ最近カニバリズムをテーマにした「ガンニバル」ですとか、戦中戦後の忌まわしい伝承を伝えることで反戦を映しだした「鬼太郎誕生ゲゲゲの謎」など、ヒットコンテンツが連発している昭和の伝承村ホラーを見事に使ってるんですね。

 

わかりやすく言えば八つ墓村で犬神家で悪魔のてまり歌なわけですよ。

公式も伏せるほどの急展開でこれは驚きました。

いやいや俺こういうの好物ですよと。

 

まさか「ヘンな間取り図」からこんな物語に発展するなんて思ってませんでしたよ。

小さな空間は実は死体を隠すための場所で、シリアルキラーだか何だかが潜んでるとか、そこに埋めた死体が地縛霊になって人々を呪うとか、その程度のホラーだろどうせ、と思ったたらまさかの村ホラーですよ。

 

しかもそこの当主を演じるのがあの金田一幸助を演じた石坂浩二じゃないですか!

これまで散々村の祟りを利用した見立て殺人を解決してきた名探偵が、この映画で「左手首を祭る」という呪いにがんじがらめされたおじいちゃん演じてるんですよ。

完全に意図したキャスティングじゃないですか。

 

それを現代の名探偵であるYouTuberと変態設計士がバディを組んで解決に挑むというミステリー調の物語へと変換されていく。

うん、嫌いじゃない。

メッチャ変な話だけど嫌いじゃないよ、うん。

 

ただまぁやっぱり変なところいっぱいあってさ。

一家を訪ねた雨宮と柚希が、家の人にあいさつした後、柚希だけ寝込んでしまう件があるんですね。

どうやら薬を盛られていたことで寝込んでしまったそうなんですけど、一体どこで仕込まれたの?と。

お茶も飲んでないわけですよ。

仮にお茶を飲んでいたとして、雨宮にも薬を仕込んでてもおかしくないと思うんです

よ。

 

じゃあなんで柚希だけ?

しかも何のため?

もし餌食にするとか姉ちゃんと同じように監禁目的なら、雨宮とあとから来た栗原はどう始末するつもりだったんでしょう。

てかさ、栗原さんどうやってあそこまで来たの?

 

あと栗原さんが、一族の家の間取りに「見えない空間」を探るところで、右手が痺れて巧く線を引けないショットがあるんだけど、あれって何だったん?

畳だったからうまく線を引けなかっただけ?

 

もう変な所満載なんですわ。

 

それを言ったらさ、姉ちゃんが預かることになった子供って結局誰の子供なん?

その子供を建築したさいたま市と東京の家で監禁してたわけですけど、何もない部屋に匿う必要って何だったんだろうって。

高嶋政伸演じる叔父に監視されてたらしいけど、別に監視カメラがあるわけじゃないし、頻繁に覗きに来ることもなかっただろうし、だったら何かおもちゃでも与えておいてもよくね?と。

 

何もないから床ひっかいちゃうわけでしょ。

それに見かねて何か暇つぶしを与えてもいいわけですよ、姉ちゃんは。

あんなに床ひっかいてて、何にも思わなかったんですかね。

どれもこれも全部「怖がらせるための設定」としか思えなくて、そういうのが透けて見えちゃうもんだから、いちいちしらけるのがこの「変な家」って映画でしたね。

 

 

最後に

ラストで襲われた雨宮を助けたのが当主の石坂浩二で、雨宮を襲った高嶋政伸の左手首を切って持っていって消えていくシーンは爆笑モノでした。

なんだよ、誰でも良かったのかよww

だったらなんで村人まで呼び寄せて襲おうとしたんだよw

あれか、金のためにやってるとか本音言ったからか!

もうめちゃくちゃだよw

 

しかしつくづく変な映画でしたよ。

一番最後に雨宮の部屋にも妙な空間があって、壁の下からウジ虫がわいてたじゃないですか。

虫がわくほどなんだから絶対腐ってるし、何なら臭ってるでしょ普通。

何で気づかないんだよw

 

ルック的には、GoPro使っていかにもホラーっぽく薄暗い映像を見せてくれたので、そういう演出がちゃんとあったのは良かったですね。

ジャンプスケアもしっかり効いていて、小さな空間に隠れていた一行を、鉈で壁ぶち破って侵入してくる高嶋政伸には驚かされました。

 

結局のところ、斉藤由貴演じる柚希の母親が炊き出しに群がるホームレスを殺害をして左手首切断の代行をしていたことを示唆する幕切れでしたけど、あれ、要らないですw

普通に一族の事件を報道するニュースをラーメン食いながら見てる雨宮で終わって良かったですw

 

そもそもホラー作家原作のオカルトホラーではなくて、人気YouTuberが色々付け足してできた原作を映画化したわけで、いわゆる本職ではないわけですよ。

だから妙な点がいくつも出てくるのは仕方ないよねとは思うんですよね。

だからこそ映画の作り手がもっと改変して、映画として整合性合って誰もが恐ろしいと思える納得のいく作品を提供してほしかったですね。

 

他にもたくさんツッコミたいところありましたが、変な間取り図を見て違和感を持った人は、変態設計士に相談するのではなく、伝手を頼ってその家を作った設計士や不動産、大家さんを訪ねましょう。

それが一番です。

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10