モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「ザ・モンキー」感想ネタバレあり解説 このサルは、おもちゃじゃない…?

ザ・モンキー

モンキーマン」のときも行ったと思いますが、一応俺「モンキー」って名前でやってますんでね、いくらホラーが苦手だとしても、この映画は観ないわけにはいかないとw

 

どうやらこの映画、「面白いくらい人が死ぬ」映画だそうで。

死に様のバリエーションの多さが怖さを通り越して笑えてしまうというホラーコメディなんだそうな。

 

猿のおもちゃが太鼓をたたくたびに人が死ぬって、だったらゼンマイ巻かなきゃいいじゃん!ってツッコミはきっとっ野暮なんでしょう。

 

ただまぁ監督の前作である「ロングレッグス」が僕の中では評価低めだったので、過度な期待はしないでおこうと思います。

てかこれブラムハウスじゃないのね。

早速鑑賞してまいりました!!

 

 

作品情報

数々の作品が映画化されては話題となる「ホラーの帝王」スティーブン・キングの短編小説「猿とシンバル」を、「死霊館」シリーズのジェームズ・ワンがプロデュース、ニコラス・ケイジが殺人鬼を演じ話題となった「ロングレッグス」のオズグッド・パーキンス監督の手によって実写映画化。

 

双子の兄弟の前に行き届いた、ゼンマイを回すと太鼓を叩き出す猿のおもちゃが、不運な死を招いていく不穏極まりない物語を、まるで殺人カタログを見ているかのようなバリエーション豊かで突飛な殺戮が描かれ、血みどろの絶叫マシンのようなコミカルでポップに見せていく。

 

原作はシンバルを叩く猿だが、太鼓に変更した経緯について監督のオズグッド・パーキンスは、「ディズニーがシンバルを叩く猿の所有権を持っている」と勘違いしたため変更したそう。

また監督はヒッチコック風の解説動画で「すべての原因には結果があり、結果のない行動はない」と意味深な発言で猿のおもちゃのねじを回そうとしている。

それが何を意図しているかは本作を見れば理解できるはずだ。

 

本作の主演には、「アンダーワールド」シリーズや「ダイバージェント」シリーズのテオ・ジェームズが、双子の兄弟を一人二役で演じる。

他にも、Disney+のマーベル作品「シー・ハルク:ザ・アトーニー」でおなじみタチアナ・マズラニー、『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』で幼いころのウォンカを演じたコリン・オブライエン、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのイライジャ・ウッド、「ハロウィン THE END」のローハン・キャンベルなどが出演する。

 

首切り、内臓破裂、感電死、串刺し、割腹、虫の来襲、焼身、炎上、失血、転落死…

原作者のキングも「狂気の沙汰だ」とコメントするほどの本作。

あなたは笑えるか、それとも…。

 

 

ロングレッグス

ロングレッグス

  • マイカ・モンロー
Amazon

 

あらすじ

 

双子の少年ハルとビルは父が遺した持ち物から、ぜんまい式のドラムを叩く猿のおもちゃを見つける。

 

その頃から周囲で“不慮の事故死”が相次いで起こりはじめる。

最初はシッターのアニーが、ほどなくして母・ロイスが亡くなった。

ハルはふたりが死ぬ前にこの猿がドラムを叩いていたことに関連があるのではないかと気味悪がっておもちゃを切り刻んで捨てるが、気づくと元通りとなって戻ってきた。

 

母の死後、兄弟を引き取ったチップ伯父さんが“普通じゃない狩りの事故”で死んだことで、兄弟は猿を枯れ井戸へと葬った――つもりだった。

 

それから25年の時が経ち、一度は結婚し息子をもうけたハル(テオ・ジェームズ)だが、猿が戻ると身近な誰かが死ぬと思い、家族とは距離を置きビルとも疎遠になっていた。

 

しかしそれは起こる。

今度はアイダ伯母さんが“気味の悪い事故”で亡くなったのだ。

遺品整理で伯母の家を訪れたハルは、あの猿が戻ってきたことを確信する。(HPより抜粋)

youtu.be

 

 

感想

ロングレッグスより面白い!

猿が太鼓をたたけば、周りの誰かが面白い死に方をする。

不謹慎だけど笑わずにはいられないホラーコメディでしたw

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

出だしから面白く逝く

パイロットの親父が持ち帰ったお土産を発端に、母や親せきなどどんどん人が死んでいくことで人生を狂わされていく双子の兄弟の姿を描いた、ちょっぴりおセンチで笑ってしまうホラーコメディ。

 

出だしから親父役でアダム・スコットが登場というサプライズゲストに「お!」と思ったのもつかの間、不幸しか呼ばない猿のおもちゃを早く手放したくて買い取り専門店に持ち込んだ途端、勝手に猿が太鼓をたたきだす!!

 

一体どんな死に方を見せてくれるのかワクワクしてましたが、まさか店内に潜んでいたネズミが紐をかじった瞬間、ブリキが持っていたボウガンが店主めがけて矢を放つとは予想外。

しかもはなった矢がブリキに戻る仕掛けになってる事から、ご丁寧に店主の腸を引っ張り出してくれるグロさ。

 

さすがの親父も(てかパイロットの格好でよく街を歩けたな)ご乱心、店内にあった火炎放射器で店ごと猿を燃やし尽くしまう狂いっぷり!

一体あの後親父はどうやって死んだのか気になりますw

 

 

こんな出だしで始まる本作。

父に捨てられた母親は「人生で最低なことがあったら踊ればいい」と、運命に抗うのではなく受け入れることで道が切り開くことがあることを双子のハルとビルに伝えることから、この物語はおもちゃの猿が不幸を招くのか、それとも神の思し召しなのかを曖昧にさせながら恐怖におびえ混乱する双子のありのままの姿を映し出していくお話でした。

 

あまりにも身内が死んでいくせいで、ハルもビルも決して幸せそうな人生を送れてないことはもちろん、グロイ死に方以外は割と物悲しさが漂う物語だったのは意外。

 

予想としては「うっひゃ~~~また人が死んだ~次はうちらじゃないの!?助けて~!!」とか、不幸を招く猿のおもちゃをどうやって処分するかで悪戦苦闘する主人公の姿を見せていくものだと思ってたんです。

 

やっぱり監督の出自みたいなものが反映されてたんでしょうかね。

ロングレッグスでも娘と母親の関係がかなり異質なモノでしたから、何か親と子による不和とか、兄弟間の軋轢とかから物語を展開しようってのが持ち味なんでしょうか。

 

 

そんな監督、なんと今回ハルとビルの叔父さん役で登場するから驚いたw

 

3分早く生まれたことで権威を振るう兄ビルのせいでいじめられるハルは、猿のおもちゃを使ってビルを殺そうと企みます。

しかし猿が選んだのは、なんと母親…

ブーメラン動脈瘤(なにそれ?)で亡くなったことで、兄弟は叔父さん夫婦に身を寄せることに。

 

子どもなんていらねえよ、座ったらいちいち立たなきゃいけねえし。

スワッピングだってできやしねえ…と、よくもまぁ子供の前でクソみてえなこと言うおっさんだな、こんな奴死ねばいいのにと内心思いながら、叔父さんがいつ死ぬか待ってましたが、そのシーンの直後あっという間に死ぬというタランティーノばりの出番の少なさw

 

母親が死んでしまってメンタルがやられたビルは、これまでの死の原因はこのサルのおもちゃにあると意識を向けていきます。

否定するハルも、実際自分がネジを増したことで母親が死んでしまったことを知ってるため、強く言えない。

そこでネジを回したところ、次の瞬間速攻で叔父さんの葬式のシーンに突入w

 

本作は一応コメディと謳ってるので、この辺の編集の妙がかなり効いてます。

溜めを作らず間を詰めて次のシーンに行くから、こっちも不意を突かれて笑ってしまうパターンがいくつかありましたね。

 

どうやら叔父さんは、キャンプ中に寝袋の中に入ったまま、野生の馬76頭に踏みつぶされて死ぬという想像の斜め上を行く死に方w

死亡解剖をするにも、ミートソースばりにミンチ状態と化しており、もう絶句を越えて笑うしかないw

 

 

このように表面的には不審な事故死ではありますが、こっちとしては「猿の仕業」と分かってるので恐怖とも取れるし、想像の斜め上を行く死に方をするので楽しいしかありません。

 

序盤ではベビーシッターと鉄板料理屋にディナーを食べに行くシーンがあります。

そこではシェフがたまたまパフォーマンスで振り回した包丁が、ベビーシッターの首まで届いてしまったせいで、生首が鉄板の上に落ちて店内大悲鳴が巻き起こるというもの。

 

後半では誰かが猿のおもちゃのネジを回しまくったせいで、町内で不可解な死が連発。

ケトルの蒸気をモロに顔に浴びてしまい大やけどをして死んだり、ゴルフ中カップからボールを取り出そうとしたらそこからコブラが現れて首をかじられて死んだり、芝刈り機に巻き込まれて死んだりなど、ついつい笑ってしまうような「ありえない」死に方が連発します。

 

中盤、敢えて家族と距離を取っていたハルが年に一度息子と会う展開になるんですが、夜中モーテルで疎遠だったビルからの着信を取るためプールのある中庭に出ると、そこでも悲劇が待ち受けます。

 

なぜか室内のエアコンの温度が急上昇していたことで目を覚ましたハル。

急激に室温を下げたことによりエアコンのモーターが激しく動き、その振動で扇風機のネジが外れ、プールに放水している蛇口近くの水たまりに落ちる、たまたま夜中にプールで泳ごうとしていた女性が、電気が流れているプールに飛び込んだ瞬間木っ端みじんに砕け散るというピタゴラスイッチ的死に方が壮絶でしたw

 

これは散々人が死んでいく姿を間近で見てきたハルもさすがの悶絶。

だって、漏電している水の中に飛び込んだら人は木っ端みじんにならんでしょうw

大爆発を喰らったかのようなバラバラっぷりで、ハルの前に足が飛んでくる始末ですよw

部屋に戻ったハルは、ぐっすり寝ている息子を起こさないという配慮ができる分、メンタル的にはまだ正常だとは思いますが、いてもたってもいられず枕を顔に当てて思いっきり叫ぶんだから、これまた笑ってしまうw

 

 

ハルとビルが世話になったおばさんも、残念ながら不幸な事故死を遂げます。

 

封印したはずの猿のおもちゃの太鼓の音がなぜか夜中に鳴り響き、ピストル片手に家を警戒しながら歩く叔母さん。

音は地下室から漏れてると察知した叔母さんは、恐る恐る地下室を降りて電気を消すと、チラッと映る猿のおもちゃ。

 

一瞬で消えた明かりに戸惑いながらも部屋から出ようとするおばさんでしたが、階段が急に崩れ落ち落下してしまいます。

落ちた先は釣り具がしまってあった段ボールの中…おばさんの顔はルアーだらけになっていましたw

いやぁ~痛そう、そんな光景を見ながらこの後叔母さんはどうやって死ぬのかワクワクしてましたが、なんとガス漏れの臭いに釣られてコンロの前に顔を使づけてしまうんですね~w

 

ルアーで傷ついた顔にアルコール消毒液をたっぷり塗ってましたから、オチはどうなるのかはもおうおわかり。

コンロが急に発火して顔じゅう燃え上がる事態に発展します。

 

パニクったおばさんは部屋中走り回ったあげく外に飛び出します。

するとなぜかドアの前に誰かからの贈り物らしき筒がおいてあり、モノの見事に足を突っ込んでしまいます。

そのせいでバランスを崩しながらさらに外に走ると、家の看板の端に顔ごとツッコんでジエンド。

なんて惨い死に方なんだと開いた口が塞がりませんでしたw

 

叔母さんの家を売るためにやってきたセールスレディも、開かずの間をあけた途端はずみで落ちてきた散弾銃が暴発して木っ端みじんに。

隣にいたハルは、もう驚きませんw

 

 

死にざまの面白さはさらに終盤でも映ります。

町の連続事故死の黒幕は、猿のおもちゃを使って母親を殺したと思い込んでるビルでした。

彼は地元の警察官の息子を利用して、叔母さんの家の遺品整理を兼ねたセールで猿のおもちゃを購入し、ビルに手渡していたことが明かされます。

 

ビルはハルを殺すために何度もネジを回しますが、猿が選んだのはハルではなく町の住民たち。

多発する事故死を生み出してるのはビルが持っているおもちゃだと気づいた警察官の息子は、家族を捨てた親父を殺すために、ハルと息子を誘拐し、ビルの元へ連れていきおもちゃを強奪することを計画します。

 

命じられてビルのいる部屋に侵入した息子は、初めて対面する叔父ビルから、お前がネジを回せと命じられます。

車内で待機していた警察官の息子は、被っている帽子がチクチクしてかゆいと頭を掻きますが、そのはずみで銃が暴発、車の窓を割ってしまいます。

 

銃弾は車の先にあった蜂の巣に命中、おもちゃの音色が聞こえた途端、ハチの巣は徐々に大きく揺れ始め、銃弾で割れた車の窓を通じて、警察官の息子めがけてもう突進していきます。

何百匹ものハチが口から体内に侵入し、警察官の息子は窒息、体内から無数のハチが体外へと溢れる無惨な死を遂げるのであります。

 

もうね、とにかく死に方のバリエーションをただ見るだけで楽しいですw

不謹慎だとは思いますが、これは映画ですから、フィクションですから、大いに笑ったもん勝ちですw

ただ、まぁグロいですけどねw

 

 

最後に

とにかく笑えて仕方ないんですが、上にも書いた通り物語自体は悲哀が充満した内容。

自分をいじめる兄への憎しみと、そんな自分を殺そうと猿のおもちゃのネジを回した結果母親が死んでしまったことに対する弟への憎しみが招いてしまった不幸。

 

互いが手を取って乗り越えればこんなことにはならなかったのにと思いながらも、二人にしかわからない苦しみがあったという話です。

 

最後には黙示録めいた白馬に乗った白い老人の姿が。

死神の化身による行いなのか、やはり猿のおもちゃの仕業なのかは不明ですが、母親が言う「運命に抗うのではなく受け入れる」ことが本作の伝えたい事だったのではと感じます。

 

実際母親が死んだのは、猿のおもちゃの仕業ではなかったことが明かされる辺りから、その言葉はより強く感じられるのではないでしょうか。

そう考えると、猿のおもちゃは決して不幸を呼ぶアイテムではなく、死を予告するものだったのかもしれません。

 

 

演出的には監督が敬愛してやまないヒッチコックな点がひとつ。

ハルが意識を失ってく描写は「めまい」ぽかったですね。

他にもスティーブン・キングの小説の登場人物を絡めた役名や町が出る辺りも、ちゃんとリスペクトした箇所がありました。

 

音楽も1曲もわからなかったけど、ジャズを始めとしたオールディーな楽曲が流れることで、クラシックスリラー風の演出を感じました。

 

どうやら次回作もあるようなので、今後も監督から目が離せませんね。

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10