泣き虫しょったんの奇跡
「3月のライオン」、「聖の青春」に続く将棋映画の誕生です。
まだ10代だというのに、怒涛の勝利数で駆け上がった藤井聡太七段が、今、将棋界を盛り上げておりますが、今回の主人公は、奨励会が定める年齢制限を過ぎ、一度は諦めた将棋人生でしたが、再び将棋のプロになるべく2度目の夢への挑戦に立ち向かう35歳の青年のお話。
私モンキーの場合、子供の頃から憧れていたミュージシャンという夢に向かってひた走ったんですけど、残念ながら夢半ばで力尽き諦めました。理由は聞くな!
でね、まぁ夢失うと人生つまらないですよ。
なんもない。
そのなんもないときに映画と出会えたので、何とか今まで生きてこれました。
めでたしめでたし。いやまだ終わってねえよ。
夢を諦めるってのは、自分しだいでいつでも区切りを付けられるわけです。
続けたいだけ続ければいい。
世間体がどうとか親がどうとか体力的にどうとか関係ない。
やれるだけやればいい。誰も止めはしない。
だからこそ区切りは自分でいつでも付けられる。
諦める=明らかに見極めるってこと。
でも、自分以外の何かによって夢を諦めざるを得なかった場合。
この自分以外の何かが働き、夢を追うことができない世界が将棋界なんですね。
まだやりたいのにさせてもらえないんですね。
そんな、一度は敗れた夢に再び立ち向かい奇跡を起こした実在の人物。
どんな困難があり、それを乗り越えた先にどんな景色が待っていたのか。
早速観賞してまいりました!!
作品情報
将棋の世界には、26歳になってもプロ棋士になれなければ、奨励会を退会しなければならないルールがある。
そんな年齢制限の壁にぶつかりプロ棋士の夢を立たれた主人公が、たくさんの困難にあいながらも、周りの人たちによって再びプロ棋士へ挑戦し、実際にアマチュアからプロとなり将棋界の歴史を変えた男の姿を描いていく。
監督自身も奨励会に在籍していた経歴があり、その思いがこもった徹底した演出で観衆を魅了させる。
その監督が選んだ主演とは16年ぶりのタッグ。さらに日本映画を牽引する豪華キャストが加わり、一人の男の夢の再挑戦を軸にした熱い人間ドラマが誕生した。
泣き虫しょったんの奇跡 完全版<サラリーマンから将棋のプロへ> (講談社文庫)
- 作者: 瀬川晶司
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/02/13
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 24回
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あらすじ
生まれてから小学5年生までの10年間、何かに熱を入れ ることもなく日々を過ごしていた“しょったん”こと瀬川晶司(松田龍平)。
中学生でプロ棋士になった谷川浩司棋士のニュースを見て、 初めて“プロ棋士”という職業を知る。
時を同じくして、隣家に住む鈴木悠野(野田洋次郎)も将棋が好きなことを知り、二人で将棋 を指すようになる。
やがてしょったんの父・敏雄(國村隼)の勧めで将棋道場へ通うことに。
週末ごとにめきめきと上達していったしょったんは、 中学3年生で奨励会の試験を受け合格した。
奨励会には年齢制限という鉄の掟がある。26 歳の誕生日 までに四段になれなければ退会となってしまう。
22歳の夏に三段に昇段したしょったんだったが、残された チャンスも徐々に減っていく…。
様々な理由で先に奨励会を退会していくライバルたちを見 て、将棋を指す意味を自問自答するしょったん。
現実から目 を背けるように棋士仲間たちと遊びまわっているうちに、悠 野がアマ名人になったことを知る。
そして、最後の三段リーグでそのチャンスはあっけなく潰え てしまう――。
奨励会退会後、大学を卒業し会社員となったしょったんは、将棋盤に向かうこともなくなり、平凡な生活を送っていた。
そんなある日、しょったんの夢をずっと応援してくれていた父・敏雄が事故に遭い突然他界してしまう。
傷心の中、居場所を求めるように訪れた悠野の家でふとしたきっかけから久しぶりに将棋を指すことに。
その対局でしょったんは改めて将棋の面白さに気づく。
将棋を再開したしょったんは、アマチュアの大会でめきめきと頭角を現し、ついにアマ名人に。
その活躍を目の当たりにしたアマチュア強豪の藤田(小林薫)と新聞記者の新條(三浦誠己)は、しょったんにプロ編入試験の話を持ちかけた。
しょったんの人生を賭けた<夢>への再挑戦が、今、始まる――。(HPより抜粋)
監督
今作を手がけるのは、豊田利晃。
監督の作品を観るのは「クローズEXPLODE」以来でしょうか。
そもそもそんなに追いかけてない監督なので、話題作しか観てないのが現状であります。
今回を機に過去作でも観賞してみようかなぁ。
そんな監督の代表作をサクッとご紹介。
阪本順治監督の新世界3部作の第2作目「王手」の脚本をお手がけたことから映画界に進出。
渋谷の街を舞台に、青年とヤクザとの奇妙な交流をバイオレンスに描いた「PORNOSTAR/ポルノスター」で監督デビューします。
その後日々生きることに無気力な高校生達の日常を描いた松本大洋原作の青春映画「青い春」が、旬の俳優をキャスティングしたこともあり、当時の若者を中心に高い評価を得ることで注目を浴びます。
他にも、脱獄囚が次第に連帯感を深めていき、それぞれが生きる目的を見出していく様を、ユーモアを織り交ぜて描いた「ナイン・ソウルズ」、一見幸せそうな家族が、それぞれ秘密を抱えていることでバラバラになっていく様をシニカルに描いたヒューマンドラマ「空中庭園」、大ヒット不良映画「クローズZERO」の続編として製作された「クローズEXPLODE」などがあります。
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キャスト
主演のしょったんこと瀬川晶司を演じるのは松田龍平。
監督と主演という関係では「青い春」以来16年ぶりだそうで、きっと本人も高校生の役から時がたって、棋士の役をやるとは思ってなかったでしょうね。
彼の演技は大好きで、基本どれもつかみどころが無く、すっとぼけていてふわふわした感じの役柄ばかりなんですが、これが松田龍平だよなぁと毎回ニヤニヤしながら彼の出演作品を観ております。
「モヒカン故郷に帰る」、「ぼくのおじさん」、「散歩する侵略者」、「探偵はBARにいる3」、そして「羊の木」と、ここ最近の作品も正に龍平節炸裂でどれも面白かったですね。
今回は泣き虫しょったんだそうですが、彼泣くんでしょうか?wそれも見てぇ~!
彼に関してはこちらをどうぞ。
他のキャストが多すぎるのでみんな簡単に紹介!
- 晶司の幼馴染・鈴木悠野役に、「トイレのピエタ」、「犬ヶ島」に出演し、RADWIMPSのヴォーカルとしても活躍する野田洋次郎。
- 奨励会時代の晶司の心の支え・新藤和正役に、「I'mFLASH」、「クローズEXPLODE」と監督作品には3度目の出演となる永山絢斗。
- 料理が得意な明るい奨励会の先輩・畑中良一役に、「サイタマノラッパー」シリーズ、「ヒメアノ~ル」の駒木根隆介。
- ちょっと生意気な奨励会時代の後輩・村田康平役に、「ヒミズ」、「空海ーKU-KAI-美しき王妃の謎」の染谷将太。
- 晶司の大事な一局の対戦相手・清又勝役に、「青い春」、「葛城事件」の新井浩文。
- 晶司の兄貴的存在のプロ棋士・山川孝役に、「ポルノスター」などほとんどの監督作品に出演している渋川清彦。
- プロ入り間違いなしといわれた男・冬野渡役に、「悪人」、「怒り」の妻夫木聡。
- 神経質でストイックな勝負師・加東大介役に、「クローズEXPLODE」、「BLEACH/ブリーチ」の早乙女太一。
- プロ編入の支援者でアマチュアの強豪・藤田守役に、「秘密」、「深夜食堂」の小林薫。
- 晶司の夢を肯定してくれた担任教師・鹿島澤佳子役に、「告白」、「ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~」の松たか子。
- 晶司を奨励会に導く恩師・工藤一男役に、「それから」、「沈黙ーサイレンスー」のイッセー尾形。
- 晶司の母・千香子役に、「ピンクのカーテン」シリーズの美保純。
- 晶司の父・敏雄役に、「コクソン」、「マンハント」、「パンク侍、斬られて候」の國村隼。
- 奨励会時代に晶司が通う喫茶店の店員・真理子役に、「羊と鋼の森」、「君の名は。」の上白石萌音。
- 晶司のファンである見知らぬ男性役に、「I’mFLASH」、「22年目の告白」の藤原竜也。
などが出演します。
ほとんどのキャストが豊田監督作品に出演しているということで、改めて監督ってすごい役者陣から慕われているんだなと。
恐らくチョイ役ばかりなんでしょうが、それでも豪華。
一体どんなストーリーに仕上がっているんでしょうか。
ここから観賞後の感想です!!!
感想
しょったんの周りの大人たちの言葉に涙・・・。
これは「あきらめる」ことをしなかった男の奇跡の物語だ!!
以下、核心に触れずネタバレします。
好きなことを仕事にすること。
小学校の頃から好きだった将棋のプロを目指すために、一度は挫折しながらも将棋の世界から離れることで、いかに将棋が好きだったかを改めて感じ、周りの人たちの心を動かし、将棋界から異例の快挙を成し遂げ35歳にしてプロ棋士になった主人公の姿を、決してドラマチックに描くことなく淡々と進むものの、時代背景や役者の表情、セリフによって物語に深みを与え、人生とはいかに他者の存在や言葉、支えによって築き上げられているかを教えてくれた作品でございました。
26歳の誕生日を迎えたらプロの可能性の道を絶たれてしまう、とっても厳しい将棋の世界。
中学生から奨励会に入り、学校にも行かずプロになるために黙々と将棋に打ち込んできたのに、26歳になったら強制的に引退ですよ。
劇中でも何人かがその年齢制限によって将棋から離れてしまうわけですが、これは見ていて辛かったなぁ。
その後の人生どうすりゃいいんだよ、と。
中には将棋を呪ってしまう奴なんかもいるそうで。
そりゃあヤケを起こす人もいるでしょう。これまでの人生棒に振ったようなもんなんだから。せっかく好きが高じてプロになろうと決めたのに、気持ちのやり場に困るよなぁ。
いざ普通の社会に放り出されて、同年代はちゃんとお仕事して一人前の大人として働いてるわけですから。
これってホント怖い現実。
しょったんも引退することになり、何か月もニート状態だったわけで、この先どうするか、とか、第2の人生何して生きようとか相当考えたことでしょう。
でもしょったんは気づくんですね、自分がどれだけ将棋が好きなのかということを。
多分奨励会という勝負の世界から離れたことで肩の荷が降りたのか、心の思うがままに将棋を指すことに没頭できた。
あとはプロになれないのだから、というあきらめの部分も大きかったでしょう。いわゆる趣味としてアマチュアとして楽しくできた。
他の引退した人たちは、将棋に人生狂わされて好きだったことを続けることができなくなっている中でですよ。
それでもやっぱり将棋が好き、だったわけですから。
そして忘れてはならない彼を取り巻く周囲の人たちの支え。
決してお互いを讃えることをするのでなく、互いが強くなっていくことで認め合う存在になり、将棋の道を志すきっかけを与えてくれた親友の悠野。
信じていれば道は拓かれる、だからあなたはそのままでいいんだよ、と声をかけてくれた担任の先生。
強くなるきっかけを作ってくれ、プロの世界できっとやっていけると励ましてくれた将棋道場のオーナー。
奨励会で負けた時、寂しさを紛らわせてくれる奨励会の仲間たち。
もう一度プロになる挑戦をさせてくれた雑誌の記者やアマチュアの名人や、会社の同僚上司。
そういう周囲の人たちの存在や言葉が彼を突き動かしてプロになれたし、彼が頑張ってる姿をずっと見てきたから周りの人たちも応援できた。
だからなんていうんんだろうなぁ。この実話は奇跡なんだけど、奇跡なんかじゃないんだよなぁ。彼の努力と人柄と熱意が、運命の糸を手繰り寄せた結果なんだよなぁ。
神さまはそういう人を見放したりしないんだよ。
僕の場合、ミュージシャンになるべくバンド組んでそれなりに一生懸命やってきたわけですが、自分で見極めて夢を諦めてからは楽器触ってません。
一応普通の人と同じように働いて過ごせていますが、そういう生活を送っていても趣味としてバンド組んでライブやったりとかできるんですけど、結果ギターも捨てて歌い方も忘れ、あの頃の俺どこに行った?あの熱意はどこへ行った?状態ですよ。
ホントに音楽好きだったのかな?と、今回の映画を自分に当てはめてみていました。
まぁミュージシャンは年齢制限ないですから、プロになるまでやりたいだけ続ければいいんですけど、将棋の世界はそうじゃねえということで、お前のちっちぇ~夢に当てはめてんじゃねえって言われたらそれまでなんですけど。
何が言いたいのかわからなくなってきたw
要は好きなことを仕事にすることって、叶えられない夢を叶えることって、諦めなければ何とかなるんだよなぁ。
きっと子供の頃描いていた理想の将来とは違うんだろうけど、諦めなければ、好きなことへの情熱を失うことなく続けていれば、きっと道が拓かれていくんだなと。
もちろん自分の努力も大事だけど、それを見ている誰かが力や知恵を貸してくれて、背中を押してくれる。
そんなことを教えてくれた映画だったなぁと。
松田龍平の涙。
今回の主人公しょったんを演じた松田龍平。
この映画のタイトルが泣き虫しょったんということで、あ、松田龍平が泣きじゃくるんだな、と勝手に想像して臨んだんですが、あれちょっと待てよ?松田龍平が泣く?
彼のお芝居観ていて泣いているとこ俺観たことあるか?それ以前に彼ってそういう感情をあらわにするような演技がウリの役者だったっけか?と。
そうです、僕は彼の作品を少なくとも半分くらいは見てきましたが、大体彼の演技っていつも飄々としているというか、顔の表情筋あまり使わずに演技してるなぁとか、腹の底から叫んだりするような演技なんてしないよなぁとか、要するにほぼ顔で演技しないから、感情をあらわにしなきゃいけない役柄って演じてきてないんですよね。
だから彼の演技が活かされるような役柄って、基本何考えてるかわからないやつとか、あの鋭い目つきで平気で悪いことするやつとか、すごくオクテで内向的なやつとかの役がピッタリだったりするんですよね。
だから泣き虫しょったん=泣いてばかりの主人公って大丈夫か?と。彼につとまるのか?とちょっと疑問に思ってた節がありまして。
そんな思いを胸に鑑賞したんですが、松田龍平しっかり泣きます。
普通に自然に涙流したり、嗚咽して泣くもんだから、感情持ってかれて俺ももらい泣き。
やっぱり役者だなぁと今回の映画を見て改めて感じました。
正直言うとですね、そんなに何度も何度も泣きじゃくるような泣き虫ってわけではないんです。
劇中で子供時代含めて3~4回程度かな、泣いてるシーンは。
まず中学時代のアマチュア名人戦で、親友の悠野に負けてトイレに駆け込んで悔し泣き。
これは子役がやってるので松田龍平が泣いてるわけではないんですが。
で、お父さんが不慮の事故で亡くなってしまうんですが、遺体と対面した時に号泣するんですね。
このお父さんがまためっちゃいい人で、子供の頃からしょったんのために将棋道場に連れてったり、好きなことを仕事にするのはいいぞ!って言って奨励会に入りたいというしょったんに決して反対しない、年齢制限過ぎて引退してニート状態を続けていてお兄ちゃんん位めっちゃ叱られる中、お前はこれまで将棋の世界でプロになるために頑張ってきたんだから今はとにかく休め、しっかり休んでから次のこと考えろ、とかとにかくしょったんに優しいんですね。
でも実際のしょったんは奨励会にいる間、年齢制限の恐怖から逃れたくて遊びほうけていたわけですよ。真剣に将棋に向き合っていなかったんです。
だからいつも優しくしてくれるお父さんに対し、後ろめたさがあった。
心に秘めた思いを打ち明けることなく逝ってしまったお父さんを目の前にして後悔から大粒の涙を流すんですよね。
俺努力なんて全然してなかった、真面目に将棋と向き合っていなかった、お父さんに嘘ついてきた、ごめん、と。
この時松田龍平の顔ドアップです。
彼が感情を露わにするんですよ。あの飄々な芝居しかしない彼が、心ここにあらずみたいな芝居をする彼が。
すごく自然に感情爆発して泣くんです。声を詰まらせて。
なんというかですね、僕これだけでもこの映画見てよかったなぁと思えた瞬間でした。
ときたま松田龍平作品のレビューとか読んでいると、いつも同じ演技しかしないとか、ワンパターンとか言っている人がいるんですけどね、一理あるとは思うんですが、むしろそれが彼の味じゃん!と思うわけです。
だから彼の演技ワンパターンと思っている人ほど、今作の彼の泣きの演技って貴重というか、そう思ってる人ほど見てほしいというか。
あと小学校時代の担任の先生から絵葉書が届くんですが、ここでも泣くんです。
ここはさすがにサラッと泣く程度なんですが、ここもすごく自然で。
俺もまたもやもらい泣きw
というわけで泣きの演技をする貴重な松田龍平を堪能していただければと。
豪華キャスト。
さすが豊田監督の人脈だけあって、キャスト陣はめっちゃ豪華ですよね。
主人公以外は正直チョイ役ばかりですが、ちゃんと存在感がある。
担任の先生演じた松たか子は、ずっと笑顔で小学生時代のしょったんを褒めまくるんですが、めっちゃいいこと言うし。
奨励会の仲間たちもキャラが立ってる。駒木根隆介はおいしそうにナポリタン作るかと思ったら、急にやりたいだけやりあえばいいんだよとか怖い顔して言うしw
染谷将太は先輩に散々生意気なこと言うやつかと思ったらプロになった途端清々しい笑顔で接する二面性をちゃんと演じていたし。
渋川清彦もナイス兄貴キャラでいつも笑顔でみんなとわちゃわちゃしてる。「それが大事」の歌唱シーンで、やっぱ繰り返し同じ部分歌うのきついな(笑)ってセリフは正にその通りw
永山絢斗もしょったんを励ましていて好印象。なんかあったらストⅡだったけどw
妻夫木聡もホントチョイ役だったけど、彼によっていかに奨励会から引退しなければならないことがどれだけ辛いことかってのを痛感させられるし、早乙女太一も引退のリミットが近づいていて焦燥感をうまくだしてたし。
イッセー尾形の演技で何度泣いたかw
将棋道場のオーナーとして、時に厳しく時に健気に支えたいいオジサン役だったんですが、名人戦で負けてしまった2人にうんと励ますんですよね。自分がプロになりたいと思った時には既に遅かった、だからお前たちはまだこれかだ、そんな落ち込んだ顔すんな、頑張れ!って。
で、その後自分が2人を優勝させることが出来なくて、別れた後ごめんな・・・っていうんですよね。
あぁ号泣!
その後もプロ試験を仕事そっちのけでラジオで聞いていた時に、このシーンを思い出して再び号泣・・・。
なんだろう、しょったんを支える大人たちの言葉や行動でずっと泣いてましたね俺wどうしたんだw
とまぁ、豪華キャストがほんのちょっとしか出てないのに、素晴らしい存在感のおかげでずっと出てるかのようでした。
最後に
最後にこんなこと言うのもあれなんですが、この物語すごくよかったんですが、ほとんど努力してるシーンとか葛藤しているシーンがないんですよね。
夢を諦めなかった男のサクセスストーリーにしては、あまりにもうまく事が運ばれていて、どうも簡単に見えてしまう節がある。
コネで師匠を紹介してもらい弟子入りして奨励会に入り、仲間と遊んでばかりいて全く棋譜やら詰将棋やらやってないから、そこしか映してなかったらそりゃあ年くって引退だよなぁとか、引退後も案外簡単に神大法学部に入学してアマチュア名人になってと、えらくトントン拍子で進んでしまっている。
そういう意味で言うと熱さが全く感じられなくて、そこは多少の不満があります。
勝ちに慣れてないから勝利一歩手前で縮こまってしまうという弱点の指摘も、実際価値を逃している描写があるから理解はできるんだけど、そこにドラマ性がないからうまくハマっていかない。最後の勝負では活きてくるんですけどね。
ここをうまく描いてくれたらモンキー的には良作だったんですけども。
とにかく好きなことを仕事にすることの大変さ、その道が絶たれてしまったとしても、続けていくことで遠回りだったとしても夢はかなうぞ!ちゃんと周りの人は見てくれてるぞ!諦めんな!という映画でございました。
というわけで以上!あざっした!!
満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10