トップ・ガン マーヴェリック
きっと「トップガン」を見ていなかったとしても、「デンジャー・ゾーン」のメロディを耳にしたことがある人は多いはず。
「ゴーストバスターズ」や「バットマン」、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」や「フットルース」などなど、80年代のハリウッド映画は、作品と主題歌がセットになってヒットする傾向が強かった時代。
この「トップガン」も正に、主題歌と共に記憶し、主題歌と共にヒットした作品だったのではないでしょうか。
しかもトム・クルーズが世界的ハリウッドスターの仲間入りをしたのも「トップガン」がきっかけ。
MA-1ジャケットやサングラス、バイクはもちろん、ネームプレートまで人気に火が付いたとか。
そんな流行を与えた「トップガン」が36年ぶりの続編。
当時のようにトム・クルーズ一色となる大ヒットを遂げるのか。
アカデミー賞にもノミネートするほど、世界を熱狂させた本作。
いざ、感想です。
作品情報
現役ハリウッドスター、トム・クルーズを一躍スターダムにのし上げた1986年公開の「トップ・ガン」。
戦闘機パイロットのエリート中のエリートを集めた養成学校を舞台に繰り広げられた空中アクション青春映画が、36年の時を経ての「続編」。
かつて型破りながらも最高のパイロットとして名を刻んだ主人公が、今度は教官として型破りな方法で指導をしていく姿を描く。
前作よりも遥かにグレードアップを計った本作は、トム自身はもちろん主要キャストらが本格的にパイロットとして訓練をして演技。
リアルを極限まで突き詰めることで、トムの「映画で夢を見せる」精神が随所に見て取れる作品へと仕上がった。
また監督にはトムとタッグ経験のあるジョセフ・コシンスキーを起用。
さらには「ミッション・インポッシブル」や「アウトロー」などで仕事を共にするクリストファー・マッカリーが本職である脚本に携わり、製作には前作と同じく「ヒット作請負人」のジェリー・ブラッカイマーと、「プロデューサー」トム・クルーズの本作に懸ける本気度が伝わる布陣となった。
劇場で映画を見せることに人一倍こだわるトム・クルーズが、圧倒的映画体験を与えてくれた本作は、第95回アカデミー賞作品賞含む6部門にノミネートをする快挙を成し遂げた。
巨匠スティーブン・スピルバーグはトムに対し、「君が映画業界を救ってくれた」と賛辞。
そんな偉大なマーヴェリック=トムの勇士を目に焼き付けよ。
あらすじ
米海軍史上最高のパイロットでありながら、常識破りな性格と組織に縛られない振る舞いからいっこうに昇進せず、現役であり続けるマーヴェリック(トム・クルーズ)。
そんな彼に、海軍トップのアイスマン(ヴァル・キルマー)が特命を授ける。
それは、達成不可能なミッションに直面した新世代のパイロットたちを指導することだった。
エリート・パイロット養成学校“トップガン”に教官として赴任したマーヴェリックは、圧倒的な飛行テクニックで若き訓練生たちの度肝を抜き、また戦うことの厳しさを教える。
しかし、その型破りな指導は訓練生たちの反発を招き、かつて訓練飛行中に命を落とした相棒グースの息子ルースター(マイルズ・テラー)から「父はあんたを信じた。だから死んだ」と糾弾される。
マーヴェリックは「もう誰も死なせたくない」と強い決意を胸に秘め、若きトップガンたちと共に空に命を懸ける。(Penより抜粋)
監督
本作を手掛けるのは、ジョセフ・コシンスキー。
父を救うためコンピューターの内部世界で様々なゲームに挑む姿を描いた「トロン:レガシー」、山火事から人々を守るため活動する精鋭部隊を描いた実話「オンリー・ザ・ブレイブ」など、CGをフル活用した作品からオーソドックスなヒューマンドラマまでこなす監督。
トム・クルーズとは、荒廃した地球で監視する仕事を任された男の数奇な運命を描いたSFスリラー「オブリビオン」で一度仕事をした経験を持ちます。
今回もトムのご要望だったのか、IMAXカメラを用いての臨場感たっぷりな撮影に挑戦。
ダイナミックな映像製作は過去作から見てもいい仕事をしてますから、その迫力に期待ですね。
キャスト
主演のピート・”マーヴェリック”・ミッチェル海軍大佐を演じるのは、もちろんこの方、トム・クルーズ。
相変わらず自分でスタントをこなす奇跡のおじさま。
怪我をしたってすぐさまカムバックするんですから、ホントこの人の映画にかける情熱は凄まじいもんです。
今回も3ヶ月に渡って訓練を積み、当時とは比べ物にならないほど「パイロット」としての風格を見せています。
今回彼に期待するのは、マーヴェリックとトム自身、どこまで重ねてくるか。
どちらも現役の2人が、後世に何を残そうと考えているのか。
きっとトムはピートを演じることで、作品を通じて自身のメッセージを伝えようと試みてるはず。
彼の今後のキャリアプランにも関わってきそうな予感がします。
他のキャストはこんな感じ。
マーヴェリックのかつての相棒グースの息子であり、今回養成学校にやってきたブラドリー・”ルースター”・ブラッドショウ海軍大尉役に、「オンリー・ザ・ブレイブ」、「セッション」のマイルズ・テラー。
海軍基地の近くでバーを経営するシングルマザー、ペニー・ベンジャミン役に、「ビューティフル・マインド」、「アリータ:バトル・エンジェル」のジェニファー・コネリー。
ボー・”サイクロン”・シンプソン海軍中将役に、「ベイビー・ドライバー」、「リチャード・ジュエル」のジョン・ハム。
ジェイク・”ハングマン”・セレシン海軍大尉役に、「エブリバディ・ウォンツ・サム!!」のグレン・パウエル。
チェスター・”ハンマー”・ケイン海軍少将役に、「ライトスタッフ」、Netflix映画「ロスト・ドーター」のエド・ハリス。
そしてマーヴェリックのかつてのライバルであり、現在海軍大将としてピートを教官へと命ずるトム・”アイスマン”・カザンスキー役に、「ヒート」、「バットマン・フォーエヴァー」のヴァル・キルマーなどが出演します。
伝説のスカイ・アクションは、36年の時を経てどう変化を遂げたのか。
コクピットに乗った気分が味わえるそうですが、果たして。
ここから観賞後の感想です!!
感想
#トップガン マーヴェリック観賞。
— モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) 2022年5月27日
これは面白え!
トムクルーズの意思表明とも取れるんじゃないかなぁ。
涙と笑いの分量もちょうど良く、手に汗握るドッグファイトでしたね。
しかし奈っちゃん、「僕は戦闘機乗り」って訳は古いよ… pic.twitter.com/iK9KeX07PZ
いやぁ最高でしょう!!
懐かしのキャラ、懐かしの音楽、懐かしのノリ、それだけじゃないんだなぁ!!
そしてトムは生涯現役という意志表明を本作を通じて言いたかったのかもしれない。
以下、ネタバレします。
36年の時を経て尚走り続ける
とある「やらかし」によりパイロットの道ではなく「教官」の道を歩むことになったマーヴェリックが、相棒の息子はじめ、「自分はすごい」と息巻く連中に、実践の厳しさと生還することを大切さを教えながら、ミッション・インポッシブルな試練を、自ら「ミッション・ポッシブル」へと体現する圧倒的最強パイロットを見せつける本作。
そもそも僕自身「トップ・ガン」にそこまでの思い入れはなく、有名な映画だし見ておくかレベルで自宅鑑賞した程度の人間です。
実際前作って、ミグ戦闘機とのドッグファイトが見せ場になってるけど、結局敵って誰やねん?て疑問があったし、アイスマンとバチバチに火花散らして成績1位の座を争うけど、どう見てもムチャばかりしてグースも共感も困らしてばかりのマーヴェリックより、皮肉たっぷりだけど冷静沈着なアイスマンの方が優秀でw
あとはもうトレンディドラマってくらいベタな恋愛要素ですか。
確かに当時はああいうのが日本でも主流だったし、そこに眉を細めることはないんだけど、まぁマーヴェリックが自信家で、よくあんな態度で共感を口説けるなぁと。
でもそういう強引な所が女性は好きなんだろうなぁなんて、本作を真似したであろう日本のトレンディドラマを見て影響を受けたところもあって、割かしサクッと楽しめた程度の印象なんですよw
で、事前におさらいして挑んだ本作。
もう一言、「最高」でした…
普通さぁ、還暦を迎えるスターが体を張ってコクピットに乗って生徒たちに「現実の恐ろしさ」とか身を持って教える必要なんてないんですよ。
デスクにどっしり座って、若きパイロットたちに言葉で教えればいいんですよ。
なのに彼はどう考えても犠牲者が出てしまうような不可能なミッションのために、自ら敵となって圧倒的なテクニックでロックオン。
チームワークこそ成功の鍵だと言ってるのになかなかわかってくれない訓練生たちに、「失敗した言い訳を遺族に向けて言ってみろ」と眉間にしわを寄せて語るマーヴェリック。
教官の座を降ろされた際には、自ら不可能なミッションを制限時間内に成功してみせるという強引な手段で納得をさせる。
これを全部トム自身がスタントなしで、身をもって後世に「背中」で見せてるんですよ。
実は本作を見る前に、きっとこんな物語になるのではないかと予想してたことがあって。
それはこれまでずっと現役のパイロットとして活躍していた彼が、「教官」として若い人たちに指導する楽しみを覚えて、次なるマーヴェリックを誕生させるようなプロットになるのではないかと。
それは体に鞭打って様々なアクションで魅了してきたトムが、腰を据えての俳優活動する、もしくはアクションメインの作品は一旦これで幕を閉じる、みたいな意志を見せる作品になってるのではないかと。
で、ふたを開けてみたら、僕の予想はいい意味で裏切られていました。
教官の職を失ってしまった彼が一度は退路を考えるも、やはり自分の信念を曲げることはできず、身をもってミッションを成功させることで、実際に今回のミッションのリーダーを務めることになる。
色々な危機はあったものの、彼の活躍のおかげでミッションは見事に成功。
若いパイロットたちがマーヴェリックによって成長したのと同時に、マーヴェリックもまだまだ現役パイロットとして機能できるということを見せつけた映画だったんですね。
これって要は、トム・クルーズは間もなく60歳になるけれど、まだまだアクション出来ますし、体も張れますし、それによってお客さんも呼べます!っていうアピールなんですよ。
彼が目指す「映画」とは、彼が誰も真似できないようなアクションを見せることで観衆を釘付けにさせることなんだっていう意志表明にも取れた映画だったんじゃないかなと。
劇中何度も「なんだその目つきは」って聞かれるシーンがあって、それに対してマーヴェリックは「普通さ」って言うんですよ。
時折見せるトムの表情は、若干こわばって見えたり余裕綽々な顔だったりするんですけど、どんな状況下でも「普通さ」と答える彼の自信に満ち溢れた言葉は、例え不安や弱い部分が見えるような時でも「俺は平気」と平然とした態度で返す強さというか、これぞスターなんだなぁと思わされたんですよ。
もちろん昔のマーヴェリックもそういった自信満々なところとか強気な態度を出す性格だったけど、36年経ってもそれは変わらない=あの頃から今も「スター」の風格を持ってるんだぞ俺はみたいなw
今や俳優の名前でお客さんを呼ぶことが難しくなってしまったハリウッド映画ですが、銀幕のスターってこうでなきゃ!と思い知らされた映画でしたね~。
トム・クルーズはやっぱり生涯現役で映画スターです。
懐かしい、あのノリ。
いい加減本作の中身を語っていきましょう。
いきなり前作と同じような「海軍のトップ中のトップを集め、失われつつある空中戦の存続のために集められた者たち」みたいな文言が画面上に流れ、「トップ・ガン」の表記!
航空母艦の上で働くクルーたちの姿を見せながら流れる「デンジャー・ゾーン」!!
そりゃ誰だってニヤけるからww
この時点で100点満点ですから!!
最初マーヴェリックは、仲間と共に「速さの限界」に挑んでましたね。
最新鋭の戦闘機で「マッハ9」に挑むわけでしたが、計画は上からの命令でとん挫。
無人機の方に予算を回されてしまうことで、せっかく仲間と共にコツコツやってきた計画が台無しになってしまうと。
そこでだったら「マッハ10」を見せつけてやればいいんだろ?とこの歳になっても勝手なことばかりやりつつ結果を出してしまう無謀なチャレンジをやっていたんですね~w
ここはどこかしら「ライトスタッフ」を思い出しちゃいましたね。
なんせ勝手なことして何やってんだこら!とモニターを睨みつける少将の役を、当時「ライトスタッフ」に出演していたエド・ハリスが演じてるんですからなおさらです。
結局お咎めをくらうことになったマーヴェリックは、司令官アイスマンたっての希望で「トップガン」の教官として働くことに。
なんとなく前作と流れは似てましたね。
で、久々に訪れた基地で12名の候補生の中に、かつての相棒グースの息子ルースターの姿があったり、候補生同士が「俺がナンバー1だ」と意地の張り合いを見せる辺り、そしてグースがピアノで弾いていた曲を息子のルースターもまたピアノを奏で歌う姿を目の当たりにして動揺を隠せないでいるマーヴェリックの姿…
冒頭でも自分のロッカーにグースとの写真が貼られてたり、ルースターの姿を見て、グースとの思い出や悲しい過去といった当時の映像がフラッシュバックとして流れるので、もう涙腺緩みっぱなしです。
ルースターはマーヴェリックが教官であることを知り、ふてくされた態度を見せるんですね。
もちろん親父を殺した男みたいに恨みを持ってるんでしょうけど、実はそれだけじゃない。
何とマーヴェリックは彼が入りたかった士官学校への願書を破棄していたんですね。
そのせいで4年遅れての入隊となってしまったわけで、マーヴェリックの憎悪は対面して以降膨らむばかりだと。
マーヴェリックもやり辛さを感じながらも教官としてしっかり指導はしてるんですけど、この関係性が他のパイロットにも知れ渡ることで、チームの中はさらに悪化の一途を辿るという。
また候補生の中にはハングマンという速さにこだわるニヒルな奴がいまして、こいつとルースターがいがみあいっぱなしなんですよね。
この関係性も前作で言うところのマーヴェリックとアイスマンのような対立関係で、本作に懐かしさと後に繋がる伏線にもなってるという。
で、今回のミッション、前作と違って勝手に領空内に入ってきたミグ戦闘機と戦うっていう強引な話ではなく、「勝手に核を保有しているならず者国家」という抽象的ながらもしっかり敵を置いているんですね。
この核の貯蔵地にミサイル落として生還すれば成功なんですけど、めちゃめちゃ谷の深い場所に基地があり、ちょっとでも高く飛行すればレーダーであっという間に感知されミサイルで撃破される、しかもミサイルをぶち込んだ後、谷を越えるのに急上昇しなくてはならず、一気に体感することになる重力によって意識を失う可能性もあるという、とてつもなく難解な作戦なんですね。
この作戦でマーヴェリックを中心に作戦を実行していく中で、これまで複雑な関係だったルースターとどう絆を深めていくか、そしてバラバラのチームは一つになることができるのかという話になっていくんです。
もちろんこれだけじゃありません。
昔何かしら関係があったと見えるペニーとの恋愛模様もあります。
シングルマザーとしてバーを経営するペニーは、再会を喜ぶも「あたしたち上手くいかないから関係を作りたくない」と言われる始末。
そこでマーヴェリックはあの「なんだその目つきは」をすることで、前作でも自信たっぷりだったマーヴェリックスマイルをみせるわけですw
え?俺が目の前にいるのに、何も始まらないって決めつけるわけ?とw
もう最高です。
何も始まらないからね!と女性に言わせておいて一緒にクルージングしたり、候補生と砂浜でアメフトをやる際も、ペニーに汗で強調されたバッキバキのマッスルボディを見せつけることで、結局女の方が黙ってられないというw
如何にも昔のトレンディドラマの展開w
そう、トップガンてドッグファイトもいいんだけど、こういう展開があるから女性も満足できるアクション映画になってるという。
しかもトム・クルーズですから文句はないでしょうw
当時青春を過ごしたカップルはデートムービーとして見てたんだろうなぁw
先ほども書きましたが、チームの結束を図るため砂浜でアメフトをやるというのも、いかにもトレンディな要素。
前編でも候補生たちでビーチバレーをやってたシーンがありましたけど、それを彷彿とさせるシーンでしたね。
そしてアイスマンとの再会。
かつての戦友が司令官であることから、幾らムチャをしても現場で活躍できたマーヴェリックでしたが、どうやらアイスマンはご病気という設定。
声を出すのも難しいという状態でしたが、会って任務の話をしたいとアイスマンから呼び出す展開に。
ルースターとの関係がうまくいかず、未だ過去の行いを引きずって弱音を吐くマーヴェリックに、「君は海軍になくてはならない存在であり、ルースターにとっても君は無くてはならない存在」だと、声が出ない状態の中、絞りながら発声するアイスマンの姿に涙でした・・・。
最後に
懐かしさを思い出す場面から、つい涙を流したり、シリアスな展開からふとした笑いを挟んでくる辺りなど、全体を通して色々調和のとれた展開だったのが観ていて心地よかったです。
またルースターとF-14戦闘機を盗んで帰還を目指すクライマックスは、前作のマーヴェリックとグースを見ているような気持ちになり、ドッグファイトもすごいんだけどその道中でマーヴェリックが報われていく、そして帰還後の2人の会話「君に救われた」「父の代わりです」ってのが溜まらないんだなぁ!!!
ぶっちゃけベタっちゃあベタで、アッと驚く展開がたくさんあるわけではないんだけど、懐かしさだけじゃない熱さもしっかりあって、前作を見てない人でも感動できる映画になってたと思います。
でも!前作を見てから見てほしいかなぁ!!
その方が感動が何倍も膨れ上がる気がしますw
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆☆☆☆★★★7/10