カラダ探し
同じ日常が何度も繰り返す「タイムループ」ものの映画は、ココ10年でかなり飛躍したジャンルだと思います。
海外映画でいえば「オール・ユー・ニード・イズ・キル」や「ミッション:8ミニッツ」、「バタフライ・エフェクト」や「デジャヴ」、最近では「パーム・スプリングス」、「コンティニュー」なんて映画もありました。
日本映画で言うと、「時をかける少女」や「うる星やつら/ビューティフル・ドリーマー」などの名作から、「東京リベンジャーズ」、「サマー・タイムマシン・ブルース」などでしょうか。
ただホラー映画だと海外では「ハッピー・デス・デイ」が有名ですが、日本ではおそらく作られてない様子。
今回鑑賞する映画は、そんな「タイムリープ×ホラー×青春」という若年層が食いつきそうなジャンルを掛け合わせた作品、
なんでも何度も殺されながらカラダを探すという…。
怖いの苦手な僕ですが、観客と一緒におびえながら堪能したいと思います。
早速観賞してまいりました!!
作品情報
日本最大級の小説投稿サイト「エブリスタ」に2011年に投稿され、ホラーランキング1位を獲得、複数の出版社からオファーを受け、「少年ジャンプ+」はじめ様々なジャンルミックスをしているウェルサード原作のZ世代バイブル的ホラーを、ハリウッド映画のような圧倒的臨場感で観客を魅了する監督の手によって実写映画化。
謎の少女によって何度も殺されては同じ日を繰り返す「死のループ」にハマってしまった高校生6人の恐怖と奮闘の姿を描く。
今を時めく若手俳優ら6人が集結し演じる本作は、世界中の観客を絶叫させたホラー映画「IT」のワーナーブラザーズが配給。
コロナ禍によって様々な行事を経験させてもらえなかった高校生同様、本作も普通の学校生活を奪われてしまった6人が明日を迎えるために絶望から抗う姿を、「海猿」や「劇場版MOZU」、「太陽は動かない」など大掛かりなセットと演出で魅了する羽住英一郎監督によって、圧倒的臨場感で見る者を怖がらせていく。
また主題歌に本作同様Z世代から圧倒的支持を得る人気歌手Adoが担当。
「ONE PIECE FILM RED」で日本中を席巻している彼女が、椎名林檎によって作詞・作編曲された曲で本作を盛り上げていく。
超刺激的ループ型ホラーと銘打った本作。
絶叫体験はもちろん、彼らの友情にも期待できる青春映画としても期待したい。
あらすじ
7月5日、明日香(橋本環奈)の高校生活は一変した。
いるはずのない幼い少女から「ワタシのカラダ、探して」と言われたその日から・・・。
深夜0時を迎えた瞬間、気づくと明日香は、高広(眞栄田郷敦)たちクラスメイトと共に学校にいた。
そこ現れた全身血が染まった少女”赤い人”によって、6人は次々と惨殺されてしまう。
そして目が覚めると、そこはまた同じ7月5日…。
その日から、6人は何度も”赤い人”に殺され、永遠に同じ日をループすることに。
明日を迎える唯一の方法は、構内に隠されたバラバラのカラダを探し集めること。
性格も異なる6人は、次第に力を合わせはじめ、仲間として友情が芽生えていく。
終わらない死のループから抜け出し、明日を手に入れろ!(HPより抜粋)
監督
本作を手掛けるのは、羽住英一郎。
「海猿」「暗殺教室」シリーズをはじめ、ハリウッド大作映画を意識した大掛かりなセットや迫力ある映像を得意とする監督さん。
最近では「太陽は動かない」を製作してましたが、個人的には映画よりもドラマ版の方が面白かったなぁという残念な結果に。
ホラー映画を製作するのはおそらく初めてのことかと思いますが、本人曰くアメリカンホラーもの、アトラクション感覚の高い作品にしたいという構想があったとのこと。
コロナ禍で十分な青春を送れなかったティーンズに、せめて本作を友達とみて体験をしてほしいという思いから製作されたようです。
どれだけ怖がらせるかよりも6人のキャラの青春要素を強く描いてるのかもしれませんね。
もちろん監督のホラー演出にも期待です。
キャスト
主人公・森崎明日香を演じるのは橋本環奈。
「セーラー服と機関銃~卒業~」以降、着々と映画で主演を飾ってきた彼女。
2022年は「バイオレンス・アクション」に続く作品となります。
僕自身彼女に関しては「女優」ではなく「アイドル女優」の域をまだ抜けられてないし、むしろそのままでいいと思ってるので、この路線で若いお客さんをたくさん呼び込んでほしいなと思ってます。
今回は同年代6人が集結した作品とあって撮影中もいつも楽しかったそう。
青春映画の要素も含んだ作品とあって、こういうエピソードはほっこりしますね。
とりあえず本作の見どころは何といってもハシカンが何度も血まみれになって殺されるシーンなんでしょうw
一体どんな殺され方をするのか、あのハスキーボイスでどれだけ叫ぶのかを楽しみたいと思いますw
他のキャストはこんな感じ。
伊勢高広役に、「東京リベンジャーズ」、「小さな恋のうた」の眞栄田郷敦。
柊留美子役に、「暗殺教室」、「とんかつDJアゲ太郎」の山本舞香。
清宮篤史役に、「恋は光」、「彼女が好きなものは」の神尾楓珠。
浦西翔太役に、「太陽は動かない」、「バイプレーヤーズ」の醍醐虎太朗。
鳴戸理恵役に、「いとみち」、「君が落とした青空」の横田真悠。
他、柄本佑、西田尚美などが出演します。
高校時代、こんな日が何度も続けばなんて思ってましたけど、これ見たら「こんな同じ毎日いやあああっ!!」ってなるんでしょうかw
とにかく僕もZ世代みたいに絶叫できたらと思いますw
ここから観賞後の感想です!!
感想
#カラダ探し 観賞。
— モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) 2022年10月14日
海猿で見せたかのような羽住的古めのクサい演出があまりにも眩しすぎてホラーどころかキラキラ映画に。
エクソシストやらオーメンやらのオマージュを入れたところで何の怖さも無い。
R指定つけたらもっとおもろいのに。 pic.twitter.com/pXffL80wsq
カラダを探して明日を探せ!
スクールヒエラルキーの違う男女が、友情に恋に花を咲かせつつ死ぬ気で目の前の課題に挑む、青春キラキラ要素満載のホラーアトラクションムービーでした!
赤い人強すぎだろwww
以下、ネタバレします。
ブレックファストクラブか。
全く交わることのなかったクラスメイト6人が、突如同じ毎日を繰り返しながら30年前にバラバラにされて殺された少女のカラダを探すミッションに挑むことになる本作は、まるでアトラクションのようなアクション盛りだくさんのホラー演出で楽しませながら、青春を謳歌していく6人の姿にかつての自分を重ねるかのような「忘れていた何か」を思い出させてくれる甘酸っぱさを秘めたホラー映画でございましたが、そこまで怖くなかったです…。
いきなり結論から入りますが、赤い人って高校生6人を幾度も幾度も惨殺するけど、結果的に良い奴だったんじゃねえの?と思ってしまったお話でしたw
狭いコミュニティだとどうしても出来上がってしまうヒエラルキー。
本作でも「桐島、部活やめるってよ」でもあったように、陽キャ陰キャで二分化されたクラス内の中に、清純派ギャルぼっち、何でもできちゃうイケメンスポーツマン、メガネをかけたいじめられっ子、不登校生徒と、さらに細分化された生徒たちがなぜか「カラダ探し」のメンバーに選出され、少しづつステレオタイプを壊してい行きながら互いの人間の本質を見抜き友情を紡いでいく物語でございました。
主人公の明日香は、お母さんが作り過ぎたかぼちゃコロッケをお裾分けする相手もいないほどとにかくひとりぼっち。
誰かにぶつかっても存在すらしていないほど影の薄い人間であり、そんな毎日をただただ消化してるだけの日々を送っていたのであります。
社会人になった今でも感じますが、どうしたって同じ毎日を過ごしているわけです。
7時起床、5時退社、12時に寝る。
学校生活でも明日香のような日々を送っていたら、もうそれはタイムループしてるのと同じですよ。
こんな毎日から抜け出すためには、自分から変わるしかない。
でもできない。
そんな時どうしようこうしようカラダ探ししようってことです。
そう、この物語は明日香がぼっちにならないための試練なのです。
これまで敬遠してきたクラスメイト達も、このミッションによって少しづつ臆病ながらも仲間を助けようと試みる姿に感化され、「あれこいついいやつじゃん」と目の色を変え、少しづつ心を開いていくのです。
もちろん共同作業という一つの事をみんなで協力し合ってやるわけですから、どうしたって仲良くなっていくものですが、それこそ文化祭にしろ修学旅行にしろ体育祭にしろ、結局いつものメンツとつるんで行動するだけに留まるわけで、そういう面から本作を捉えると、、無作為に選出したとはいえ、こんなに毛色の違うメンツを揃えて「これから皆さんにカラダを探してもらいます、ただし私が殺しに行きます」って行事を通食った赤い人は、やっぱりいい奴だったんじゃないかと思えて仕方ないのです。
実は一緒になってみたらすごくいい友達だったって展開は、映画でなくとも現実で起こりうることであり、仮に監督がそんなメッセージ性を込めたのであれば、これはれっきとした素晴らしい青春映画だと思うんです。
しかも柄本佑演じる図書室の先生は、かつて「カラダ探し」に参加した経験のある大人であり、あの頃の楽しかった思い出を思い出せないでいるという設定を入れることで、とっくに学生生活を終え、社会の荒波にもまれている我々の気持ちを代弁してるかのような存在として登場しており、彼を通じて「こんな大人になっちゃいけない」と言っているかのように思えて仕方ありません。
見えない明日への不安よりも、明日一緒にいられることを信じてカラダ探しに挑む明日香のラストショットにグッとくる結末だったのではないでしょうか。
ホラー演出について
さて、当初予想していたよりもかなりキラキラ感のある映画だったわけですが、一応名目は「ホラー映画」なので、その辺の解説もした方がいいでしょう。
冒頭から謎の洋館で斧をもった何者に襲われる一人の少女。
外では雷が鳴るような荒れ模様の真夜中に、なんでひとりでこんなお屋敷に住んでるのかは後々明かされるんですが、書斎の机の下に何とか隠れるも、何と外からガラスを破って侵入してくる犯人に惨殺される所から物語は始まります。
そして現在、ぼっちの明日香は校内ある礼拝堂の前でランチぼっちしていると、目の前にある井戸から赤い手がうじゃうじゃ飛び出てくるではありませんか。
礼拝堂が工事作業するからってことで別の場所でランチぼっちしようと移動すると(というよりも赤い手がうじゃうじゃ出てくるのが怖いからですけどw)、今度は柄本佑演じる図書室の先生、校舎裏で穴を掘って何かを埋めてるではありませんか。
先生が立ち去る姿を見送る明日香。
気が付くと背後に白い服を着た少女がぽつんと立っているではありませんか。
「ねえ、私のカラダ探して…」
この言葉が合図となり、明日香は夜眠ると突然夜の校舎におり、カラダ探しをしなくてはいけなくなるのです。
この初日の夜ですけど、突然知らない相手からLINEが来るんですよ。
どんどん流れてくるメッセージに身の毛がよだち、終いにはひたすら「読め 読め 読め 読め」と流れてくるではありませんか。
怖くて机の上にスマホを置いたまま布団にもぐるんですが、スマホはひたすらLINE通知されるせいでちょっとずつ動くんですよ。
まるで意志を持った機械のように。
観ていても大した演出とは感じなかった者の、これ実際知らない相手からこんな風にガンガン通知が来たら、そりゃ怖いよねぇと。
そして始まるや否や、不登校生徒だった篤史は体を真っ二つに斬られ、いじめられっ子だった翔太は下駄箱に隠れるも、赤い人に見つかり壁にガンガン頭を打ち付けられ即死!
ギャル系女子の留美子もシャッターで赤い人を侵入させない処置を施したにもかかわらずシャッターをぶち破られ足を引っ張られて即死!
明日香も保健室のベッドの下に隠れるもバレてしまい、なんと口の中に思いっきり右腕が入り込み貫通して即死!
このように赤い人を攻略する術もないまま、クリーチャーに抗うこともできないまま死んでしまうのであります。
他にも工事途中の礼拝堂の梯子が崩れてステンドグラスの破片が体を真っ二つに引き裂いたり、ロッカーに隠れているも赤い人に見つかり階段から突き落とされたり、教室の出っ張りに串刺しにされたり、プールに隠れていた女の子たちが足を持ってかれて水中で殺されるなど、中々無残な殺され方をしていく6人。
というか、赤い人が強すぎるんですよw
一応30年前に療養生活を送っていた少女が何者かにバラバラにされて殺された怨念のようなものが具現化されたのが赤い人だと思うんですが、少女の姿をしているにも関わらず、腕力は強いは戦闘能力高いわ。
男子高校生の体なんて軽々と持ち上げて壁に思いっきり投げつけるくらいですし(多分この時カラダ大きくなってたような)、握力も半端ない。
一体どうやって倒せっていうw
しかも昼間の時間帯に洋館に足を運び、壁に木で打ちつけられた部分を剥がすと、中に赤い人が持っていたエミリー人形が登場。
これを開けてしまったことで赤い人が、まるでチューバッカのようなクソデカい怪物となって現れるようになり凶暴化。
これまでは瞬殺してきた赤い人でしたが、ストレンジャーシングスのデモゴルゴンのように口を大きく開いて生徒たちを食ってしまうんですね。
しかも食われた生徒は朝を迎えるとその世界では存在しないことになってるという恐ろしさ。
これまでテンポよく攻略法を編み出し体の一部を見つけいい気になっていた6人の表情が一変します。
毎回思うんですけど、この手のホラー映画に登場するクリーチャーは、なんであんなにクチャ食いするんですかね~。
たまにはお行儀よく食べてもいいと思うんですけど。
それじゃ怖くねえかw
とまぁ、赤い人の最終形態を拝むことになり「おいおいこんな怪物どうやって倒せばええんや!」と6人同様観てるこっちも絶望的になります。
彼らが一体どうやって赤い人を倒すのか、そしてカラダを全部手に入れられるのか、全部そろえるとそれまでの記憶を失ってしまうことへの不安など、主人公明日香はどんな決断を下すのかというのが本作の見どころでございます。
キラキラ演出が眩しすぎる
死ぬと皆同じ日の朝を迎えているが、記憶は残ったまま。
6人はこうして夜眠ると何が起きたかを情報交換しながら攻略法を探し出し、互いの中を深めていく展開というのが、気分を高揚させる要因になっています。
やはりこれまで交わったことのない奴らが、同じミッションをすることになり、切磋琢磨しながら少しづつ攻略していくと、自ずと中も深まっていき情が湧くわけです。
それが男女3人ずつのパーティーなら恋愛的感情も生まれるのは必然。
明日香とイケメンスポーツマン(高校生のくせに腕筋半端ない)高広は、なんと幼馴染であり、家族ぐるみのお付き合いをしていたことが発覚。
2人しか知らない想いで話を高広がしようとすると、みんなに知られたくない一心で口をフざぐ明日香の姿を見て、みんなと共に笑っていた清純派女子高生・理恵の表情が曇るではありませんか。
おいおいなんだなんだ片思いしてんじゃねえかと。
これに対しての回収が全くなかったのが腹立たしいんですが、あくまでメインは明日香と高広。
これまでぼっちだったことも知らないイケメン陽キャ幼馴染が、ここへきて「ゴメン俺そんなにぼっちだったなんて知らなかった…」と急に謝罪かましたあげく、「俺がお前を守る」と口づけまで持っていくテクニックを何で高校生の分際で知っているのか。
僕はあまりに調子のよすぎる高広に身震いしました。
このようにホラー映画といいながらガンガンキラキラ要素をぶち込んでくることで、怖さなどどこへやらな空気がたちこめます。
他にもカラダ探しをする過程で同性同士の中が深まり、放課後パフェを食べながらキャッキャするシーンや、部活後急に黄昏る高広という謎のシーン、カラダ探しなどそっちのけでみんなで海へ出かけて海辺ではしゃぐ6人、からのサーファー系男子に強引にナンパされる女子たちを拳で黙らそうとする男子高校生の姿、そして「逃げろ!」の一声で海辺を走る姿をスローモーションで見せるあまりにも眩しすぎる演出。
あれ?これROBOT製作の映画だよね?ホイチョイプロダクションじゃないよね?と思った人は昭和生まれ確定です。
中盤はカラダ探しという同じ毎日を過ごす羽目になる状況下にもかかわらず、同じ毎日だからこそつながった仲間という「不運は幸運」とでもいうべきシチュエーションに、一気に緊張感の薄れるシーンが続くのであります。
まぁ思春期の高校生ですから?こういう展開が全くないのも変ではありますが、程度というものがありまして、もうちょっと恐怖心を抱えながら生まれる仲間意識描写位がちょうどいいのかなと。
要はやりすぎってことですw
最後に
とりあえず山本舞香のお腹チラ見せ制服姿からの、チェーンソー持って赤い人と対決って姿は本作の中で最強でした。
そう!チェーンソーはお前が持って画になるってもんだよ!と思わず手を打ちましたw
あとはまぁツッコミどころは多いですよね。
結局少女を殺した犯人は誰やねんていう。
てっきり柄本佑かと思いましたが、30年前の事件となるとさすがに違うわけで。
多分カラダを全部元に戻したとしても、また誰か生徒を捕まえてカラダ探しさせるんでしょうね。
でも僕は冒頭でも語った通り、こういう間島ることのない生徒たちが死ぬ気で何かさせることで仲良くなっていくことが赤い人の目的ならアリだと思いますよ。
赤い人が何をしたいのかが全くわかりませんけどw
しかしもっと直接的なゴア描写があっても良かったなぁとは思います。
高校生をターゲットにしてるならR15指定でもいいわけで、もっといっても良かったのになぁと。
血はかなり飛び出るので、それでも怖いって人にはちょうどいいとは思いますけど、もっと残虐性強くても良かったなと。
とにかくキラキラ要素たっぷりのホラー映画でしたね。
ITのような怖さとは違うアトラクションホラーでした。
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆★★★★★★4/10