モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

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映画「凪待ち」感想ネタバレあり解説 波風経ちっぱなしの香取慎吾が暴れっぷりが秀逸。

6月28日

凪待ち

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昔々まだ慎吾ちゃんがSMAPだった頃、「蘇える金狼」ってTVドラマがありまして。

もちろん松田優作主演映画のリメイクをドラマでやったんですけど。

で、多分慎吾ちゃんのパブリックイメージってのは、元気はつらつでおおらかでやんちゃでイタズラ好きで大食漢で酒好きってとにかく愛らしい姿を思い描くと思うんです。

 でもこの人、もんの凄い闇を持ってる面もあって、それをちょこちょこTVで見る機会があって。

それこそ「笑っていいとも!」の最終回のタモさんの前でのスピーチだったり、黒いうさぎの絵だったり、仲いい芸能人に連絡先教えなかったり、色んな闇エピソードを持ってる人で。

で、この内面からあふれ出る闇をですね、一気にスパークさせて、むちゃんこカッコイイ香取慎吾を演じたドラマがこの「蘇える金狼」だったんですよね。

 

SMAPと共に平成を生きた身としてはですね、このドラマは僕にとって彼の違った一面を初めて見たドラマだったわけでありまして、こういうギラギラして睨みきかせた演技をみたいなぁと。

そしたらこの映画の情報が飛び込んできて、しかも白石監督で。

新しい地図になってからプロポーションをあまり気にしなくなったのか、ウェイトと年齢からくる貫禄がにじみ出ていて、それを監督が男クサく見せてる予告編に鳥肌が立ちました。

 

一体どんな物語を見せてくれるのか、早速鑑賞してまいりました!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

抑えることを知らない血生臭い暴力的描写と、狂気に駆られたアウトローたちの無様な様を画面いっぱいに見せつける作品を制作し続け、昨今の日本映画の生ぬるさに一石を投じた白石和彌監督の最新作は、主人公の恋人を誰が殺したのか、なぜ殺したのか、といった事件の真相に迫り、容赦ない絶望を描いた愛の物語。

 

体たらくな生活を続けながらも、恋人の故郷で再出発することを誓った主人公に巻き起こる事件は、彼を絶望の淵に追い込み自暴自棄になってゆく。

ろくでなしな男の後悔と懺悔と贖罪をありのままに映すことで、監督の持ち味である愚かで生臭い人間ドラマに仕上がった。

 

果たして地に落ちた彼に希望の光はさすのだろうか。

バイオレンスと絶望、怒りと裏切り、不条理と悲劇、愚か者たちの衝撃のヒューマンサスペンスが、今日本映画界に衝撃を与える!

 

 

凪待ち

凪待ち

 

 

 

 

 

あらすじ

 

毎日をふらふらと無為に過ごしていた木野本郁男(香取慎吾)は、ギャンブルから足を洗い、恋人・亜弓(西田尚美)の故郷・石巻に戻る決心をした。

そこには、末期がんであるにも関わらず、石巻で漁師を続ける亜弓の父・勝美(吉澤健)がいた。

亜弓の娘・美波(恒松祐里)は、母の発案で引っ越しを余儀なくされ不服を抱いている。

 

美波を助手席に乗せ、高速道路を走る郁男に美波の声が響く。
「結婚しようって言えばいいじゃん」
半ばあきらめたように応える郁男。
「言えないよ。仕事もしないで毎日ぶらぶらしてるだけのろくでなしだし…」

 

実家では、近隣に住む小野寺(リリー・フランキー)が勝美の世話を焼いていた。人なつっこい小野寺は、郁男を飲み屋へ連れていく。

そこで、ひどく酒に酔った村上(音尾琢真)という中学教師と出会う。村上は、亜弓の元夫で、美波の父だった。

 

新しい暮らしが始まり、亜弓は美容院を開業し、郁男は印刷会社で働きだす。

そんな折、郁男は、会社の同僚らの誘いで競輪のアドバイスをすることに。

賭けてはいないもののノミ屋でのレースに興奮する郁男。

 

ある日、美波は亜弓と衝突し家を飛び出す。その夜、戻らない美波を心配しパニックになる亜弓。落ち着かせようとする郁男を亜弓は激しく非難するのだった。

 

「自分の子供じゃないから、そんな暢気なことが言えるのよ!」

 

激しく捲くし立てる亜弓を車から降ろし、ひとりで探すよう突き放す郁男。

 

だが、その夜遅く、亜弓は遺体となって戻ってきた。

郁男と別れたあと、防波堤の工事現場で何者かに殺害されたのだった。

 

突然の死に、愕然とする郁男と美波――。
「籍が入ってねえがら、一緒に暮らすごどはできねえ」
年老いた勝美と美波の将来を心配する小野寺は美波に言い聞かせるのだった。

 

一方、自分のせいで亜弓は死んだという思いがくすぶり続ける郁男。

追い打ちをかけるかのように、郁男は、社員をトラブルに巻き込んだという濡れ衣をかけられ解雇となる。
「俺がいると悪いことが舞い込んでくる」
行き場のない怒りを職場で爆発させる郁男。

 

恋人も、仕事もなくした郁男は、自暴自棄となっていく――。(HPより抜粋)

 

youtu.be

 

 

 

 

 

監督

今作を手掛けるのは白石和彌

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今年は「麻雀放浪記2020」でタイムスリップした青年が現代で暴れまわる姿を、社会風刺とユーモアをふんだんに織り交ぜて描いた作品を制作していますが、監督の演出って「どんなにふざけても真面目に見えてしまって笑えない」っていう悪い癖が全開した作品だったように思えました。

 

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だから今回の作品、監督のいいところしか見えない気がしてなりません、

 

そして彼の作品にほぼ出演していたバイプレイヤー、ピエール瀧を失ったのは監督として大きな痛手かと思いますが、ここで是非ですね、香取慎吾という男をこの映画をきっかけに今後複数出演させてもらえたらな、なんて思ってますw

リリーフランキー、音尾琢真、香取慎吾で脇を固めてくれたら面白いと思うんだけどなぁ。

 

監督はこの後「ひとよ」という作品が秋に公開ということで、相変わらず売れてるなぁ!!

 

 

 

 

キャスト

主人公・木之本郁男を演じるのは、香取慎吾。

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はい。ジャニーズ事務所を退所してからというもの、どんどん地上波の番組から姿を消してしまった彼ですが、僕らは忘れてないですよ!彼が雑誌やCMやネットや映画というメディア媒体でしっかり活躍してるのを!

冒頭でも書きましたけど、、彼含めSMAPが大好きでして。

といってもファンの方ほどではないんですが、小学校の頃からアイドル雑誌の明星を飼って、付録のポスターを家に貼ってたほどですからw

 

慎吾ちゃんの作品も結構観てます。

恥ずかしながら彼の映画ってなるとそこまで見てないんですが、ドラマで言えば「新選組!」を筆頭に、「人にやさしく」、「未成年」、「透明人間」とか好きですね。

もちろん「蘇える金狼」も。

今回は今まで見たことない彼のお芝居を堪能できたらと、大きな期待を寄せています。

 

そんな彼の代表作をサクッとご紹介。

人気原作コミックをグループ全員で出演した「シュート!」や、オール香港ロケで臨んだ彼の初主演作「香港大夜総会 タッチ&マギー」で映画の場でも魅了した彼は、その後、少年たちとロボットの交流を描いたSFファンタジー「ジュブナイル」に主演。

やがてその大きな体と愛くるしい性格はキャラもの映画で活かされ、「NIN×NIN忍者ハットリくんTHE MOVIE」や人気TVドラマの劇場版「西遊記」の孫悟空、長年にわたり連載されてきた人気コミックのドラマ化及び映画化となった「こちら葛飾区亀有公園前派出所THE MOVIE~勝どき橋を封鎖せよ!~」などで個性を爆発させています。

 

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また、アイドル達が主演でキャスティングされることが多い中で、脇役としても存在感を見せるのが彼の持ち味。

大晦日の一流ホテルを舞台に様々な人物が織りなす大騒動を描いた「THE 有頂天ホテル」や、 長い年月をかけて国民的映画へと変貌を遂げた最後の作品「踊る大捜査線THE FINAL 新たなる希望」、戦後数々の詐欺話で登場してきたM資金を題材に描いたサスペンス「人類資金」などにも出演しています。

 

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他のキャストはこんな感じ。

郁男の恋人の娘・昆野美波役に、「ハルチカ」、「散歩する侵略者」の恒松祐里。

郁男の恋人・昆野亜弓役に、「ひみつの花園」、「ナビィの恋」の西田尚美。

亜弓の父・勝美役に、「止められるか、俺たちを」、「麻雀放浪記2020」など監督作品に数多く出演している吉澤健。

村上竜次役に、「孤狼の血」、「日本でいちばん悪いやつら」など監督作品常連の音尾琢真。

小野寺修司役に、「凶悪」、「サニー32」など白石監督以外でも活躍するいまや日本映画界に最も必要な人材、リリー・フランキーなどが出演します。

 

 

 

 

 

 

 

 

地に落ちるほどの絶望感と煮えたぎる怒りをどのように映すのか、また一体誰が犯人なのかというサスペンス要素や、これまで見たことが無い香取慎吾の新たな側面にも注目したい今作。

ここから鑑賞後の感想です!!!

 

感想

どんなにロクデナシにも救いの道はある。

地に落ちた男の蘇生の物語。

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

波風立ちまくり。

ギャンブル依存症の男が再起を図るため恋人の地元へ移り住むも、恋人の変死をきっかけに再び無様な醜態をさらし荒れ狂う日々を送るも、それでも手を差し伸べる周囲の人たちによって何度も立ち上がろうとする主人公の転落と蘇生を、震災の爪痕が未だ残る街を舞台に、ほぼ無音状態にすることで地域と海の呼吸を感じさせ、演者のアクの強い寄りの画のコントラストで波風を立てるように物語を演出させていく巧さで見せつけ、登場人物と共にこの物語が穏やかな日々=凪を迎えることを切に願うような気持ちにさせてくれる佳作でございました。

 

誰が殺したのか?なぜ殺したのか?というキャッチコピーとはだいぶ距離が遠い物語だったように思えます。

理由としては物語の中でスポットが当たるのは亜弓を殺した「犯人探し」というサスペンス性ではなく、あくまでことあるごとに不利な状況が降りかかることで、ギャンブルに走ってしまう主人公の自堕落な人生と、そんなダメな奴でも手を差し伸べてくれる周囲の人たちの優しさによって希望の光が差し込んでいく点だったから。

確かに犯人は意外な奴でなぜ殺したのかってのは明確に明かされないから、ここに重点を置いて鑑賞してしまうと肩透かしを食らっていたのかもしれません。

しかし、このエピソードは主人公が落ちていくきっかけに過ぎず、気づけば犯人は誰なのか、なんてことを忘れさせるくらい、主人公のダメっぷりが表面的に描かれてるから、きっと「犯人探し」でつまらないって気分にはならないかなと。

 

郁男の「何か失敗したらギャンブルで消化する」ループが主な流れなんですが、どれもこれも観ていて辛い。情けない。どうしてもっとはっきり言えないのか、といら立ちが募りました。

 

長いこと付き合ってるのに結婚しようと言えない、恋人の娘を自分の娘のように見ているも厳しいことを言えない、恋人が殺された前に口論になったことをすぐ打ち合けられない、会社の金が盗まれていることを疑われても潔白をきちんと証明できない、警察からも犯人の疑いをかけられ身の潔白をキチンということができない。美波を引き取ることもできない。

 

ギャンブルで迷惑かけたから自分は何かを言う資格がない、という後ろめたさを持っていながらも、せっかくまじめにやってるのにどうして俺の人生こんなにめちゃくちゃなんだという劣等感、学園ドラマに出てくる不良のような、素性や性格見た目、それに加えて都会からやってきたよそ者などいろんな色眼鏡で見られ、言葉数の少なさや不器用さが災いして「俺じゃない」程度の否定しか言葉を返せず、それに苛立ち暴力やギャンブルに走ってしまう典型的なパターンでどんどん深みにはまってしまう残念な人生。

 

なんというか意志の弱さだったり、我慢できなかったり、覚悟の無さが見て取れました。

ロクデナシって、どこかプライドないように見えてプライドあるんだよぁ。

じゃなかったら、疑いかけられたときにあんなに激高しないもの。

 

というか、自分をそう見てなければ亜弓に結婚しようって言えるし、美波を自分の娘に迎えることだってできるし、差し伸べられた手をとるよなぁと。

 

とはえいですよ、なぜ彼を優しく迎える人たちがいるかって、彼の本質をみんな理解してるからだと思うわけですよ。

でなければ亜弓はとっくに郁男と縁を切ってるはずだし、まだ付き合ってるってことは彼の奥底にある優しさをわかってるからだろうと。

それで亜弓が死んでもまだ宮城で暮らしていて、死んだのは自分のせいだと重い十字架を背負って、何度も全うに生きようと心がける気持ちを持っていて、どこか憎めないというか。

これを香取慎吾っていうビッグアイドルが積み重ねてきた人の良さをうまく内面に閉じ込めて外面を全くの別人格に変えることができたから感じられるのかなと。

 

で、劇中ではとにかく自暴自棄になって暴れまわる香取慎吾のギラギラした表情が眩しかった。

基本喜怒哀楽のない仏頂面がほとんどで、笑う所なんて全然なくて、僕が求めていた「あの香取慎吾」で。

亜弓との口論で怒りを露わにして、美波を連れまわしていた男に思いっきり頭ひっぱたくおっかなさを見せ、殺害現場で警察官の制止を振り切って暴れる姿を見せ、ノミ屋で巻ければ重たい影を背負って、会社から疑いをかけられ悪い噂を流した同僚を恫喝し追い込み暴力で怒りをぶつけ。

表情とは裏腹に胸中穏やかじゃない姿に、何度も胸を打たれます。

 

 

 

どの人も自責の念を持っている。

正直ですよ、周りにこんな危険人物がいたら距離を置いてしまうのが普通だと思うんです。

もしかしたら俺だけかもしれないけどw

だって籍を入れてない恋人の男が遺されてですよ、トラブルなど起こさずみんなの面倒見て真面目に働いてくれるんならともかく、ノミ屋で暴れたり会社で暴れたり、挙句の果てに金の面倒まで見なきゃいけなくてって迷惑かけまくりでしょ。

 

それでも彼を目にかけるのは、皆が亜弓を失ったことに対して自責の念を抱えているからなんだろうなぁと。

美波はケンカしてムカついて音信不通にしてしまったためで、父・勝美は体を患っているため父として祖父として家族に関わらず漁に出ていたから。

そんなことを思っているのに、恋人でありながら赤の他人である郁男があそこまで責任を感じている姿を見たら受け入れるのは必然でこいつを立ち直らせるために何かしてやりたくなるよなぁと。

 

また震災の被害を大きく受けたこの町ならではの生き方ってのが随所に表れていて。

誰もが心に傷を負っている中でそれでも生きていかなければならないという気持ちがあるからこそ、郁男のような絶望に追いやられている人を見過ごせないって気にさせるというか。

実際に海の底には震災の残骸が眠っていて、そこに住む人たちの心の奥底にも見て取れて、それを決して表に出さず過ごしているわけで。

勝美だって体を悪くしても漁に出るのは、震災で妻を亡くしたこと、助けに行けなかったことを今でも悔いているからで、妻と出会わなければロクデナシだったわけで、漁に出ればまだ気持ちが救われるからで。

 

なんか纏まらない感想になってますが、そういう過去があった舞台にすることで、絶望から立ち直ろうとするも何度も落ちていく男の激しい波風から、最後は周囲の優しさに触れて、それでも生きていく、って覚悟を決めていく、そんな物語だったなぁと。

凪待ちってタイトルが腑に落ちるラストだったなぁと。

 

 

 

最後に

ただね、美波がいつまで宮城にいて、いつから川崎で住んでいたのかよくわからない。

6年付き合って5年同棲=計11年連れ添ってる郁男と亜弓。で、恐らく美波は高校生だから16歳と仮定して、計算すると5歳くらいまでは宮城にいたってことでいいのかな?

結構曖昧な過去の説明なんで、そこに引っかかると気持ちがつまづいちゃいますね。

元旦那もDVが原因で別れたみたいなこと言ってますけど、いくら亜弓が死んで引受先が無いからってまた元旦那のとこへ行きますかね?

そこは郁男や、おまえがしっかりせえ!と。

 

あとは、ラストにかけてことがうまく運ばれ過ぎていてちょっとう~んと。

 

そういやこの映画、所帯を持つことで男は変われる、みたいなことを感じます。勝美も亜弓の元旦那も。

それってやっぱり覚悟をしたからなんだよなぁ。それができなかった郁男との対比にも見えた設定でしたね。

男はやっぱり結婚したらちったぁ変わるのか?

 

細かいんだけど、郁男が再びギャンブルに走るとき、必ずカメラが斜めになるやつ、あれいいですね。斜めになる度に、あ~郁男またノミ屋行くな…ってw

というわけで以上!あざっした!!

満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10