関ヶ原
日本の戦国時代で1,2を争うほど有名な戦のお話、
ですが、そんなに詳しくないので、毎週欠かさず見ていた「真田丸」と(数秒で片付けられたけどw)、先日フォロワーさんから教わった「葵三代徳川」を見て(残念ながら第1話しか見てないです・・・)と、付け焼刃ではありますが、予習をしておきました。
まぁこの作品は結末はわかってるわけです。家康が勝つと。
なので見所は、結末までの三成と家康の動向なのだと思います。
役者はそうそうたるメンツだし、アクの強いのばかりなんで歴史ドラマとしては楽しそうですけどね。
果たして内容やいかに。
早速鑑賞して参りました。
作品情報
司馬遼太郎原作小説を初の完全映画化。
戦国史上最大の合戦「関ヶ原の戦い」を真正面から描くと共に、これまで各ジャンルで語られてきた天下分け目の戦いを、25年に渡り映画化を熱望した監督によって、新しい解釈として描く。
あらすじ
関ヶ原の戦い――。
それは、戦乱の世に終止符を打ち、後の日本の在りようを決定付けた。
幼くして豊臣秀吉(滝藤賢一)に才を認められ、秀吉の小性となった石田三成(岡田准一)。
成長し大名にとりたてられた三成は自分の石高の半分を持って、猛将として名を馳せた牢人・島左近(平岳大)を家来に乞う。
秀吉に忠誠を誓いながらも、利害によって天下を治めることに疑問を感じて正義で世の中を変えようとする三成の姿に、左近は「天下悉く理に走るとき、ひとり逆しまに走るのは男として面白い」と配下に入る。
伊賀の忍び・初芽(有村架純)も❝犬❞として三成に仕えることになる。
秀吉の体調が思わしくない。天下取りの野望を抱く徳川家康(役所広司)は、秀吉の不興を買う小早川秀秋(東出昌大)や他の秀吉恩顧の武将たちに言葉巧みに取り入っていく。三成はそんな家康が気に食わない。
1598年8月、秀吉逝去。よく1599年閏3月、大老・前田利家(西岡徳馬)も亡くなると、先の朝鮮出兵時から三成に恨みを持つ福島正則、加藤清正ら秀吉子飼いの七人党が、三成の屋敷を襲撃する。
三成は家康の屋敷に逃げ込み難を逃れるが、このことで佐和山城に蟄居。家康の影響力が増していく。
1600年6月、家康が上杉討伐に向かう。上杉家家臣・直江兼次(松山ケンイチ)と家康の挟み撃ちを図っていた三成は、盟友・大谷刑部らを引き込み、毛利輝元を総大将に立て挙兵。三成の西軍、家康の東軍が覇権をかけて動き出す。
1600年9月15日。決戦の地は関ヶ原。三成は、いかにして家康と世紀の合戦を戦うのか?
そして、命を賭けて三成を守る初芽との、密やかな❝愛❞の行方は・・・。
権謀渦巻く中、「愛」と「正義」を貫き通す❝純粋すぎる武将❞三成と野望に燃える家康の戦いが今。幕を開ける!!(HPより抜粋)
監督
今回監督を務めるのは、原田眞人。
ジャーナリズム色のある、かなり重めのヒューマンドラマを手掛けているイメージがあり、特に役所広司がよく出演している気がします。
あまり原田監督だからと好んで鑑賞はしないのですが、挙げてみると名の知れた作品ばかりです。
ざっくり代表作をご紹介。
ロスで監督修行をし何作も手掛けながら、多方面で活躍していた監督が、まず陽の目を見たのは、当時援助交際やガングロなど社会現象になったコギャルたちの生態をリアルに描いた青春群像劇「バウンス ko GALS」でブルーリボン賞監督賞を受賞。
その後も、連合赤軍のメンバーが人質を取り立てこもった、日本犯罪史上に残る大事件での、犯人グループと警察の緊迫した攻防を描いた「突入せよ!「あさま山荘」事件」、
御巣鷹山日航機墜落事故での、遊軍記者でありながら事故取材の全権デスクを命じられた主人公を中心に、様々な人間模様を緊迫感と情感あふれるタッチで描いた「クライマーズ・ハイ」、
江戸時代の縁切寺で繰り広げられる離婚を巡る悲喜こもごもを描いた人情時代劇「駆込み女と駆出し男」、1945年8月14日から翌15日までの戦争終結に至るまでの激動の24時間を豪華キャストで描いたリメイク作品「日本のいちばん長い日」などがあります。
個人的にはこれが監督作品の中で一番好きです。
どちらかというと監督がすごいんじゃなくて、終始展開される記者たちの白熱のガチンコバトルに、見てるこちら側も熱が入るような、演者同士のパッションのぶつかりあいが素晴らしく、とにかく出てる役者全員に惚れてしまう、そんな印象を受けました。
中でもMVPは堤真一じゃなく、堺雅人でもなく、滝藤賢一であります。
事故現場での生々しさを目の当たりにし、トチ狂ってしまった記者の役を迫真の演技で魅了してくれました。
今でこそ名バイプレイヤーとして大活躍の彼ですが、当時はまだまだ知名度の低い役者さんでした。その頃からこの巧さを見ると、ほんと有名になれてよかったなぁと、ちょっとした親心感覚になりますw
今回も豊臣秀吉役ということで、どんな活躍を見せてくれるか楽しみです。
全然監督の話してねぇ・・・
監督に関してはこちらもどうぞ。
キャスト
いきますよ~、はいどーーーーんっ!!
登場人物多っ!!!
まぁ監督の作品ではよくあることなので、今回もこうきたか、と。
とりあえず、有名どころだけ紹介します。
石田三成を演じるのは岡田准一。
「船出せ~っ!!」の「海賊とよばれた男」、「俺達はもっと早く会うべきだったっ!!!」の「追憶」と、相変わらず映画を軸に俳優活動を続けている岡田君。
時代劇は軍師官兵衛以来になるのかな?この鋭い目がいいっすよね~。
個人的には演技の引き出しが一辺倒になっている気がするので、そろそろ別の引き出し、というかクダけた役どころが見たいんですけどね。
でもまぁ、画になります。はい。
こちらもどうぞ。
徳川家康を演じるのは原田作品常連の役所広司。
歳を重ねるごとにアクの強さが際立っていく役所さん。
これまで監督作品には、「バウンス ko GALS」、「金融腐食列島 呪縛」、「突入せよ!あさま山荘事件」、「わが母の記」、「日本のいちばん長い日」と数多く出演。監督はきっと役所さんありきでキャスティングしているような気がする。
今回は古狸・家康をどう演じてくれるのか楽しみです。
こちらもどうぞ。
伊賀の忍びとして三成に仕える初芽を演じるのは、有村架純。
「SPEC」で戸田恵梨香のバーターとして出演していた彼女も、もう立派な女優さん。
最近ではグラビアアイドルの姉がしょっちゅうネットニュースに取りざたされていますが、気にしているのでしょうか。
それどころじゃないくらい忙しいか。
今回明らかに男の匂いしかしない戦国時代劇でどういった印象を残せるか見ものです。
こちらもどうぞ。
三成の右腕、島左近を演じるのは平岳大(ひら たけひろ)。
俳優の平幹二郎、女優の佐久間良子を両親に持つサラブレッド俳優です。
色々な作品で脇役として出演してきましたが、今回彼にとって一番の大役じゃないでしょうか。
彼が演じる役って、インテリでニヒルでイヤな奴の役が多いイメージでしたが、島左近のような暴れん坊のイメージがなかったのでどう演じるのか楽しみです。
監督自身も島左近に強く惹かれたと仰っていたので、今回の抜擢は是非彼に!という監督たっての希望だったのかなと。あくまで推測ですがw
他の主要キャストで有名どころはこんな感じ。
徳川率いる東軍へと寝返るこの戦いのキーパーソン、小早川秀秋役に東出昌大。
上杉景勝を支える家老・直江兼次役に松山ケンイチ。
太閤殿下・豊臣秀吉役に滝藤賢一。
などなど多数のキャストらが演じます。
これを機に俳優として大きく成長できたらいいですね。
もう結果はわかってます。
ネタバレどうこうではなく徳川家康率いる東軍の勝利です。どうやって勝利したのか、そして、なぜ三成率いる西軍は負けてしまったのか。
結果に至るまでの熾烈な駆け引きとドラマを、どう描いてくれるのかが見どころになってくるんだと思います。
女性出演者もいることから女性側の視点、またはそこでのドラマも描かれるということなんでしょう。
ここから鑑賞後の感想です!!!
感想
とにかく早口で展開される腹の探り合いと情報戦!
歴史わからない人には厳しすぎる、不親切な戦国ドラマ!
以下、核心に触れずネタバレします。
不親切過ぎない?
秀吉亡き後、激化してしていく三成と家康の抗争を両側から描くことで、自ずと見えてくる理想と現実の行く末。
天下分けめの戦いと称された関ヶ原の戦いまでの過程を、濃厚に描いた作品でした。
あくまで付け焼き刃ではあるものの、毎週見ていた真田丸と、葵三代徳川第1話を見ておいたおかげで、この戦いのきっかけと全容はなんとか理解していたものの、確実に一見さんお断りな内容は、ちょっと可愛そ過ぎやしませんか?
と、作り手の思いやりのなさが見えてしまう出来でした。
1番いけないのは長尺なのにもかかわらず、それでも尺が足らなかったのか、全編通して台詞が早口だということ。
「日本でいちばん長い日」のように、そんなに切羽詰まった一刻を争うような期間を描いてるわけじゃないんだから、端折れるところ端折って良いんじゃないの?
もしくは、スタート地点を大阪城築城から始めるんじゃなくて、決戦1週間前にするとか、歴史わからなそうだけど岡田くん出てるから見たいよね!って思ってる観衆のために、それ相応の配慮があっても良かったんじゃない?
なんて感じてしまいました。
で、それ以上に良くないと思ったのが、早口言葉の滑舌が悪くて、何言ってるかわからないこと。
役者の熱量は素晴らしかったのは承知の上で、叫んだり、喉仏しめて話すもんだから聞き取れない聞き取れない。
もうちっと録音編集なんとかならなかったのか。
もちろん内容は大胆な解釈を入れたわけでもなく史実通りで、特に石田三成に関していえば、冷酷で策略家だけど、戦うの下手くそってイメージがありましたが、今作では義を貫く武将として、好感の持てる人物として描かれていたし、不器用なまでの忠義が後に彼を追い詰めていくという、悲しい末路へと向かっていくわけですが。
正直大河ドラマのように、グッとくるような演出もあまり感じなかったし、どんどん没入していくような描き方もされてないので、只々退屈でした。
クライマックスは激しい
正直この作品の見どころがどこなのか褒める点がどこなのか、中々説明しづらいのですが、一番わかりやすいのは、エキストラを大勢使って大スケールで描いた合戦なのではないでしょうか。
母衣をつけた騎馬隊や、槍隊、鉄砲隊、その他諸々芋を洗うかのようにうじゃうじゃ入り乱れる在れた展開は、これぞ戦といったところ。
特に島左近の最期の大爆破は迫力ありました。
ただこれ、寄りの画ばかりで、引きの画がないから相当大きな戦いのはずなのに、どこかごまかしごまかし撮っているようにも見えてしまいます。
山の中での戦いだからってのもありますが、空撮とかで広い原っぱを一望するような描写がなく、もっとやり様があったのかなぁとも。
それでも臨場感ある戦いをちゃんとやってくれたので満足ではあります。
後は小早川秀秋の葛藤がピークになった場面。
徳川につくか三成につくか悩んでるところへ、島左近の息子が到着した時の感情爆発は結構好きです。
ようやく三成の思いが伝わったのに、その思いにこたえられない苦悩っぷりは心を動かされました。
ここに関しては、ウジウジ悩んでた秀秋を早く決断するため、徳川がケツに火つけるっていうのが通説なんですけど、もっと人間味持たせて描いてたので、今までの関ヶ原とは違うところなのかなと感じます。
有村架純。
伊賀の忍びとして三成に仕える初芽。
結果的に彼女の必要性に疑問を感じます。
打ち首にされるところで、明らかに孤立状態なのに、刀を振り回し歯向かうその勇気にほれ込み、三成は彼女を使いのものとして自分の下に置くんですが、中盤を境に、三成の前からいなくなってしまいます。
それは忍び仲間の者に裏切られ深手を負ってしまったため、女たちだけで生活しているような場所で奴隷扱いされてしまうからです。
帰ってこない初芽に三成は気が気ではなくなり、少々取り乱します。
最期には二人は再会しますが、時は打ち首になる直前の道中でのこと。
2人はお互いを思い合うっていう筋書きなんですが、ここまで話詰めて早口言葉でやってるのに、このサイドストーリー要る!?ってなっちゃうんですよね。
今作では女性が活躍する場はあるにはあるんですが、結果的には男どもによって使い捨てみたいにされちゃうんで、もうハナッから多様性要りませんよといいたい。
実際戦国時代は男の世界ですし、北政所の腹の内くらいを入れるだけで十分だったように感じます。
アクションも何やってる変わらない動きしてたし、結構無理なキャスティングだったんじゃないかなぁ。
とりあえずなぞっただけ?
結局的に本作、結果が分かってるのだから結末までをどう描くかってのが一番大事なわけで。
なのに中身はとりあえず史実をなぞり、三成の人となり、家康の人となりを掘り下げてはいるものの、登場人物の多さのせいで、情報量が多すぎて、どれが誰で、誰がどれ?ととにかく追いつかない。
かろうじて7人党や井伊直政あたりはわかりましたが、後はこれ誰?
ここはもうナレーション任せで説明してもよかったのかなぁとも。
そうそう、ナレーションは自分の事を筆者と名乗っていましたが、これは誰の事を言ってるのでしょう。
司馬遼太郎ってこと?でいいのかな?
そうなったらますます、原作読まないとわからないじゃないか。
現代社会の縮図
三成は自分の上司に当たる秀吉の悪行に苛立ちながらも、自分をここまで育ててくれたことへの義を貫き、彼の亡き後、当時掲げていた正義を絶やさないため、先頭に立って戦を仕掛けるわけですが、これって正に理想と情熱だけで突っ走る社会人と何ら変わらないよねぇ~と。
で、そんなひとって、どこへ行っても煙たがられる存在。
お前みたいな理想主義者は暑苦しくてたまらないよ、どっか行ってくれみたいな。
んでもって三成は一本気な性格ゆえ、初芽が好きなのに側室にも入れないし、悪知恵働く家康に腹が立つわけで。
こういう性格の人もいますよね~。
でもって家康は、虎視眈々とトップの座を狙いながら牙を隠し、チャンスをうかがっている男。
で、いざトップがいなくなったら一気に根回し根回し。
こういう人もいますね~。上に色々取り繕った結果、手柄を自分のものにするような腹黒い人。
まぁ鳴くまで待とうホトトギスな人ですから。
ひたすら待ってたってことですし。
最後に
なんか褒めたり貶したりが乱れた感想になりましたが、簡潔に言うならば面白いとは思わない作品だったし、深掘りしたくなる気も起きなかった映画だったなぁというのが率直な感想です。
岡田君見たい人はちょっとでも知識入れてから見るようにしましょう。
これじゃあ彼の演技が報われない。
というわけで以上!あざっした!!
満足度☆☆☆★★★★★★★3/10