マイ・ブロークン・マリコ
近しい人が死んでしまうと、自分のバランスが崩れることってありませんか?
「もうこの世にはいない」というだけで、こんなにも自分という形が成立しないということって、マジかよと。
俺って、その人の存在あってのオレだったんだなと思ってしまうほど、自分のバランスが取れなくなると。
今回鑑賞する映画は、突然親友を失った女性が遺骨を持って旅に出るというお話。
僕は親友こそ失ってはいませんが、今年親せきが二人も亡くなっており、全然逢ってなかった存在なのに、どうにもやりきれない日々を過ごしてまして。
親戚ってだけでこんなメンタルになってるのに、親友っていうむちゃくちゃ心の拠り所な存在がいなくなってしまったら、俺一体どうなっちまうんだろうとw
本作を観賞して、今後の為になるヒントがあったらいいななんて思ってますし、単純に映画として僕の心を突き動かす作品であったらとも思ってます。
早速観賞してまいりました!!
作品情報
第24回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞はじめ、様々な漫画賞で受賞されたと同時に、連載中幾度となくSNSでトレンド入りするほどの反響があった平庫ワカ原作の同名タイトルを、原作に突き動かされ映画化を望んだという監督の手によって実写化。
ブラック企業に勤めるOLが、転落死した親友の遺骨を持って、人生最初で最後の二人の旅へ行く姿を、原作での熱量と疾走感をそのままにエモーショナルに描く。
人間の持つ芯を力強く描きつつも朗らかさと緩さを忘れない作風で、観る者の心をハートフルにさせるタナダユキを監督に、原作をこよなく愛するスタッフ陣が集結。
主演には、朝の連続テレビドラマ小説での経験を活かし、様々な作品で存在感を放つ永野芽郁が、タバコをふかしやさぐれ感を醸し出すこれまでにないイメージで熱演。
他にも朝ドラで共演した際に、もう一度仕事をしたいと願っていたという奈緒や、今回でタナダ作品3度目の出演となる窪田正孝など、旬な俳優陣がそろった。
またエンディングテーマには、ロックバンド「Theピーズ」の「生きのばし」を起用。
登場人物の心とリンクするかのような歌詞が、物語の没入感に一役買うに違いない。
自分は何も知らされず、親友の死を突然ニュースで知るという絶望感漂う本作のはじまり。
親友という「自分の片割れ」を失った彼女がたどり着いた場所とは。
あらすじ
ある日、ブラック企業勤めのシイノトモヨ(永野芽郁)を襲った衝撃的な事件。
それは、親友のイカガワマリコ(奈緒)がマンションから転落死したという報せだった――。
彼女の死を受け入れられないまま茫然自失するシイノだったが、大切なダチの遺骨が毒親の手に渡ったと知り、居ても立っても居られず行動を開始。
包丁を片手に単身“敵地”へと乗り込み、マリコの遺骨を奪取する。
幼い頃から父親や恋人に暴力を振るわれ、人生を奪われ続けた親友に自分ができることはないのか…。
シイノがたどり着いた答えは、学生時代にマリコが行きたがっていた海へと彼女の遺骨を連れていくことだった。
道中で出会った男・マキオ(窪田正孝)も巻き込み、最初で最後の“二人旅”がいま、始まる。(HPより抜粋)
監督
本作を手掛けるのは、タナダユキ。
「百万円と苦虫女」や「ロマンスドール」などで知られる監督ですが、コミック原作を映画化するのは「俺たちに明日はないっス」以来でしょうか。
原作を読んで感銘を受けたという監督。
漫画を読むのが好きなくせに実写化には懐疑的、だから突き進めるとクリエイターとしての地獄を見ることはこれまでの経験からわかっていた。
にもかかわらずこの原作は、そんなことを忘れさせるほどの力強さを持っていたと語っています。
主人公シイノの生きざまの虜になったという監督が、本作にどんな情熱をぶつけたのか。
正直彼女の作品は、個人的に好んで見ることはあまりないんですが、本作の予告から監督っぽさがあまり見えず、今までにない疾走感と躍動感が自分と相性がよさそうだと思い、観賞しようと思いました。
非常に楽しみです。
キャスト
主人公シイノを演じるのは、永野芽郁。
これまで「俺物語!」、「帝一の國」、「君は月夜に光輝く」などに出演してきた彼女。
やはり彼女に抱くイメージは天真爛漫で元気はつらつ、いつも笑顔で太陽のような存在だったりするんですが、今回の作品ではタバコをふかし、酒をかっくらい、どんぶりを豪快に平らげるといった、少々男気溢れるやさぐれ感を漂わせています。
原作にほれ込んだという彼女が、本作のオファーをもらった際には、「やってみたいけどやりたくない」と吐露。
自身が持つイメージとかけ離れていることや、それでも挑戦してみたいという心境が窺える発言でした。
それでもクランクインの3,4カ月前から喫煙者になったり、シイノが履いているマーチンを常に履いたりと、シイノに近づくための役作りを懸命に行っていたそう。
朝ドラでの主演を経験して以降、彼女のお芝居は常に余裕を感じるように思っていたんですが、今回はそういった余裕とは違う「憑依型」のお芝居なんでしょう。
実際撮影後も体が熱を帯びていたというほど情熱的に演じていたようですし、撮影前の役作りから見ても相当な熱の入れようだったのだと思います。
彼女の新たな一面を楽しみたいですね。
他のキャストはこんな感じ。
シイノの親友マリコ役に、「草の響き」、「TANG」の奈緒。
マキオ役に、「犬猿」、「東京喰種 トーキョーグール」、「初恋」の窪田正孝。
マリコの実父役に、「海辺の映画館 キネマの玉手箱」、「土を喰らう十二カ月」の尾身としのり。
マリコの実父の後妻キョウコ役に、「ビリギャル」、「沈黙のパレード」の吉田羊などが出演します。
原作が1巻だけってことで読んでから観賞しようかなと思いましたが、90分に満たない上映時間だそうで、もしかしたら漫画を読みながら見てる感覚になるんじゃないかと予感。
自分が抱いたイメージを大事にしたく、いつもですが読まずに挑もうと思います。
ここから観賞後の感想です!!
感想
#マイブロークンマリコ 観賞。
— モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) 2022年9月30日
親友の遺骨と共に海へ向かう主人公。
マリコの人生がなかなか壮絶。
なるほどこれは面倒くさい。
面倒くさい分、連絡くれれば嬉しいし、いなくなれば寂しいよな。
シィちゃんと性格似てるかも。
ただ映画としての感動は弱かった。
なぜだ。 pic.twitter.com/y7nji98sOx
亡骸を抱え回想しながら紡いでく「あの頃」。
私にとって、あなたは・・・・。
原作読んでから観た方が刺さったのかなぁ…。
シィちゃんて結構俺に近いタイプだから感情移入できるはずなのになぁ。
以下、ネタバレします。
失って初めて気づく「親友」への依存。
突然訪れた親友の死に対し、強引に亡骸を奪い去って海へと向かう「折り合いをつける」旅路を描いた本作は、時にはにかみ、時に怒りをぶつけ、時に悲しみに暮れ、なぜ自分を置いていってしまったのかを考えながらも、生き続けることで彼女と共に生きる決心をした主人公の心の機微を映し出した作品でしたが、どうしてか自分が入り込む隙間が見当たらず、僕が求めたものとは少々違った作品に感じてしまいました。
90分に満たない作品ということで、かなり駆け足で描かれていく映画なのかなと思ったら、意外とゆったりなペースで進んでいくくせに、さくっと終わってしまった印象を持った本作。
原作が1巻だけということで、結構疾走気味でテンポよく描かれるのかなと思ったんですが、特に付け足し感もなく、実際原作もこれくらいのボリュームなんだろうなと。
というわけで原作を読まずに挑んだんですが、見ていて感じたことは俺って結構シイちゃんが罠ところあるなぁと共通項はいくつもあったにも拘らず、彼女に感情移入できなくて、どうしても入り込めなかったんですよね・・・。
何故だろうかとこれを書きながらずっと考え込んでるのであります。
もしかしたらマリコのように、ネグレクトで苦しんで、親に強姦されて、DV彼氏に振り回されるような友達がいなかったからなのかとか、ずっと2人で遊んできたような友達がいなかったからなのか、そもそも登場人物が女同士だったからかと、これだ!というものが見つからず。
確かにどれも当てはまる理由ではあるが決定的な理由がなく、悶々としております。
いや、いい映画でしたよ。
股開いてタバコふかして、酒こぼしながらかっくらって、感情を露わにしながら死者を想う永野芽郁はこれまでにないお芝居でしたし、彼女以上にマリコを演じた奈緒がホント感覚ぶっ壊れてる女の子で。
回想の挟み具合とかも絶妙なタイミングで入るんで物語への理解度だったり解像度が上がる構成でしたし、なにより遺骨と向き合って会話をするシーンで、幾度となく尚演じるマリコが現れる現実と虚構が入り混じった演出が凄く2人の関係を盛り立てていて、あ~いい映画だぁなんて顎に手付けながら眺めてましたから。
ただ、こう前のめりになるような気持ちにさせてくれないんですよね~。
マジでなんでだろ。
なんで俺がシイちゃん側かっていえば、そもそもマリコのような相手って、ほっとけないじゃないですか。
だから自分の言うことを聞いてほしい気持ちにさせるんですよね。
だけど親も彼氏もそこに甘えて手を出してしまうと。
シイちゃんはそういうことはしない。
友達だから。
でも心のどこかで「めんどくせえ」と思ってしまう。
DV彼氏を身を挺して追い払えたのに、結局会いに行ってしまう弱さ。
だからと言って、シイちゃんもマリコ以外頼れる人がいない。
そんな親友が突然いなくなってしまう。
しかも自分に何も言わずに。
助けたのに、かまってあげてたのに、彼氏と別れたらすぐさま自分に連絡くれたのに、ここぞという時だけは何も伝えてくれない。
LINEを秒で返すような相手はいつ連絡しても捕まるからとか、自分を頼りにしてくれてるっていう安心感みたいなものはあったんじゃないだろうか。
そんな相手が急にこの世から消えてしまったら、やっぱり戸惑うよなぁと。
戸惑うというか、自分自身も彼女に甘てえたところあったんだよなぁと。
あんなブラック企業で働いていても平然といられるのは、ただ単に心が強いとかじゃなく、マリコという存在があったからなのかなぁとかいろいろ想像できるなぁと。
結局その「なんで?」ってのを見つけに行く度だった気がするんですよね。
そこの折り合いをつけて、一度は命を絶とうと、あなたのいない世界は何も意味がないと自死しようとするけど、神様はそうさせるつもりはなく、寧ろ旅先で出会った少女を救うことをさせるという。
この時遺骨をぶつけてひったくりを撃退した時に、遺骨が空を舞うんですけど「あんたは重力より軽くて なかなか手で掴めないような女だったよ」みたいなセリフはグッときましたね。
ほんとマリコはふわふわしてましたよ。
掴みどころがなくて真綿のような柔らかさがあって。
で、肝心の「なぜ入り込めなかったか」ですが、多分ですけど、シイノとマリコの2人の世界が出来上がってたからじゃないかと思うんですよ。
本作は終始シイちゃんが遺骨となったマリコに話しかけてるんですよ。
これが時折説明を担ったセリフになってる時があって、ひとりごとにしては中々恥ずかしいなぁと思ってたんですけど、きっと原作リスペクトなセリフなんだろなぁと理解したうえで聞いてると、2人の世界で成立してしまってて観てるこっち側に入り込ませてくれない感覚があったんですよね。
居酒屋で絡んできたおっちゃんがそうだったように、なぜ彼女が一人でこんなところに要るのかとかいちいち語らないし、それこそ旅先で助けてもらったマキオにも具体的な説明はしてないんですよね。
要はシイノが何か別の人に説明や理由を入れてないんですよこの映画は。
だからきっとマキオのように「何があったかは知らないけど大丈夫だよ」って目線で見ると感動できる映画だった、というかそういう描写にしたのかなぁと。
もちろんマリコのようないわゆるメンヘラな人に刺さるだろうし、そういう友達を持ってる人、似たような経験を得た人にとっては涙なしでは見られない、寧ろ背中さえ押してくれる作品だったんでしょうけど、僕はどうしたもんかグッとくるものがなく、色々映画を分析、紐解いてみるとこういうことが理由だったのかなぁと。
最後に
あ、俺単純にタナダユキがそんなに得意ではないってのも原因だったのかもw
きらいではないんですけどね~。
今回もユーモアがヘンに強調させない入れ方してて巧かったですし、シスターフッドとして2人の世界観を構築してましたし。
そういう意味では決してつまらなくはなかったんですけども。
不満というか、ここはもっと行けたろうってのは永野芽郁のお芝居ですかね。
ガサツな感じはよくやったなぁって感じたんですが、それ以外のいわゆる遺骨への独り言がどうも嘘くさく見えてしまって…。
あそこだけシイちゃんじゃなくて永野芽郁なんですよね~w
少女時代のシイちゃんの方がよっぽどシイちゃんらしく見えたというか。
あれは勿体なく見えたなぁと。
あとはもう奈緒が永野芽郁を食ってましたねw
素でやってんじゃないかってくらいメンヘラでした。
特別仲良かったわけじゃないですけど、彼女に似たような女性と一緒に働いてたことがあって、仲間内でよく遊んだりしたんですが、どうも苦手でw
人づてで色々話を聞いたらまぁそっちのタイプの女性で、今回観賞していて彼女を思い出しましたw
どうでもいい話でしたねw
とにかく、私あってのあなただと思ってたのに、彼女が死んだら実はあなたあっての私でしたと。
互いが互いを必要としてなかったらあんな長いこと一緒にいないよ。
でも逝ってしまった、取り残されてしまった。
これからはあなたを思い出すために懸命に生きると。
楽しかったことも、むかついたことも、キレイな思い出も醜い思い出も全部引き連れて生きると。
ラストシーンで見た手紙、なんて書いてあったんでしょうね。
ネコの話かな。おばあちゃんになっても一緒にいようねって話かな。
後妻のお母さんが、彼女を想って選んだかもしれない手紙の内容を想像するのも、一つの楽しみかもしれません。
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10