ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界
家族で大冒険する映画。
父子で言えば「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」がありますし、「ナショナル・トレジャー」や「ハムナプトラ」も家族でトレジャーハントする作品。
アニメ映画で言えば「クレヨンしんちゃん」もそれにあたりますし、「スパイキッズ」、冒険というには難しいですが「インクレディブルファミリー」や来年公開の「アントマン&ワスプ/クワントマニア」も家族で冒険する映画にあたると思います。
基本的には子供も大人も楽しめるファミリー層をターゲットにしたジャンルだと思いますが、一人で見てもだれかとみても楽しいものです。
今回鑑賞する映画は、そんな家族が「もうひとつの世界」で冒険を繰り広げていく物語。
ディズニーらしい卓越した映像と予想だにしない展開と結末、最後には誰もが「楽しかった」と思えるプロットになっていることでしょう。
・・・めちゃめちゃよそ行きの冒頭になってるけど、ちゃんと期待はしてますよw
ディズニーなんでベタに面白ければ何の問題もないですw
早速観賞してまいりました!
作品情報
想像を超える奇跡の物語に、魔法のような美しい映像によって、年齢性別問わず誰もが感動するディズニーアニメーションスタジオ。
これまで白雪姫やリトルマーメイドなどディズニープリンセスを主軸に製作してきたディズニーアニメが、近年加速する多様性を配慮し、「アナと雪の女王」や「シュガー・ラッシュ」などこれまで一貫した女性の姿に変化をもたらし、多くの人々から共感を得た作品が印象的だった。
そんなディズニーアニメが今度はかけがえのない家族の姿を、アトラクション感満載のアドベンチャー映画を作り出す。
伝説的な冒険家の息子である主人公が、家族と共に「もうひとつの世界=ストレンジワールド」へと迷い込み大冒険を繰り広げていく姿を、見たこともない世界観で描く。
監督には初のアメコミヒーローをディズニーアニメし話題を呼んだ「ベイマックス」や、分断された国を一つにまとめるために龍探しの旅に出るヒロインの冒険譚「ラーヤと龍の王国」を手掛けたドン・ホールを起用。
ロボットとの絆を描いた「ベイマックス」やパーティーを組んでアドベントする「ラーヤ~」など、過去作を思わせる設定から、きっと面白いに違いない。
またキャラクターボイスには、「アンビュランス」での見慣れない役柄が印象的だったジェイク・ギレンホールや、「フライト・オブ・フェニックス」や「インナー・スペース」など数々の冒険を映画で演じてきたデニス・クエイドらが担当。
どんな親子を見せてくれるか楽しみだ。
ユニークな世界観とキュートなキャラ、そして美しい絆の物語。
ディズニー史上最も不思議なもう一つの世界で、どんな奇跡が起きるのか。
あらすじ
伝説的な探検家の息子でありながら、冒険嫌いの農夫として愛する妻と息子とともに静かに暮らすサーチャー・クレイド(CV:ジェイク・ギレンホール/原田泰造)
。
そんなサーチャーが家族とともに冒険の旅に巻き込まれ辿り着いたのは、見たことがない幻想的な世界──生き物のように動く不思議な大地や、キラキラと光を放つ未知の生命体があふれる、“もうひとつの世界<ストレンジ・ワールド>”だった。
この謎に包まれた世界は、いったい何なのか?
そして、なぜサーチャーたちの命を狙ってくるのか?
旅の終わりには、これまでの常識を覆す《衝撃の真実》が待ち受けていた…。(HPより抜粋)
監督
本作を手掛けるのは、ドン・ホール。
兄を失ったことで心を閉ざしてしまった少年と、そんな兄が遺した心優しいロボットとの絆を描いた「ベイマックス」で、アカデミー賞長編アニメーション映画賞を受賞。
その後も新たなヒロイン像を生み出した「ラーヤと龍の王国」を手掛けるなど、今のディズニーアニメーションを支える、かかせない一人です。
そんな監督が最も重要視してるのが「物語」とのこと。
共に働くクリエイターから無数のアイディアを提案されることに、嬉しくもありもっとも疲労がたまる作業だとも語る監督は、アイディアを使うか否かは「物語」を基準に判断しているそう。
キャラに魅力が生まれ魅力的になるのは、そんな心震わせる物語だからだと語っています。
本作も親子3代にわたる物語で、それぞれが現状を変えるために行動する展開になっています。
果たして監督は、本作にどんな思いと素敵な物語を作り出したのでしょうか。
キャラクター紹介
- サーチャー(CV:ジェイク・ギレンホール/原田泰造)・・・家族思いの心優しい性格の農夫。数十年前に行方不明となった冒険家の父・イェーガーにコンプレックスを抱き、父とは正反対の安定した農業の道を選ぶ。植物「パンド」を育てながら、妻メリディアンと息子イーサンと幸せな生活を過ごしていたが、世界の危機を救うため冒険の旅に出ることに。
- イーサン(CV:ジャブーキー・ヤング=ホワイト/鈴木福)・・・祖父イェーガーが成し遂げた数々の冒険に憧れる、サーチャーの息子。いま自分が過ごしている農場での静かな生活に物足りなさを感じており、サーチャーとも心がすれ違っていく。“もうひとつの世界”へと向かう探査船に、こっそりと乗り込むが…。
- イェーガー(CV:デニス・クエイド/大塚明夫)・・・伝説的な英雄として称えられている、唯一無二の冒険家。豪快すぎるパワフルな性格。数十年前に家族を残して危険な冒険へと旅立ち、アヴァロニアを取り囲む山脈の彼方を目指したまま行方不明に…。
- メリディアン(CV:ガブリエル・ユニオン)・・・家族を愛する強い心と広い視野を持ち、どんな状況でも楽しむことができる明るい性格。飛行船をはじめとする乗り物の操縦に長け、“もうひとつの世界”での冒険の貴重な戦力となる。
- カリスト(CV:ルーシー・リュー)・・・かつてイェーガーの探検チームの一員。今はアヴァロニアの優れたリーダー。自ら危機に立ち向かう行動力と優れた決断力によって、“もうひとつの世界”への探検チームを指揮する。
- レジェンド・・・クレイド家のキュートな愛犬。
- スプラット・・・サーチャーたちが地底に広がる世界で出会った、青いスライムのような不思議な生き物。謎に満ちた“もうひとつの世界”の案内役となる。
ラーヤと龍の王国がベタながら楽しかった記憶があるので、本作もベタであれば大満足ですw
ここから観賞後の感想です!!
#ストレンジワールド 観賞。
— モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) 2022年11月23日
親子3代の絆メインで描いた物語だけど、80年代アドベンチャーぽくガンガン進行するので深みもなければ作業的で印象に残りづらい映画に。
ただ現代的なテーマにいろんなアイデアを駆使した設定になってるのはおもろいし100分で済むのも良い。 pic.twitter.com/bhcNGTWLSt
功績なんてどうでもいい、子供は子供の道を進めばいいのだ。
80年代のアドベンチャー映画を思わせるあっという間のエンタメ感。
しかしなんでこの監督は落としどころが毎回弱いんだろうか。
以下、ネタバレします。
アイディアは面白い。
資源を失っていた街アヴァロニアを舞台に、冒険家の親と、農家の子、祖父のような冒険をしたいと願うも争いを好まない息子の親子3代が、可愛らしくもどこか不気味な動きの生物が生息するもう一つの世界で織りなす冒険の数々を描いた本作は、子供によって成長する親を主体に、多様性や協調性や持続性といった現代的テーマを見事なアイディアで設定し、アッと驚く展開に仕上げたザ・アドベンチャーな映画でしたが、あまりの速い展開にこじんまりとした感が強く、あまり印象に残らない作品になってしまっていました。
父イエーガーとの冒険で息子サーチャーが発見した植物「パンド」によって、貴重な資源となったアヴァロニアの街。
25年が過ぎ、父と冒険の途中で別れたサーチャーは家族を作り、パンドの栽培によって街では欠かせない存在となっていたという冒頭。
このパンド、電気やガスといった変わりという感じのエネルギーを持つ存在で、これがないと飯も作れないし車も動かないしっていう日々の生活に欠かせない資源になってるんですね。
物語は、このパンドの調子がおかしい、原因はパンドの根っこにあるということで、地中奥深くに調査に向かうサーチャーと息子イーサンという具合に序盤は進んでいくのであります。
そしてもう1つの世界=ストレンジワールドで親父と再会し、物語は「子供に過剰な思いを押し付ける親の姿」を3代に渡って描き、子供は子供らしく生きる事こそ親の務め、というメッセージを与えていくのです。
また結局このストレンジワールドは一体なんなのかということですが、アヴァロニアの外はただの海で、大きな生き物の中で人間たちは過ごしていたということ、そしてパンドはそんな生き物の命を奪う病原体で、それを必死に守るために人間を襲ってきたのが抗体だったのであります。
もうお分かりかと思いますが、今地球にある資源は限りあるものばかりで、原子力で発電しなければ電力を確保できないし、かといってまた漏れたりしたら大変な惨事になるわけで。
さらには侵攻によって資源をもらえず物価が上がってさぁ大変な状況なわけです。
今ある資源をこのまま使っていればどんどん環境は悪化するなんてのは数十年前からさんざん言われてますが、結局「悪化するよ」というだけで行動したり成果が出るのはまだまだ先の話。
サステナブルがどうこうと昨今言われてますが、正に持続可能な未来を次の世代と共に、みたいなテーマだったのではないでしょうか。
というのが自分の解釈だったわけですが、そう考えると非常に面白い試みだったなぁというのが率直な感想。
というのも、結局この島の寿命を脅かしていたのは「人間」だっていう皮肉なんですよね。
サーチャーが寿命を縮めるパンドを普及させ、親父イエ―ガーは体内で暴れまわってバーナーで燃やしまくる。
敵を作って戦おうとする姿勢も正に昔の発想で、イーサンは「協調」することが大事だという差を提示するのがカードゲームというシーン。
次の世代がどう生き、どう環境と向き合っていくかっていう未来を見据えたお話だったと思うんですよね。
またキャラもぶっちゃけ気味の悪さがあるんだけど、どんどん愛着がわいていくキャラで、筆頭であるスプラットに至っては、言語が全く分からないけどあらゆるジェスチャーでコミュニケーションを図り次第に距離を縮めていく姿は魅力的でしたね。
何というあっさり感。
ただなんというんでしょう。
100分という比較的短い内容に、色々テーマを凝縮し過ぎてどれも浅く感じてしまったのが本作の印象。
それこそイーサンのセクシャリティだったり、環境問題だったり、何でも争えば解決するという思い込み、資源問題、そこに親子の物語と、どれも今重要な問題だってことで取り入れてる気がするんですが、案外雑と言えば雑。
イーサンのセクシャリティを、何故25年以上も行方をくらましていたイエ―ガーがあっさり受け入れるのか。
そもそもそういうLBGT的なことが当たり前の時代だったらいいんですけど、やっぱりここは昭和的ノリで対応して、理解の早い老人って方がリアルだなぁと感じましたね。
多様性に関しても環境問題にしても、実はこの映画こういうテーマを秘めてるんですっていうのをカードゲームで説明するってのも正直無理があるというか。
あの展開でゆっくりカードゲームって明らかに不自然なんですよね。
重要と言えば重要なんですよね、あそこでそれぞれの秘めた想いだったり思想めいたものが明確になるので。
しかしもっとナチュラルな展開が無かったものかと首をかしげてしまいました。
あとはもうインディジョーンズだのロマンシングストーンだのといったコテコテの80年代アドベンチャーをやりたかったんだろうなっていうチャッチャと進む潔さ。
確かにこれくらい編集して進行した方がテンポも出て見やすいです。
僕の好みでもあります。
しかし全部余韻のないパターンで進行してしまうと、掲げたいテーマが薄れてしまうし、何よりキャラへの深掘りや感動が弱く感じてしまう。
ラーヤと龍の王国でも感じたんですが、脚本力だったり構成力だったりてのは非常に優れたセンスを持ってる監督さんだとは思うんですが、どうもクライマックスでのぐわ~っという盛り上がりに欠けるというか。
ザックリ面白いんだけど印象が弱いんですよね~。
最後に
きっと子供たちと親御さんが一緒に見て、親御さんが本作のテーマを教えながら、親御さんは考えや価値観を押し付けずに次世代へ地球の未来を託す、みたいな将来の話をするための教材としていい映画だったんじゃないでしょうか。
ホントね普通に楽しい映画なんですよ。
赤い色したエイの群れに乗って逃げたり、イソギンチャクだかナウシカの王蟲みたいなのに襲われたり、それを親子三代で冒険能力を駆使して対抗するアクションとか見ごたえあるんですけどね~。
いかんせんテンポが早いまま進むという。
そういえばサーチャーはCVを務めたジェイク・ギレンホールにそっくりでしたねw
今回はあっさりな感想ですが、それだけ映画もあっさりだったということでw
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10