アクアマン 失われた王国
「マン・オブ・スティール」から続いてきたザック・スナイダー主導のDCEU。
「ワンダーウーマン」や「ジャスティス・リーグ」などこれまで数多く製作されてきた作品群でしたが、興行面の失敗を筆頭に度重なる問題を経て、今後はジェームズ・ガン監督主導のもとDCUとしてユニバース構想していくという発表がありました。
既存のキャラや俳優陣のキャスティングに関してはいろいろ物議がされておりますが、今回観賞する「アクアマン/失われた王国」でこれまでのシリーズは終了し、アクアマン役のジェイソン・モモアは、DCU第1弾映画「スーパーマン:レガシー」でロボというキャラで登場するのではないかと言われております。
あの陽気で気さくで脳筋なキャラが非常にあっていたので、アクアマンとして今後も演じてほしいわけですが、会社のテコ入れなら仕方ないよなぁと。
個人的には、アメコミは映画斜陽化してきているジャンルだと思ってて、たとえガンを筆頭に1から作り直すとしても巻き返すような事態にはならないように思ってます。
要は大ヒット作を量産する目先の利益を追うのではなく、あくまでファンファーストなシリーズづくりを目指せばいいのではと。
というわけで、いよいよ見納めのDCEU。
前作で敵対した弟と共に行動するって、まんま「マイティ・ソー/ダークワールド」ですけど大丈夫でしょうか…。
ジェームズ・ワンだから楽しいに決まってるんでしょうけど。
早速観賞してまいりました!!
作品情報
海の生物を操るアトランティス王国の王であり、ユーモア溢れるお調子者として振る舞う海のヒーロー・アクアマンの第2作。
古代兵器と共に封印された失われた王国の復活により、混沌と化した海の平和を守るため、異父兄弟である弟と共に、かつてに脅威に立ち向かう姿を、前作以上にパワーアップした世界観と激しいバトルで描く。
「ワイルド・スピード/SKY MISSION」や「マリグナント」など、ホラー・スリラー映画を中心にファンを魅了するジェームズ・ワン監督が、前作に引き続きメガホンをとるほか、アクアマン役が当たり、「ワイルド・スピード/ファイヤー・ブースト」のヴィラン役や、「DUNE/デューン:砂の惑星」などにも出演したジェイソン・モモアが続投。
まるでドラゴンボールを実写で見てるかのような激しく素早いバトル描写を、前作以上のテイストで見せていく。
他にも、パトリック・ウィルソン、ニコール・キッドマン、ドルフ・ラングレン、アンバー・ハード、ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世らが同じ役で続投する。
2024年、辰の如く海から空へと駆け巡るアクアマンの勇姿が、あなたのアドレナリンをMAXレベルへと引き上げていく。
あらすじ
海底の奥深くには、伝説の悪しき力とともに太古に封印された“失われた王国”が存在していた。
海底生物を遥かに凌駕する邪悪な化け物たちに立ち向かえるのは、アトランティス帝国の王であり、海のすべてを統べるアクアマン(ジェイソン・モモア)。
弟のオーム(パトリック・ウィルソン)と同盟を組み、王国を守るため旅立った2人は、海底帝国に失われた7つ目の王国が存在していたことを知る。
伝説の悪しき力、そしてブラック・トライデント……深くに沈んだ邪悪なるものが太古より甦り、海底だけではなく陸上の人間界をも滅ぼし、全てを手にしようとしていたのだった。
5億の海の生物を従え操り、海底帝国と人間界の破滅からアクアマンは救うことができるのか。(Fassion Pressより抜粋)
キャラクター紹介
- アクアマン/アーサー・カリー(ジェイソン・モモア)…海底アトランティスの王にして、ユーモアあふれるお調子者。すべての海の生物を操る能力に加え、時速160Kmで泳ぎ、人間の150倍の力を持つ。5億の海の生物を束ねる王としての慣れない国務と、メラとの間に生まれた愛しい息子の子育てに奮闘中。
- オーム(パトリック・ウィルソン)…海底アトランティスの前王であり、アクアマンの実の弟。かつて海の世界を汚す人間の壊滅を狙い、それを阻むアクアマンとの戦いに敗れる。今は世界を混乱に陥れた罪で砂漠の国で幽閉されている。
- メラ(アンバー・ハード)…アクアマンの妻、そして海底アトランティスの女王。水を自由に操りあらゆる形で武器にできる。アクアマンをも超えるほどの強力な力と意志の持ち主。愛する息子とアトランティスの平和を、アクアマンと共に守っている。
- アトランナ(ニコール・キッドマン)…アクアマンの母。海中でのソニックスピードを誇り、戦略に長けた海底アトランティスの知将。いつの日か、兄と弟の二人の絆が戻ることを信じている。
- トポトストーム…海底アトランティスから新たな頼もしい相棒、タコ型のトポと、馬のように海中を駆けるシードラゴンのストーム。
- トム・カリー(テムエラ・モリソン)…アクアマンの父で、地上で暮らす家族思いの灯台守。
- ネレウス王(ドルフ・ラングレン)…メラの父親。かつて世界を乗っ取ろうとした弟オームと道を違えた心強い味方にして、隣国ゼベルの王。
- ブラックマンタ(ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世)…海底アトランティスの強力なテクノロジーを武器にアクアマンに戦いを挑み、敗北した過去を持つ。古代兵器「ブラック・トライデント」の力によって、世界のかつてない脅威となる。
- シン博士(ランドール・パーク)…海底アトランティスの存在を長年にわたり研究する博士。ブラックマンタを見つけ助け出し、探求心のため彼に協力することに。
(以上HPより)
オレ様ワイルド系、ぶっきらぼうだけど人情溢れるナイスガイ、アクアマン。
子育てと国務している姿はきっと爆笑するんだろうなw
ここから観賞後の感想です!!
感想
「 #アクアマン/失われた王国」ワーナー・ブラザース映画から招待いただき試写。
— モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) January 9, 2024
王として父として兄として、海も陸でも奮闘する脳筋国王再降臨!
前作以上のドッカンバトル!!ごちゃごちゃしてて何やっとるかわからんほどド派手な闘い!アクアマンはこうでなきゃ!#アクアライド体験キャンペーン pic.twitter.com/JrtCMWeUor
環境問題にパンデミック、全ての問題はこのアトランティスの王が解決する!
弟との絆、家族、そして愛する我が子全てを守るために奮闘するアーサーのノリ重視な奮闘劇は相変わらず!
だけどなんだろ、前作よりおもしろくないぞ!!
以下、ネタバレします。
ざっくりあらすじ
メラとの間に授かった子アーサーJr.の育児に追われ、王国に戻ればぜんぜんついていけない国務に追われるなど、日々奮闘するパパであり王であるアーサー。
一方彼に父を殺された恨みを晴らすべく、海の調査に乗り出したブラックマンタは、新博士と共に「失われた王国」を探し求めていた。
南極大陸での調査の後、ブラックトライデントを発掘したブラックマンタは、トライデントに操られるかのように、古代兵器を見つけ出し、博士に解析させ、無事海底探索できるまでになっていく。
5か月後、陸地で気候変動が多発、海でも疫病が流行し、国王として評議会に出席したアーサーは「アトランティスの世界を地上に知らせるべき」と発言するも猛反対を受けてしまう。
気候変動の原因はブラックマンタ一行だった。
彼らは、海底に眠っているオリハルクムという物質を採取し、溶鉱炉で溶かして地上の気温を上昇させていたのだった。
その際アトランティス王国と争うことになり、メラは重傷を負ってしまう。
彼らが搭載した古代武器に歯が立たないアーサーは、彼の居所を突き止めるため、禁じ手とされている「オームを脱獄させ協力を得る」手段を強行。
砂漠の奥深く出幽閉されているオームを救出し、二人はブラックマンタの居所を探し始める。
道中、王としてのたしなみがなってないと追求するオームだったが、アーサーは「別になりたくてなったわけじゃない」と、王になりたくて自分を排除したに違いないと思い込んでいたオームは改心の兆しを見せていく。
とある島に上陸した二人は、異常なまでの大きさになった昆虫に追われるなど苦戦するが、なんとか彼らのアジトにたどり着く。
そこでブラックマンタと対峙した二人は、今までよりも遥かに強い彼の威力に押され防戦一方。
彼に逃げられたものの、ブラックトライデントに触れたオームは、事の全てを把握したのだった。
遥か昔、アトラン王の弟コーダックスは、ネクルスという国を建国。
あまりの独裁ぶりを注視したアトラン王は彼らを封印すべく戦いに挑み勝利。
バケモノとかした彼らを国ごと封印したのだった。
アーサーへの支援を持つブラックマンタは、コーダックスの呪いが込められたトライデントを取ったことで、見事に彼に憑りつかれ、今に至るのだった。
アトランティス王国を一目見たい一心で彼に協力したシン博士は、彼の行動に異を唱えるも力で抑えつけられてしまい歯止めが効かない状態だった。
果たして、アーサーとオームは、呪いによって強大な力を得たブラックマンタの暴走を止め、海と陸の問題を解決する子ができるのか。
・・・というのがざっくりしたあらすじです。
絆を深めるプロセスが足りない。
相変わらずドッカンバトルで画面がグチャグチャしていて何やってるのかさっぱりわからないんだけど、ハチャメチャが押し寄せる毎にテンションマックスのアーサーが海に陸に無双状態で暴れまわるから普通に楽しい映画でしたね。
ブラックマンタが海底にやってきたシーンでも、超特急で敵にツッコんでフルボッコにしながらも、普通にメラや母ちゃんまで見せ場を作るこれぞキャラ映画なシーンが満載。
オーム救出の際も、アクアマンには不慣れな砂漠地帯が舞台となり、ステルス機能を駆使してゾンビ化した怪物を瞬殺してしまうではありませんか。
砂漠シーンでは、優れたスパイ機能を持った遺伝子操作で作られたタコ「トポ」が登場。
アーサーJr.の如くアーサーにしょんべんひっかける生意気な態度を取る一方、仕事はしっかりするという優れた相棒として活躍してましたね。
タコだけあって動きがにゅるにゅるしていてまぁ気味が悪いんですけど、逃げるアーサーに抱き着く辺りがなんかかわいらしいw
他にもジャングル地帯でのオームとの共闘もよかった。
でっかいバッタに追われて走り回る2人。陸を知らないオームの走り方が遅いため「どうやって走るんだ!」というオームの助けに、「手と足をこうやって振って走るんだよ!」とレクチャーすると、普通にアーサーより足が速いというユーモア描写。
その前にも、陸の食い物はどれもうまいんだよ、ハンバーガーにビール、マルゲリータピザもいけるんだ、それ以外にも、ほら見てみろ、これゴキブリ、陸のエビだ、食ってみろ!と食わせるアーサー。
それに対し、半信半疑ながらも頬張るオーム、まんざらでもない表情…
おいおい、そんなゲテモノ食ってあとで腹壊したりしないだろうな…と中々不気味なショットをぶち込んでくる今回のアクアマン。
実はこれがエンドクレジットのおまけシーンに繋がってくるので、しっかり最後まで笑いを作ってくれてます。
こうしたやりとりをしながらも、ブラックマンタのアジトでは、オクタポッドというタコ型のポッド型ロボットに苦戦する2人でしたが、アーサーが鎖を足に絡めて動きを封じたのち、オームが大きな鉄のクレーンを投げつけ撃破するという共闘ぶりを見せたり、どちらがやられそうになったらどちらかが助けるという戦いを重ねていくことで、2人のきずなが深まっていく物語となっていたんですね~。
ですが、個人的にはこのきずなが深まっていく過程がどうも面白みに欠けてしまったというのが大きな不満。
そもそも前作で「王になりたい」ために兄を陥れようとしていたオームが、こうも簡単に兄を信用するような心の持ち主じゃないと思ってたんですよね。
だからスムーズに仲良くなっていく2人の姿がどうもピンと来ないというか。
そもそも本作の序盤、アーサーは父親から「もう一人孫を作ったら?」と打診されるんですよね。
一人っ子として育てた自分の苦労を知っている身ゆえ、王としての国務に忙しいアーサーが無理して相手をしなくても、兄弟がいれば負担は軽減されるのではと。
しかしアーサーは、「弟なんてくそくらえだ、犬がいれば十分」と弟の存在を疎ましく思ってるんですよ。
こういう触れ込みがあるので、きっと再会を果たすけどいがみ合ったり足を引っ張り合ったりする構図を作りながら、それでも本心は互いを必要としている描写を入れることできずなが深まっていく過程をドラマチックに見せていくものだと思っていたんです。
しかし、道中ふざけてばかりだし、オームは「脱獄できても用が済んだら投降する」とか真面目だし、初対面の時点でいがみ合ってないんですよね~。
要はマイナスからスタートだったのが、ゴールではしっかりプラスになっているという筋書きがないんですよこの映画。
お母さんに「互いを守って兄弟なんだから」ってハグしたところから、素直になっていくみたいなのが一番ベストだったように思うんですよね~。
そんな「兄弟」の物語、実際アトラン王とコーダックスが、支配欲とか独占欲、兄へのコンプレックスなどの負の感情が諍いを生んだという過去があったわけで、時を経てそうした諍いが再び起こるのではないか、みたいな匂わせを見せてほしいわけですよ。
実際トライデントを手に取ったオームが心を操られて、再び兄弟喧嘩勃発寸前まで行きましたけど、あれの先をもっと見せてほしかったですよね。
それでオームが呪いを自ら跳ね除けて…って展開だったら面白かったのになぁ、熱いのになぁと。
それをやったせいでブラックマンタがフェードアウトするのもつまらなかったですけどねw
それまでのヴィランとして物語を引っ張ってきたのにもかかわらず、一番最後で「ここ兄弟の見せ場だから!」と強制退場させられてしまうの超かわいそうなんですけどw
だったらもう前作同様噛ませ犬扱いで中盤辺りでフェードアウトさせりゃいいのに、こんな最後まで引っ張らせてあとは用済みとかマジでひどいってw
個人的にブラックマンタのフォルム大好きなんで、こういう扱いは嫌でしたね~。
しかし今回はメラの活躍も乏しかったですね。
そもそも離婚問題からのDV訴訟でアメリカ中から叩かれまくった彼女ですから、スタジオ側もあんまり使いたくなかった感がにじみ出てましたねw
だいたいアーサーにほとんど育児任せて母親のメラは全然しないんかい!って思いましたけど、そこは二人が半分ずつ育児してる姿を見せても良くないですかね。
映画の中でもイクメンしないとダメですか。
実際二人で国務こなしてるんだし、その間はおじいちゃんが面倒見てるんだから、母親も何かしらしてる姿は見せるべきかと。
最後に
個人的にはアクアマンを作る上でジェームズワンは絶対ドラゴンボールを参考にしてると思い込んでたので、終盤誘拐されたアーサーJr.が泣き喚いてブラックマンタを脅かすみたいな、孫悟飯的キャラで魅了してほしかったですけど、さすがにそこまではなかったですねw
そこまでいくには、子供自体がまだ幼過ぎたかw
しかしマイティ・ソーから最後は「国を開国します!」みたいなブラックパンサー的な締め方してて、めっちゃMCUパクってんじゃんwとなりましたが、兄弟の絆を深めていく過程が乏しいくらいしか不満はなく、あとは素材をちゃんと最後まで使って締めるという一般的な脚本の上手さで良かったと思いますよ。
国王の血が必要とか言い出した時に、ちゃんとアーサーJr.の存在を持ってくるのも良い使い方でしたし、環境問題とかパンデミックとかSDG'sも取り入れてたし。
出来ればこれから陸と海で解決しよう、っていうんじゃなく、ウチこういう技術持ってます、よかったらそちらのそっち方面の技術と併用して気温を下げられませんか?くらいの具体的な提案までしてほしかったですけどねw
まぁ本来なら、海面上昇も水温上昇も陸にいる我々ががもたらしたことですし、海からしたら超迷惑な話なわけで、その代表が「一緒に解決しましょう」って歩み寄ってるんだから、それこそシン博士を介しての何かしらの打開策解決策みたいなのを出しても良かった気がするんですよね~・・・ってアイツただの科学者だった…
あとは今回ホラー味が弱かった気もしますね。
前作はもっとスリラーチックな演出が多用されてたので、その辺が今回だいぶマイルドになり過ぎちゃった気がします。
ビジュアル的に不気味なのはいくつもありましたし、シン博士の顔に赤いライトが当たるというようなごく普通の演出がありましたけど、そこにジャンプスケア的な演出だったり、いかにもワン監督だな!というホラー演出があっても良かったように思えます。
これでDCEUは終わりということで、最初に出るDCコミックのロゴ映像もこれで見納めかと思うと淋しいですね。
スーパーマン:レガシーからDCUはどんなユニバース構想を見せるのか、とりあえず見守りたいと思います。
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10