モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「TOKYOタクシー」感想ネタバレあり解説 リアル「ハウルの動く城」は奇跡の出会いの物語。

TOKYOタクシー

恐らく日本最後の銀幕スターと思っている木村拓哉

SMAP時代から大好きな方ですが、「グランメゾンパリ」はドラマ自体観ていなかったのでスルーしちゃったんです。

とはいうものの「教場」の劇場版は観ますけどね!w

 

今回鑑賞する映画は「リアルハウルの動く城」とも呼ばれるほど、懐かしい共演による東京の昔と今を巡るお話。

キムタクのあのビジュアルでタクシー運転手ってのにリアリティを感じないんですが、これを機にタクシー運転手になりたい人が増えたりするのか…w

 

山田洋次監督作を全然見てないんですけど、果たして俺は面白がれるのか。

早速鑑賞してまいりました!!

 

 

作品情報

男はつらいよ」シリーズや「幸福の黄色いハンカチ」などで知られる日本映画界の重鎮・山田洋次監督が、2022年製作のフランス映画「パリタクシー」をリメイク。

 

毎日休みなく働いているタクシー運転手と、偶然、彼が乗せることになる人生の終活に向かうマダムが、東京の様々な地を寄り道しながら、明かされていく過去のエピソードによって、二人の人生が大きく動いていく、運命的な出会いと奇跡を描いた物語。

 

監督の山田洋次は『パリタクシー』を題材に選んだ理由について、「内容は重いのに何故ここまで軽快かつユーモラスに観られるのか。どんなところにその秘密があるのだろうかと考えさせられた」「こんな時代だからこそ軽やかに 楽しく観られる作品を観たいという気持ちが僕にもあるし、この素材はそのような作品になりえるのではないかと思う」とコメント。

 

そしてキャストには、波乱万丈な人生の末に終活に向かう高野すみれを、「男はつらいよ」シリーズなど山田洋次作品でも多くの名作を演じてきた倍賞千恵子が、すみれを施設まで送ることになるタクシー運転手・宇佐美浩二を、「武士の一分」以来 19 年ぶりに山田作品に出演する木村拓哉が演じる。

 

「ハウルの動く城」では声優として共演したものの、当時は比較的コミュニケーションの少ない環境だったことから、今回実写映画で共演したことで密なコミュニケーションをとったとのこと。

また監督からは役に意識されず、木村拓哉と倍賞千恵子のままの感覚で演技をしてほしいと注文も受けたそうで、高齢にもかかわらず感度の高い気付きを捉える監督の姿に感銘を受けたとのこと。

 

他にも、すみれの結婚相手・小川毅役を、「でっちあげ〜殺人教師と呼ばれた男」の迫田孝也、浩二の妻・薫役を、「羊の木」の優香、司法書士・阿部役を、「釣りバカ日誌」シリーズの笹野高史、浩二の姉・圭子役を、「ヘルドッグス」の大竹しのぶ、若き日のすみれの母役を、「37セカンズ」の神野美鈴、すみれの初恋相手役を、「勇敢な市民」のイ・ジュニョン、裁判官役を、「ミンナのウタ」のマキタスポーツ、そして若き日のすみれ役を、「東京家族」の蒼井優が演じる。

 

二人の出会いがどんな奇跡をもたらすのか。

山田流のハートフルドラマがここに。

 

パリタクシー

パリタクシー

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あらすじ

 

毎日休みなく働いているタクシー運転手の宇佐美浩二(木村拓哉)。

娘の入学金や車検代、家の更新料など次々とのしかかる現実に、頭を悩ませていた。

 

そんなある日、浩二のもとに85歳のマダム・高野すみれ(倍賞千恵子)を東京・柴又から神奈川・葉山にある高齢者施設まで送るという依頼が舞い込む。

 

最初は互いに無愛想だった二人だが、次第に心を許し始めたすみれは『東京の見納めに、いくつか寄ってみたいところがあるの』と浩二に寄り道を依頼する。

 

東京のさまざまな場所を巡りながら、すみれは自らの壮絶な過去を語り始める。

たった1日の旅が、やがて二人の心を、そして人生を大きく動かしていくことになる――(HPより抜粋)

youtu.be

 

 

感想

オリジナルに忠実ながらもしっかり日本風にアレンジした物語。

基本倍賞千恵子が語り、キムタクがそれを受ける。

キムタクらしさが薄かったものの、彼の涙で締める閉じ方は素晴らしい。

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

オリジナルに忠実

高額の収入を得られるということで、夜勤明けの重たい体を鞭打って働く個人タクシー運転手の浩二。

高齢女性すみれを養護施設のある葉山まで送り届ける依頼を受けるも、乗せた途端すみれは喋ることをやめない。

客商売とはいえ長い道のりを考えれば、どうか口を閉じていてほしい、そんな思いをこめて適当な相槌を打っていた浩二だったが、彼女の話を聞いていくと、想像していた以上に波乱万丈な人生だったと知り、浩二は徐々に態度を改め耳を傾けていく。

 

浩二もまた、音大付属高校に推薦入学できるかもしれない娘の願いを叶えたいものの、車検や家賃の更新、高額な入学金に授業料と、金の問題に頭を悩ませていることをすみれに語っていく。

 

柴又から浅草、上野、千住と下町を巡り、渋谷新宿東京タワーに国会議事堂と、最後の東京の景色を見たいすみれの願いを叶えるため、寄り道ばかりを繰り返していく一行。

 

2人の人生が交錯し、無事施設へ送り届けた浩二は、すみれから思いがけない贈り物を手にすることになる。

 

・・・というのがざっくりしたあらすじ。

 

本作を鑑賞するためにオリジナル映画「パリタクシー」を鑑賞して臨みました。

オリジナルの方は、浩二同様金の工面に頭を悩ませていたり、個人事業主故の労働環境、社会に対する苛立ちなど、とにかくイライラしている運転手という設定で、おばあちゃんとの出会いによって、冒頭しかめっ面だった運転手の顔がどこかフレンチジェントルマンの表情を見せていく過程が、フランス映画特有の雰囲気も相まって楽しかったです。

 

それに倣って作ったであろう本作は、すみれの過去もオリジナルに忠実な設定。

在日朝鮮人2世との初恋、その彼との子を身ごもりシングルマザーとして母の家を手伝いながら暮らす中、二度目の恋で晴れて結婚するも、私生児に対する夫のレグレクトやDVによって苦しむすみれ。

 

オリジナルでも同様アメリカ人との間に子を身ごもった主人公が、やっぱり別の男性と結婚することになるんだけど、自身の身分に対するコンプレックスを言い訳に暴力を働く夫に嫌気がさし、急所をバーナーで燃やすという暴挙に打って出たんですよね。

 

果たしてこのシーンはどうやってリメイクするんだろうと気になって見てましたが、菫の場合なんと火で油を温め、睡眠薬でぐっすり眠っている夫の急所に直接かけるという、男なら、いや誰でもか、想像を絶する暴行を働くのであります。

 

もちろん男性としての機能は失われるし、すみれは殺人未遂で禁固9年の刑を受けてしまう事態に。

当時の罪の重さは今ほどではないとは理解してますが、ここで浩二演じるキムタクは「9年は長い」って驚くんですよね。

この辺当時を生きた人でないと感覚が難しいですよね。

未遂とはいえ相手を傷つけたわけで、今ほどDVや虐待に対して緩いってのはわかっていても9年て、案外妥当なんじゃね?と俺は思っちゃいましたけどもw

 

オリジナルと大きく違う設定は、この刑務所生活をしている間にすみれの息子が亡くなってしまっていたという設定でした。

 

オリジナルはすみれよりも長い25年の刑を受けており、模範囚で早く出所できたものの、息子はすでに大人になっていてベトナム戦争に報道カメラマンとして出国する時期だった、そして半年後に戦地で亡くなってしまったという流れでした。

それに対し本作は刑期中に事故で亡くなってしまったという流れ。

正直もっと悲劇にしても良かったのになと。

 

ただ日本の近代史を振り返るときに、すみれの息子世代が戦地に行って命を落とすみたいな大きな出来事はなかったよなぁと。

学生運動とかだと時代が少しずれちゃうのかな。やっぱり何かもっと激動の時代に飲まれて息子が命を落としたって方が、一つ大きなドラマになったのになぁと。

 

 

すみれは知りあいの美容室で働きながらジョイナーの爪を見て感激し、単身アメリカに渡ってネイルアートを学び、日本でネイルサロンの先駆け的存在として晩年を過ごしたよう。

確かに冒頭からものすごく着飾った装いでしたから、それなりにバリバリ働いたマダムだったんだろうとは思ってましたが、そういう過去の設定になってたとは思いもしませんでしたね。

 

その後はオリジナルと同様、介護施設まで送り届ける予定時間を大幅に遅れ、横浜でディナーを満喫し、イルミネーション輝く横浜の街を軽く散歩しながら葉山まで向かうという流れ。

スタッフに注意を受けながらも別れを告げる浩二は、妻を連れて料金の支払いを受け取りにもう一度訪ねるといったものの、一週間後に訪れた際にはすでに亡くなっていたことを知り愕然。

 

後日家族で葬儀に訪れた際、司法書士からすみれの遺言書を受け取った浩二は、娘のためそして家族のためにこのお金を使ってほしいと1000万円を受け取るという、ちょっと知った出会いが浩二の家族の未来を変えることになるという、奇跡の出会いの物語として幕を閉じていくのであります。

 

浩二と妻の馴れ初めもオリジナルとほぼ同様で、高校時代に「君の瞳の写真を撮らせてほしい」と当時男子生徒の憧れの的だった彼女に声をかけ、そのまま結婚するという設定。

他の男性と結婚すればこんな苦労しなくて済んだのにと嘆く浩二に対し、好きで結婚したんだからそんなこと言うなと説教を受ける浩二。

 

こうした身の上話をできる間柄になったからこそ、本作はただの運転手と乗客の関係以上のかけがえのない存在になったわけで、なんつうか年上の話は聞いた方がいいよな、なんて思ったりw

 

とにかく一人一人に人生の物語があり、きっと誰もが楽しかっただけの人生ではなく、悲しい出来事や辛い出来事があったわけで。

それを誰かに聞いてもらえるって当たり前じゃねえし、聞いてくれる人が色々思いを汲んでくれる関係って、早々作れるもんじゃない。

自分も一期一会を大切にしたいって思ってるけど、物語の2人程距離を縮めるって結構難しいよなぁ。

でもおじいちゃんおばあちゃんてこの辺の距離感が我々世代と違っていて、ものすごく話したいって人結構いるんだよなぁ。

 

俺ももっと年取ったらちょっと絡んだだけの人にもこんな話をしてしまうのだろうかw

 

どうでもいいことを少々

冒頭でも語った通り、しばらくキムタクを浴びてなかったこともあって鑑賞したってのが理由。

目当てが「キムタク」だったせいか、彼の芝居ばかり見ていたわけなんですが、どうもぎこちないなぁと。

 

俺様何様木村様と誰が行ったか知りませんが、やはり何を演じてもキムタクを見たかったんですよね。

だけど蓋を開けてみたら、オリジナル映画がフランスだったからか、妻との接し方も娘との接し方も、客に対する接し方も「キムタクらしさ」が見えなかったのが残念でした。

 

それまでのキムタクなら、こんなおしゃべりなお婆ちゃんを乗せて長距離運転とかしたら「あ~だりぃ」とか「マジかよめんどくせえな」くらいのぶっきらぼうな心の漏れが声に出てもおかしくないんです。

客商売とはいえそれくらい出してもいいのにと思ったんですが、劇中では「はぁ~」くらいのため息のみで、モノにあたらないし汚い言葉がほとんど出ない。

 

それもこれも紳士的な振る舞いをしなくちゃいけないからだと思うんですが、やっぱり物足りない。

 

あと基本倍賞千恵子の話を聞く立場にあるので、普段受け手の芝居をしないキムタクが本領発揮できない窮屈さも感じたのです。

壮絶な過去を聞いたときのリアクション、電話相手の妻とのやりとりの後のニタッとした笑顔もさわやかではあるものの、逆にそんな中年いねえだろとも思えてならないし。

 

大体オリジナル映画の方は、激務と金の工面で頭一杯でものすごく苛立ってる設定なんですよ。

そこからお婆ちゃんとの出会いによって表情に大きく変化が訪れ、実はめちゃめちゃジェントルメンな奴だったってなるから、運転手の芝居もおもしろいんですよね。

 

これが本作にはないんですよね~。

切羽詰まってるけどぶっきらぼうじゃない。だから切羽詰まってるように感じないんですよ。

だから本作も、「ちょ待てよ」なキムタクからジェントルメンなキムタクに変化してほしかったんですよ。

そう、「マスカレードホテル」のような変化が必要だったんじゃないかって思うんです。

 

とはいえですよ、ちゃんと別の役者がセリフ言ってたり動いてる時にさりげない仕草を入れて注目を集めようとするキムタクはちゃんといたので良かったです。

老人ホームに入るときに後ろの方でおでこ掻いて入るキムタク、後部座席で倍賞千恵子が喋ってる時に絶妙な目配せをするキムタク、明石家さんま演じる同僚からの電話を受けた後、もう一度仮眠を取ろうとアイマスクを着用しようとするもうまくはめられず、結果外して布団被って寝る小芝居、横浜の夜景をバックに車から降りた後、カット寸前で車のキーリモコンを使う仕草、朝飯の納豆のかき混ぜ方も普段やってる混ぜ方で、あの人は納豆をとにかく混ぜて食う人なんですよw

そういう細かい部分で「キムタク」が出ていたのは嬉しかったですねw

 

 

またひとつどうでもいいことなんですけど、道順がおかしくないですかね。

車で東京を走ったことがないんですけど、それでも地理はなんとなくわかる。

渋谷のスクランブル交差点で停止した後、なぜか東京タワー行ったり有楽町行ったり、そこから都庁に行って二子玉川が流れる丸子橋を渡るんですけど、幾ら寄り道して行ってるからって、道順がめちゃくちゃすぎやしねえかとw

 

あとはTOKYOタクシーと言っておきながら到着地が横浜の葉山って…。

別に奥多摩の方の施設とかにしても良くない?って思ったりもしたんですけど、フランス映画の良さを表現するためには横浜でないと雰囲気でないよなぁとも思ったり。

逆に横浜から東京の都市部の施設ってのもルート的にも施設の場所的にもピンと来ないよなぁ…結構考えてはいるんだろうけど、せめて東京都内で完結してほしかったなぁと。

しょうもない愚痴でしたw

 

 

最後に

久々に優香が出演してる作品を見たんですけど、寝起きすっぴんのパジャマ姿からママチャリ乗ってスーパーで仕事してる姿、かわいいなぁとw

別にグラビア時代から好きってわけじゃないんですけど、女優・優香として役割を全うしだしてから良い女優だなぁってかって思ってましたw

特別演技が巧いってわけじゃないんですけど、あの怒ってる時の演技が好きなんですよね~w

 

しかしあのシュークリームの食べ方、あれ確信犯ですよw

あんなクリームが思いっきり出ているシュークリームを、普通下から上にかけて口に頬張る食べ方しませんよw

あれはああやって食べることで、鼻にクリームが付くことを想定して食べる食べ方ですw

あんなぷりぷり怒ってるのに鼻にクリーム付けて食うもんだから、キムタク同様笑っちゃうし、何よりかわいいw

 

恐らくあのシーン優香のアドリブなんじゃないでしょうか。

キムタクの笑い方が演技っぽくなくて、笑っちゃいけない場でつい笑いをこらえられない表情に見えました。

 

また劇中には倍賞千恵子がかつて歌った「星屑の町」と「とても静かな夜だから」が流れます。

特に星屑の街は、すみれが辛い過去を思い出して悲しんでいたところに、過去のすみれ(蒼井優)が手を取って微笑むシーンで使われており、倍賞千恵子の歌が巧すぎてグッときます。

 

東京の景色も相まって終始画になる映画ではありましたが、山田洋次をあまり知らない得意ではない僕にとっては、もう少し演出を今っぽくはできないモノかと色々思うところもあり、めちゃめちゃいい映画とは言いにくい部分はありました。

それでもリメイク作としてはよく出来ていてその辺は満足です。

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10