嘘喰い
相手の嘘を見破る方法はいくつかあるそうです。
例えば質問する際にこんな表情をされたことはありませんか?
相手が目を逸らした時、逆に微動だにしなかった時、急に顔(特に口元)を触り出した時、瞬きが多くなるとき、汗をかくとき、落ち着きがなくなるときなどなど、相手が嘘をついている場合、なしかしら挙動不審な身振り手振りをしてしまうのだそうです。
刑事ドラマや探偵ものだと、相手の不用意な発言を敏感に察知してから疑惑を持つのが特徴的ですが、素人でも相手がウソをついてるかもしれないと疑った時、表情や態度を観察すると見破れる、かもしれません。
今回鑑賞する映画は、そんな「嘘を見破る天才」が闇ギャンブルでのし上がっていく物語。
「ライアー・ゲーム」や「カイジ」などにも共通する「騙し騙されの頭脳戦」が繰り広げられるだけでなく、超危険度MAXのデス・ゲームが用意されているとのこと。
一体どんな映画なのか。
毎度の如く原作コミック未読の私ですが、早速観賞してまいりました!!
作品情報
ヤングジャンプで長きにわたり連載され、コミック累計発行部数800万部以上を誇る迫稔雄原作の同名人気コミックを、第一次Jホラー映画ブームを牽引してきた監督の手によって実写映画化。
嘘(イカサマ)を見破る天才ギャンブラーの主人公が、日本の財政界から裏社会までをも牛耳り、殺しまでも容認する闇ギャンブル倶楽部で、様々なな強敵たちと命がけのデスゲームに挑んでいく、スリル満点の騙し合い映画。
「リング」で社会現象を巻き起こし、近年でも「スマホを落としただけなのに」や「事故物件」などでヒットメーカーとして名を上げる中田秀夫監督の手によって、原作が持つ「知略と暴力」、そして独特の熱気を、アクションや恐怖演出などを交え見事に表現。
さらに現在若手俳優No.1とも言える横浜流星が、嘘を見破る天才ギャンブラーをストイックに熱演。
売り出し中の俳優や元アイドル、中堅やベテラン俳優などが脇で支えることで、史上最悪の騙し合いゲームを盛り上げる。
また主題歌にはB'zが「ジオストーム」吹替え版以来の映画主題歌を担当。
主人公のポジティヴな姿勢を表現し、映画の世界に花を添えるよう熱い気持ちを込めて製作した。
原作中でも登場したゲームも登場するファン必見の本作。
果たして主人公はウソを見破り、闇ギャンブル倶楽部で勝ち上がることができるのか!?
あらすじ
国家をも凌ぐ支配力を誇る、闇ギャンブル倶楽部“賭郎”(かけろう)。
その頂点を決する一世一代の大勝負でお屋形様・切間創一(櫻井海音)に敗れ、“賭郎”の会員権を剥奪された天才ギャンブラーの“嘘喰い”=斑目貘(横浜流星)は、新たな会員の佐田国一輝(三浦翔平)が倶楽部を荒らしているという噂を聞きつけ、再び姿を現す。
闇金から貘に救われた人生負け組の青年・梶隆臣(佐野勇斗)、闇カジノのオーナーでヤクザ組長・鞍馬蘭子(白石麻衣)と協力して挑むのは、欲望にまみれた超一流のイカサマ師たち──極悪ディーラー、快楽殺人者、マッド・サイエンティスト──が仕掛ける絶望的なギャンブル勝負の数々。
もし負ければ、“賭郎”の立会人・夜行妃古壱(村上弘明)や目蒲鬼郎(本郷奏多)が、命を含む代償を容赦なく取り立てる。
殺しにイカサマ、裏工作が当たり前の頭脳心理戦で、貘は嘘を見破り、勝ち残ることができるのか!?
敗者には残酷な死が待ち受ける、史上最恐にヤバい究極の騙し合いゲームの幕が開く!(HPより抜粋)
監督
本作を手掛けるのは、中田秀夫。
当ブログでは「スマホを落としただけなのに」の1作目と2作目の感想を以前に書いてますが、散々なものでした。
何故懲りずに彼の作品をまた観賞するのかと問われれば「怖いもの見たさ」の部分も多いですが、「リング」を代表する彼の「恐怖演出」をどうしても期待してしまうからです。
怖いのが苦手なのになぜか見たくなってしまうあの怖さが、本作のような「騙し合い」の映画でどう活かされるのか。
実際「命を賭ける」レベルのデスゲームですから、映倫に引っかからない程度の恐怖演出があると期待していいでしょう。
そういう点は期待しております。
キャラクター紹介
- 斑目 貘(横浜流星)・・・かつて賭郎の頂上決戦で敗れ、リベンジを誓う史上最高の天才ギャンブラー。どんなイカサマも悪魔的IQで見破り、“嘘喰い”という異名を誇る。勝利を確信するとカリカリ梅をかじる。
- 梶隆臣(佐野勇斗)・・・“俺の人生クソみたい”と自負する、借金苦の日雇いフリーター。闇金の取り立てから貘に助けてもらう。勝負事には全く向かない性格だが、貘の生き様に憧れて行動をともにする。
- 鞍馬蘭子(白石麻衣)・・・ヤクザ・鞍馬組の組長にして闇カジノを仕切るオーナー。巧妙なイカサマで客からカネをむしり取る。貘に一目置き、何かと面倒を見てあげることに。賭郎の会員権を所有している。
- 目蒲鬼郎(本郷奏多)・・・佐田国の専属立会人。中立的な立場を越えて彼に肩入れする。
- レオ(森崎ウィン)・・・蘭子の部下で鞍馬組組員。彼女のボディーガードを兼ねる。
- 切間創一(櫻井海音)・・・賭郎の頂点に君臨し、“お屋形様”と呼ばれる謎の男。貘を賭郎から追放した。
- 草波渉(木村了)・・・佐田国に協力する闇のフィクサー。彼を賭郎に引き入れる。
- 小野寺昌弘(鶴見慎吾)・・・賭郎の会員権をもつ政治家。私腹を肥やすためなら殺人も平気で行う。
- 夜行妃古壱(村上弘明)・・・賭郎の立会人。紳士的な物腰の反面、高い戦闘力で敗者を追いつめる。
- 佐田国一輝(三浦翔平)・・・権力者達からカネと命を奪う新参の賭郎会員。科学者としての過去を持つ。
命をけるほどの危険な博打が、映画の中でどれほどの緊迫感を生むのか。
ホラー出身監督だから出せる演出に期待ですが、果たして。
ここから鑑賞後の感想です!!
感想
#嘘喰い 観賞。
— モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) 2022年2月11日
ぶっちぎりで白石麻衣が酷すぎる…
全体的にまろやかなダサさが漂う映画でした! pic.twitter.com/139iKMpwFy
もはや中田監督は駄作製造機になってしまったのか?
香ばしいダサさが随所に出ていて、ひたすら苦笑の作品でした…。
以下、ネタバレします。
原作未読のため荒れます
闇ギャンブル倶楽部での屋形越えを目指すため、一度敗れたものの仲間の協力を経て再び挑む姿を描いた本作は、キャラ故の誇張した演技の臭さ、挿入される種明かしのダサさ、ガジェットや舞台のダサさ、原作では面白かったであろうゲームの緊迫感が全く生かされてないダサさなど、終始「ダサい」香りが漂うあまり笑わずにはいられない作品でございました・・・。
相変わらず原作未読で挑んだ本作のため、ファンの方々には、ここから不快な表現が続くので、先にお詫び申し上げます。
ざっと本作の流れを説明すると、お屋形様に敗れたものの命預かりで済んだ貘が、闇金で借金を作り絶望の人生を歩む梶、そして闇カジノを経営しながら漠へのほのかな想いを抱く蘭子の協力を経て、賭郎で暴れまくっていると噂の佐田国との勝負に挑んでいくというモノ。
途中人の死に様を拝むのが生きがいの変態ジジイとの対決も用意されており、ゲーム内容に関しては、ルーレットやポーカー、クライマックスのババ抜きなど盛りだくさんの内容。
カイジのようにギリギリで危機を回避するパターンを目指したい作品であることは、鑑賞前から薄々と感じてはいましたが、非常に残念な内容になっておりました。
基本的には「貘と梶との友情」をメインにした序盤、ライバルとなる佐田国が、科学者としての才能をもっていながら「なぜ賭郎にのめりこむのか」に対するドラマパートもしっかり構成されているため、クライマックスでの対決はグッとくる要素はあります。
しかしこのグッとくる要素は、どのタイミングで入れればいいかや描き方によって観衆の感情移入が大いに変わる部分。
どうやら本作はそのグッとくる要素を演出するための順番もタイミングも間違っており、非常に勿体ない演出となっておりました。
また演者についてですが、恐らくこの中で一番自然に演じていたのは佐野君演じる梶。
そもそもこの物語において一番素人でなくてはいけない彼が、一番演技が巧いってのがおかしな話なんですが、他の演者がキャラに徹しなくてはいけないと勘違いしたせいか、誇張し過ぎた演技のせいで学芸会レベルにまで下がっており、自然と佐野君の演技が際立つ結果に。
村上弘明も安定した演技ですが、いかんせん実写化の悪い癖である「キャラになりきる」ための特殊メイク(まゆげのことです)が目障りで、見入ることができなくなっていました。
具体的に何が悪いのか
ことゲームに関しても、実写化による改変がされてるそうですが全然ワクワクしない。
きっと本作の醍醐味は「貘がどうやってイカサマを見破って相手を倒すか」だと思うんです。
特に中盤結構な尺を使って描かれる九重太郎との対決は、アクション要素も入れることで面白い展開が予想されるゲームだったと思います。
一体どんな内容だったかというと、森の中に潜んでいる武装化した人間から5つの鍵を盗んで、足に設置された爆破装置を解除するというモノ。
梶の足に爆破装置をつけ、貘は賭郎の会員権を賭けて勝負に挑みます。
相手が機関銃やライフルを持っているため、命の危険が高いゲームなんですが、武器も何もない二人がいとも簡単に銃弾を交わしてしまうあたりや、サバゲ―で経験を積んだであろう敵の傭兵たちが、貘たちが仕掛けたトラップに簡単に引っかかってしまうのが非常に不自然です。
そもそも貘自身が相手の嘘を見破る天才だというのは理解してますが、こうしたサバゲ―のような生き残りゲームで、臨機応変に対応出来る能力があるという設定が最初に提示されていないため、怪我をするほどの力があるピアノ線のようなものを使って相手をおびき寄せて倒す戦法や、エタノールを使って視力を奪う戦法など、とっさの判断でやられても説得力がありません。
また貘が百歩譲って銃の扱いに慣れているのはいいとして、梶はもっとビビれよと。
ただのフリーターなんだから、もっと銃の扱いに脅えるとか被弾した際も震え上がらないとリアリティが出ません(いくらコミック原作とはいえ)。
さらに言えば九重太郎の最後の刺客として登場するロデムのキャラ造詣が安すぎます。
お面をつけ、カンフル剤を投与されたロデムが襲い掛かってくるのがこの中盤の見どころなんですが、四つん這いで走ってこられても全然怖さを感じないショボさに加え、結果貘の機転によりエタノールで目つぶしを喰らうあっけなさ。
終いには貘の計らいにより善意を取り戻し、蘭子の家で奉公する始末。
こういう悪の手によって操られていたかのようなキャラは、劇中、それこそ貘がピンチの時に助け船を出すことで感情移入できるキャラなんですが、鉈を使って肉料理を振る舞うだけで、その後の活躍はありません。
なんでもそうですが、せっかく出したのであれば原作を無視してでも活躍の場を設けるべきだと僕は思います。
それをしないのであれば安易な登場は不要だと思います。
結果、このゲームで貘は、盗聴器を仕掛けていたおかげで情報を得ることができ、最後に九重太郎にひと泡吹かせることに成功しますが、彼の嘘を喰うことでスッキリするようなゲームには程遠かったです。
そしてクライマックスで行われる佐田国との「ババ抜き」。
1~5の数字が描かれたババを残した敗者には、11段階で完成されるハングマシン(首吊り台)を目の前で作られることによる恐怖を浴びる算段になってるんですが、これが全然恐怖になってない。
脅えるのはもちろん梶なんですが、彼の脅え方がまだ浅いです。
もっと暴れても良かったのではないでしょうか。
これを考えると、絶対負けるわけがないと思っている佐田国の助手の女性がもっと脅えなくてはなりません。
まさか先生が負けるはずが…そんなことを思いながら目の前で次々と組み立てられる首吊り台を前に、それこそ汗をかいたり取り乱したり「先生!」と叫んだりしてもよかったでのはないでしょうか。
腹をくくっている佐田国とは違い、何の葛藤もなしに首吊り台に立つ彼女の心情がまったくありませんでした。
そして肝心のゲーム。
なぜか相手の心が読める佐田国にはもちろんカラクリないしイカサマをしてるわけですが、これもイマイチ爽快感のないイカサマ。
これまでのゲームで暴かれるイカサマの程度の低さは目を瞑るとして、クライマックスくらい誰も予想だにしないイカサマを提示してほしかったのですが、その程度かと・・・。
サングラスをかけてる時点で大方の予想はつくんですよ。
だからもっとサプライズが欲しかったなぁと。
てか、最後貘が、一瞬を突いて相手の手札を覗くシーンがあったんです。
で、わざわざ落書きしてババと見せかけたカードを引かせるんですけど、覗ける瞬間あったなら数字書いてあるカード弾いてジエンドでいいじゃん。
で、佐田国のカラクリが分かったことで思ったんですけど、外務大臣とのポーカーのゲーム、あれ彼のカラクリじゃ5戦連続勝利って無理じゃないですかね。
あのイカサマだけじゃ配られたカードで勝てないですよね?
どういうことなんでしょうか。
あの時点で目蒲とグルだったってことでしょうか。
なんか見落としてる??
ゲームに関してはこの辺にして、演者たちのお芝居について語ろうと思います。
本作では断トツで白石麻衣の演技が酷かったです。
これまで僕は彼女が出演してる作品は「スマホを落としただけなのに」だけでした。
アイドルが何の演技指導もされず主演に抜擢されるのですから技量は承知の上です。
だからハードルを下げて観賞するんですが、乃木坂を卒業後たくさんの作品に出演して経験を積んでいるにもかかわらず、まだこの程度かと唖然としました。
蘭子というキャラは恐らくツンデレ系で極道のようなドスをきかせたシャベリ口調の設定なのだと思われます。
そのため「~じゃないよ!」とか「~だ!」とか「~なのさ!」とか、語尾からいわゆる女性口調を無くした話し方をするんです。
このセリフが全然言えてない。
言わされてる感の強いセリフ回しになってました。
終始このようなセリフ回しのため、一言放たれるたびに僕は顔が歪んでしまい、笑いをこらえるのに苦労するほど。
キャラとしては組長なので、語気を強めたり啖呵を切るような口調をしなくてはならないのだと思うんです。
それこそ腹から声を出すとか、もっと叫んでみるとか、語気を強める手前で息を吸いながら言葉を出して勢いをつけるとか、そういう工夫をするだけでだいぶイケると思うんですけど、多分やってないですね練習・・・。
表情もすごく固いんです。
貘からのお願いに応えるシーンでは、建前ではめんどくそうにしたり拒む態度をするんですが、本心は漠に想いを寄せてることもあり、一肌脱ぐ想いなんですね。
例えば、貘がロデムを居候させてほしいというお願いをするシーン。
蘭子は貘に抱かれるのではないか、いよいよ思いが実る瞬間がやってきた、そんな表情を出すんですが、実は全然違いました、って時の落差が弱いんです。
わざわざキス顔までしてやってるのに、実は違いましたって時はもっと誇張すべきです。
それかツンデレ系なんだから、思いっきり済ました顔をしてとぼけてみせるとか。
他のキャストはまぁ大目に見ましょう。
とにかく彼女が酷かったので書き記してみました。
あとはもう全体的に金がなかったのか時間が無かったのか、舞台がダサい。
闇カジノの事務所がめちゃんこ狭いし、クライマックスの舞台か以上に映し出される出資者たちのモニター画面が、ただ動画を嵌めたかのような陳腐なビジョン。
森の中のサバゲ―も、一瞬空撮すれば「この中で戦い抜くのか…」と察知できるのに、当事者たちの視点しか映さないからすごく狭く感じる。
金がかかってるのはオープニングでのお屋形様との対決くらい。
クライマックスもあれくらい規模の大きなものにしてほしかったですね。
最後に
そういえばオープニングでの対決。
なぜ漠が「1時間以内に飛行機が飛ぶかどうか」というお題を出すと、相手側はすぐわかったのでしょう。
言うや否や部下が隠れてスマホで「東京上空を飛行するな」って命令を出せるのか。
また貘があらかじめ仕組んでいた仕掛けをすぐ察知して、未然に防げたのか。
それこそ嘘喰いなら、そこまで先も読めたはず。
全く持って分かりません。
てか、お屋形様ってそんなに重要?
最後に戦うならまだしも、戦う直前で終わっちゃうし。
しかし中田監督、映画撮るの下手になってませんか?
恐怖演出一個もなかったんですけど。
首吊りの想像映像くらいじゃないですかね、怖そうなの。
あと、会話の中で不穏な音楽流すのも全然うまくないっす。
無音の方が全然いい。
あんた映画監督って、嘘つきだね。
ホントこの手の映画は見る側が「やられた!」と思わされるような展開がないとつまらないです。
嘘を喰うことで、いわゆる「水戸黄門」の印籠が出るような盛り上がりがないときついです。
その辺をしっかりやってほしかったですね。
続編ですか、ないでしょこれ。
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆★★★★★★★★2/10