モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「スイートマイホーム」感想ネタバレあり解説 新築戸建て購入を検討してる方は観ないでください。

スイート・マイホーム

作品情報

小説現代長編新人賞を受賞し、話題となった神津凛子による禁断のベストセラー小説を実写化。


監督を務めるのは、俳優であり初長編映画監督作「blank13」が上海国際映画祭アジア新人部門賞をはじめ国内外の映画祭で8冠を獲得した齊藤工

 

主演に「ある男」の窪田正孝を迎え、「鋼の錬金術師」の蓮佛美沙子・「#マンホール」の奈緒、「ファーストラヴ」の窪塚洋介ら実力派俳優陣によって 「家」 を中心に様々な思惑と怪異が スリリングに折り重なる、これまでの常識を覆すホラー・ミステリー作品が誕生した。

 

あらすじ

 

極寒の地・長野県に住むスポーツインストラクターの清沢賢二(窪田正孝)は、愛する妻と幼い娘たちのために念願の一軒家を購入する。

“まほうの家”と謳われたその住宅の地下には、巨大な暖房設備があり、家全体を温めてくれるという。

 

理想のマイホームを手に入れ、充実を噛みしめながら新居生活をスタートさせた清沢一家。

だが、その温かい幸せは、ある不可解な出来事をきっかけに身の毛立つ恐怖へと転じていく。

 

差出人不明の脅迫メール、地下に魅せられる娘、赤ん坊の瞳に映り込んだ「何か」に戦慄する妻、監視の目に怯えて暮らす実家の兄、周囲で起きる関係者たちの変死事件。

そして蘇る、賢二の隠された記憶。

その「家」 には何があるのか、それとも何者かの思惑なのか。

最後に一家が辿り着いた驚愕の真相とは?

youtu.be

 

 

 

感想

新築戸建てを考えてる方は見てはいけません。

確実にトラウマになります。

とはいうものの、結局見る所は斎藤工の監督としての腕だけなんだよね~。

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

可もなく不可もなしなサイコスリラー。

今や新築物件には、快適な暮らしを提供するための工夫が細かい所にまで配慮されてるんだなぁと思った本作。

断熱材はもちろん地下室に暖房システムが完備されており、それが家全体に行き渡る構造になっていると。

しかもスマホやタブレットと連動した温度設定や監視カメラなどIoTも加わった、正に現代の新築物件が今回の舞台となっております。

 

実はうちの実家も10年前ではありますが改築をしており、舞台の家のようにエアコンが家全体に行き渡るような空調設備になっていてまぁすごい。

いつまで経ってもボロマンションのワンルームで孤独に暮らす俺としては、天と地のレベル。

もちろん家を購入する金もねえし一緒に暮らす人も居ねえし、このまま一生「戸建て」の家に住む事はないでしょうw

 

と、自分の事はこれくらいにして、本作はそんな新築戸建てで「何かが見える」という怖いお話。

冒頭から怪しい雰囲気満載で、主人公は地下室に行くと動悸が激しくなったり、その際恐らく昔の記憶がうっすら蘇ったり、「エムホーム」で働く男性はテカテカの顔した不気味な奴で、実家に住む兄貴は「監視されてる」と家に引きこもったりと、この先訪れるであろう展開の鍵となる部分が多々映し出されていくわけです。

 

そんな中本作に彩りを見せてくれるのが奈緒が演じる本田という女性。

エムホームで働く女性で、清沢家の新築物件を設計含めて親身になって相談に乗るといういい人。

これを見て万が一俺が家を建てるなら彼女に相談したいな、と思わせるほど不穏な空気をかき消す清涼剤として私たちに笑顔を振りまいてくれるのであります。

 

奥さんも気立てが良く、娘も元気。

仕事は順調、新築も買うぞ!

めちゃめちゃ幸せな上に、大黒柱としてこれからもっと仕事に精を出さなくては!とならなきゃいけない主人公は、どうどうと同僚と不倫をしてるというクズ野郎。

 

一体何をやってんだか、お前なんて天罰が下ればいい。

そんな風に思った女性もきっと多いはず。

ご安心ください、この後コイツに天罰が下りますw

 

新築ができ、二人目の子供も生まれた清沢家に、早速不穏な空気。

遊びに来た奥さんの友達の子供の具合が突如悪くなり、帰ってしまうことに。

どうやらその子は、かくれんぼをした際地下室に隠れたんですが、「何かを見た」模様。

 

その後も、結婚を機に関係を解消した不倫相手の旦那宛てに、主人公と女性が密会した現場の動画が送られてきたり、暖房システムの音がうるさいためにエムホームの人に相談に向かった主人公でしたが、顔テカテカの男性が再び現れ、やけに家族の身を案じるような言いぐさで見送ったことが主人公には癇に障ったようで、一色触発の事態に。

主人公にとっては元不倫相手との関係を誰が知っているのか疑心暗鬼になってたこともあり、こういった状況になってしまったわけです。

 

その後、この男性は清沢家の近くの雑木林で首を絞められ死んでいる姿が発見されたり、主人公の母と兄が来た際には、兄から「家じゅう何かに見られてるぞ」と警告を受ける始末。

終いには奥さんも精神状態がおかしくなっていく。

どうも生まれたばかりの二番目の子供の瞳に「誰かが映っていた」と。

 

おいおいおい、新築物件にもう幽霊が住み着いてるのかい??

あんましそんなこと聞いたことねえぞ?立てる前にお祓いしなかったのか?まさかぁ~!?

 

そして二人目、三人目と主人公に近しい人物が次々と殺される事態になり、不倫に対する罰にしてはあまりにもやりすぎな状態になっていきます。

 

 

結局のところ、この手のスリラー映画は、一番怪しくない奴ほど怪しい奴ってのが一つのパターンで、正に一番怪しく無い奴であろう奈緒が一番ヤバい奴だったと。

もちろんそれだけで終わらないのが本作の肝なんですけど、これはもう斎藤工が絶対自分の作品で使いたかったんだろうなってくらいおいしい役柄で、それにピッタリの奈緒が抜擢されるっていう、俺が監督でも使いたいパターンだったわけです。

 

いやもうさ、途中でも書いたけど、これまでの奈緒の仕事ぶりを知ってるもんだから、めちゃくちゃエムホームで働く女性ってのがピッタリなわけですよ。

不穏な空気を打ち消すほど場を和ませる笑顔で、それでいて顧客に親身になって寄り添う接客の鏡で、尚且つ一級建築士の免許も持ってると。

彼女から仕事を奪おうとする顔テカテカの男性なんかより清潔感もあるし、彼女の方がセンス良さそうだしってのがひしひしと伝わるわけですよ。

 

そりゃ何かあったら彼女に頼むっしょ。

家に謝りに来たら晩飯食ってってよって言うっしょ。

それくらい役にハマってるんですよ。

だからさ、彼女の今の女優としての立ち位置的に?こんな?所で?終るわけねえのよ。

絶対どんでん返しがあるわけよ。

 

で、蓋を開けてみたら、まぁ恐ろしい。

なんと自分が設計した家の隙間に自分が滞在できるスペースを作って、そこから彼女が理想とする家庭=清沢家を監視してるっていう。

しかも清沢家を理想と崇めてるが故に、主人公を邪魔するものは排除するという鬼畜ぶり。

顔テカテカの男性も、不倫相手も、この家怪しいと睨んでる兄貴までも殺害したのであります。

 

彼女には、家を建てる際に夫を亡くし、そのせいで精神が病んでお腹の子を死産してしまうという哀しい過去があり、それゆえに理想の家族に自分を投影するという変態性が爆発してしまったのであります。

 

結果、奥さんが見たという「何か」も、かくれんぼした時に子供が見た「何か」も、隠れて住んでいた奈緒演じる本田だったのであります。

 

もちろんこれだけではありません。

主人公の弱点とも言える地下室での動悸の原因も明かされていくわけです。

彼もまた家族を守るために、子供の頃にしてしまった行為があり、そのために主人公の家族は彼の幸せを強く願っていたり、兄もまた弟にまとわりつく「何か」から守るために新居にやってきたわけです。

 

そんな中地下室で本田と対峙する主人公が、どのようにして打ち勝つのかというのが本作の一番の山であります。

 

 

こうして物語を回想しながら書いていくと、あれ、意外と面白いのかなと思うんですが、正直僕としてはそこまで面白かった、そこまで手ごたえを感じた作品とは思えなかったのであります。

 

というのも、あまり映画を見ない方からすると、本作の胸くそぶりから「やばい」と思えそうな感想を抱きがちだと思うんですが、アホほど映画を浴びてる僕からすると、「斎藤工監督」の監督としての腕がどんなもんかって所に意識が行ってしまうのであります。

結局これを見ようと思ったのもそういう理由ですし、あれだけ映画を見てる人が一体どんな映画を撮るのだろうかと気になるわけです。

 

前作はデビュー作ということもあって、コント形式とドラマ形式という半ば実験的な試みをしながら父と子の物語として、しっかり機能した良いドラマだなぁと感動したんですが、今回はそれよりもエンタメ寄りの作品になっていたぶん、ハードルが上がってしまったのです。

 

ザックリ言うと、TVドラマで出来そうな話だけどこれ地上波でそのままやったらコードに引っかかりそうだから映画でやってみよう、映画でやるからには色々やってみたい演出をしてみよう、よし、こだわりのライティングとなるべくワンカットを多めにして、不穏な空気を作ろう。

せっかくだから「間」を多めに取ろう、アップで演者の表情をしっかり収めよう、その際は演者に挙動不審になってもらうように指示しよう、など、あくまで僕の妄想ですが色々試行錯誤したり、自分の好みのテンポで作ったのだと思います。

 

そんな監督の演出が僕としては、全てがあざとく感じました。

特にライティングがあざとい。

そもそも全体的に寒色で統一されたかのようなトーンで、何か怪しい空気になったら演者の顔に思いっきり光が差し込む。

暗がりの場所でも徐に光が差し込むし、全てがある意味「いやらしい」んですよw

 

よく言えばサインとして機能してるけど、悪く言えば「ほらここ!みて!」と言ってるように見える光の入れ方。

あのね、不自然なんですよ、その光の差し込みが。

 

それ以上に「いやらしい」と思ったのは、間の悪さ。

どのシーンも、間を取り過ぎてるんですよ。

窪田正孝が何やら考え込んでいる姿を、2,3秒で済むところを、7,8秒使う。

これ以外にもいろんなところでやたら時間を取る。花を映しても家を映しても家の中を映しても、全てに「間」を取るんですよ。

 

これテンポが悪いと思いがちですけど、僕としては「間」を取り過ぎてるという方が近いかな。

確かに間を短くとればテンポが上がると思うんですけど、この手のサイコスリラーはあまりテンポを上げると不穏な空気が消されてしまう可能性があるので、テンポとしては良いテンポだったと思います。

 

あのゆったりと運ばれるテンポがあったから、妙な不気味さが保てたのかと。

ただそこまで「間」を取らなくても、不気味さは保てるよねと。

 

どうもそれがずっと気になって、イライラしてましたw

 

とはいえ、2作目でこれだけ高い完成度でサイコスリラーを作れたなと。

ホント下手くそな監督だったら、もっと杜撰な画と構成と演出だったと思いますよ。

 

 

最後に

一番疑問に思ったのは、地下室に電気がついてないことですよ。

あれが一番おかしいw

一応法律的には収納スペースってことで、ある程度の面積を使ってるわけですよ。

実際出入りできる入り口で、何かしら物置として使える暗い広さがある。

展示場の地下室もゴルフバッグとか置いてあったし、普通に活用できるスペースなんですよ。

だからこそさ、照明はいれるだろと。

照明は入れないパターンだったとしても、地下室はいるなら懐中電灯は持って行けよw

 

あとさ、主人公が動悸になっちゃうのは、狭い場所だからじゃないの?地下室だからなっちゃうの?

本田が住み着いていた屋根裏は地下室より狭いけど、あれはセーフなの?

マジどういうこと??

幼少期に押し入れから見た悲惨な光景が原因だからだってのは誰でもわかると思うんですけど、それって「狭い」押し入れだから動悸が出たわけでしょ?

だから屋根裏はいいのかってw

その辺がホント疑問でしたねw

 

これ、一番きついのは一番最後です。

最悪のラストですよ…

家庭を壊すもの、邪魔をする者は許さないってのはわかるけどさ、そりゃねえよ・・・

ここだけは伏せて感想を終わりたいと思います…。

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10