アンチャーテッド

アドベンチャー映画の中で良く扱われるのが「宝探し」=トレジャーハント。
「インディ・ジョーンズ」を始め、「ハムナプトラ」、「ナショナル・トレジャー」といったシリーズものから、「グーニーズ」、「レディ・プレイヤー1」などのジュブナイル系、「トゥームレイダー」のようなゲームから映画化された作品などが有名。
どれも共通するのは歴史的名所や遺跡などに向かい、謎を解きながら財宝の在り処を探すパターン。
そこには必ず権力を振りかざして力づくで探そうとする邪魔者の存在がおり、一筋縄ではいかない冒険譚になってるのが面白い所。
また謎解きや罠といった要素によって、観る側も共に冒険をしている感覚になるのが良いですよね。
今回鑑賞する映画は、人気アドベンチャーゲームから生まれたトレジャーハント映画。
僕自身ゲームからかなり離れてしまったので、映画になって初めて知りました。
なんてたって主演とバディを組む俳優が凄くいいです。
どちらもお喋りな俳優なので、掛け合いは抜群でしょう。
もちろんアクションも期待できる2人。
というわけで早速鑑賞してまいりました!!
作品情報
全世界の累計売上本数が4000万本以上を誇る超人気アドベンチャーゲーム「アンチャーテッド」。
「アンチャーテッド」とは「地図にない場所」という意味で、プレイヤーは実在した海洋冒険家フランシス・ドレイクの末裔だと自称するトレジャーハンターを操作し、世界を股にかける大冒険を繰り広げ、時には悪の組織と戦いながら、歴史や秘宝、古代都市の謎を解明していくゲームだ。
ゲーム界のアカデミー賞を受賞し、熱心なファンも多いこのゲームを、「ヴェノム」や「ゾンビランド」などで映画ファンの心を熱くしてきた監督が、現在「スパイダーマン」を演じている人気俳優を主演に迎え製作した。
本作は主人公ネイトと相棒のハンター・サリーの出会いをはじめとしたオリジンストーリー。
消息を絶った兄を気にかけながら、500年前の海賊船の行方とそこに眠る50億ドルの財宝を巡る冒険を描く。
ゲームを知らない人でも楽しめ、ゲームを経験した人にはこれまで見たことのない冒険を見ることで探求できるよう作り上げた。
主演二人の饒舌な掛け合いや「スパイダーマン」以上にトレーニングを積んだという主演の華麗なアクションにも注目だ。
果たして財宝を見つけ出し、消息を絶った兄と再会することができるのか。
トレジャーハントの才能を持つ青年が、今旅に出る。
あらすじ
ネイサン・ドレイク(通称:ネイト)(トム・ホランド)は海洋冒険家フランシス・ドレイクの末裔だが、幼い頃、唯一の肉親である兄のサムと生き別れ、今はNYでバーテンダーとして働いている。
ボトルを扱うその器用な手さばき、そして類まれなるスリの能力を見込まれ、トレジャーハンターのサリー(マーク・ウォールバーグ)から50億ドルの財宝を一緒に探さないかとスカウトされる。
信用の置けないサリーだが、消息を絶ったサムの事を知っていたことから、ネイトはトレジャーハンターになることを決意する。
早速、ネイトとサリーはオークションに出品されるゴールドの十字架を手に入れる為、会場に。
この十字架は財宝に辿り着く為の重要な“鍵”で、モンカーダ(アントニオ・バンテラス)率いる組織も狙っていた。
オークション会場での争奪戦の末、なんとか十字架を手に入れたネイトとサリーは、
500年前に消えたとされる幻の海賊船に誰よりも早く辿り着く。しかしその海賊船ごと吊り上げられてしまうが――
アメリカ、ヨーロッパ、アジア、世界中を駆け巡り、果たして二人は50億ドルの財宝を手に入れることができるのか?
そしてネイトは兄サムと再会できるのか?
トレジャーハンターとしての冒険が始まる。(HPより抜粋)
監督
本作を手掛けるのは、ルーベン・フライシャー。
本作は当初「アメリカン・ハッスル」や「世界にひとつのプレイブック」のデヴィッド・O・ラッセル監督に白羽の矢を立てたそうですが、原作から大きくはなれたプロットに製作側が難色を示したそうで降板されたとのこと。
その後もトラヴィス・ナイトやショーン・レヴィなど、この手の作品に向いてそうな監督が候補に挙げられたそうですが、フライシャー監督に落ち着いたようです。
そもそも本作はソニーピクチャーズが製作。
これまで「ヴェノム」や「ゾンビランド」などソニピクで製作していることも多いため、交渉しやすかったかもしれません。
それこそトムホが主演の「スパイダーマン」もソニーですから、何かとキャスティングしやすかったのかな。
というか「ヴェノム」の監督が「スパイダーマン」の主演で作品作るって、なんか面白いですねw
キャスト
主人公ネイサンを演じるのは、トム・ホランド。
みんな大好きトムホが「スパイダーマン」以外で主演するのは「カオス・ウォーキング」以来でしょうか。
ファンの方には申し訳ないんですが、どうしてもピーター・パーカーが沁みついているせいで、何をやってもピーターなんですよね・・・。
さて本作では、スパイダーマンのように能力を持つキャラではなく、普通の人間が主人公。
あちらは縦横無尽にアクションできるけど、こっちは普通の人間だからアクションにも限界値が発生するわけです。
そういう意味でもアクションコーディネートはかなり大変だったそうで、やり遂げた本人曰く「この偉業にみんな驚くと思う」と自信たっぷりの様子。
どんなアクションを見せてくれるのか大いに期待したいと思います。
他のキャストはこんな感じ。
ネイトの相棒サリー役に、「トランスフォーマー」シリーズ、「テッド」のマーク・ウォールバーグ。
モンカーダ役に、「デスペラード」、「ドクター・ドリトル」のアントニオ・バンテラス。
クロエ・フレイザー役に、「エブリバディ・ウォンツ・サム!」、「トゥルース・オア・デア/殺人ゲーム」のソフィア・アリ。
ジョー・ブラドック役に、TVシリーズ「ハンドレッド」、Netflixドラマシリーズ「YOU~君がすべて~」のタティ・ガブリエルなどが出演します。
果たしてネイサンは50億の財宝を手に入れることができるのか!?
トムホのしなやかなアクロバットアクションを堪能したいと思います。
ここから観賞後の感想です!!
感想
#アンチャーテッド 観賞。
— モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) 2022年2月18日
さすがルーベンフライシャー。
手堅い面白さ。
トムホのバーテン姿はかっこいいし、常人とは思えない動きは圧巻。
でも拳銃構える姿は似合ってない。 pic.twitter.com/EKHcAKVJbY
娯楽大作ってのは、これくらいの塩梅でいいんですよ!
「無いんじゃくて、見つかってない。」
ロマンてのはそういう思いが大事ですね。
以下、ネタバレします。
序盤はアクションと謎解き重視。
伝説の海賊の末裔と自称する主人公と、かつて主人公の兄と共に冒険した中年男性がタッグを組み、50億ドルもの財宝が眠る「アンチャーテッド=地図にない場所」を求め冒険に繰り出す姿を、ゲームを彷彿とさせるアトラクションや映画的編集で時間の短縮を巧く施す監督の娯楽性あふれる演出やテクニック、さらには善人=トムホ、胡散臭い=マークというキャラ設定がしっかりはまった、非常に手堅い面白さのある作品でございました。
元々「映画のようなゲーム」をコンセプトに作られたとされる原作ゲームを、映画にしてみましたってどうなのよ?って意見も散見される本作。
見終えた僕から言わせてもらえれば、ゲーム未経験の僕でも相当楽しめる作品でしたよ、ええ。
やっぱり宝探しってゲームでも小説でも映画でも面白くできちゃうんだなぁと。
ザックリ流れを説明。
少年時代に別れたきり行方不明の兄サムを思いながら、細々とバーテンとスリをしているネイト。
以前サムと共に「船長の墓」まで冒険をしたサリーっておっさんが近づき、「俺と一緒に50億ドルの財宝を探さないか」と持ち掛け、冒険の旅が始まります。
まず手始めに、オークションに出品される「十字架」を盗む作戦に。
しかし、かつて「マゼラン一行」が世界一周する際に資金を提供した一族の末裔モンカーダと、かつてサリーと手を組んでいたジョーという手下の女性が立ちはだかります。
四苦八苦しながら会場で騒ぎを起こすネイトに対し、その騒ぎに乗じて見事十字架を盗んだサリーは、もう一つの十字架を持っている女性クロエとバルセロナで合流。
知識と勘の冴えるネイト、いつ裏切るか読めないサリーとクロエと共に、バルセロナの教会で財宝探しへと繰り出します。
教会の地下と地上、二手に分かれて宝の在り処を詮索する一行は、いくつかのハプニングに見舞われながらも、無事お宝の在り処にたどり着きますが、そこには塩の入った2m級の壺のみ。
中に地図が隠されていたものの、クロエの裏切りにより手柄はナシに。
しかも兄サムの真相を聞かされたネイトは、サリーを憎み、この件から手を引くことを決意。
バラバラになった一行。
クロエは実はモンカーダの手下であり、サリーはサムと共に船長の墓で言った時のことを語り、ネイトの誤解を解きます。
いよいよお宝までもう少し。
予告編でも描かれた「輸送機から放たれた荷物を突破してコンテナに戻る」映像がここでお目見え(オープニングもここからなんですけどw)。
モンカーダを殺害し組織を引っ張るジョー、一人お先にパラシュートで逃げるサリー、ネイトたちを裏切ったにも拘らず、再びネイトと手を組むことになるクロエ、そして兄サムが遺した絵葉書から暗号を探し出すネイト。
お宝さがし合戦の行方は、娯楽大作映画でお約束の壮大なクライマックスへと導かれていくのです。
最初のオークション会場でのエピソードは、アドベンチャーとしては程遠いですが、トムホランドのアクションを堪能するシーンだったように思えます。
会場の電気をショートして盗む手はずだったのに、ロシア語でまくしたてる守衛に、「なんて?」と余裕のあるツッコミを入れるネイトでしたが、相手のパワーに押され作戦はオジャン。
パルクール仕込みのアクロバテッィクなアクションで攻撃を交わすトムホに魅了されつつ、この後どうなってしまうのか!?とドキドキの展開。
取った行動は2階の手すりからぶら下がってる照明に飛び移ること。
なんとか地上に着地するやいなや、自力で脱出しなくてはならない展開に。
競りで300万ドルまで膨れ上がった十字架のセキュリティが超甘いとか、そもそも作戦通りやらずに、騒ぎ起こせば盗めんじゃん!なんてツッコミは無用。
「絶対こいつ裏切るわ」感満載のサリーと、結局損な役回りばかりさせられるネイトの掛け合いを楽しむシーンでしたね。
アドベンチャーっぽくなっていくのは中盤以降。
二つの十字架を手に入れたネイト一行は、サムからサリーへと行きわたった日記を頼りに、教会で手がかりを探します。
ここで注目したいのが、サムからネイトに何通も送られてきた絵葉書。
教会にたどり着いた際、全く同じ絵葉書が売られていることに気付いたネイトは、絵葉書には兄から何かしらのメッセージが刻まれていることを察知。
さらにサリーがなぜネイトを今回誘ったのかという疑問にもつながるアイテムでして、後半これが活用される謎解きは、これぞアドベンチャー映画!と感じる瞬間です。
実は二つの十字架がカギとなっており、日記に記された「仲間を裏切るな」のような
文言や「天国と地獄に分かれている」という言葉を頼りに、次々と難関を突破していく姿はワクワクです。
カギを同時に回す際には、適当な言葉で指示を出すサリーに報いが生じるハプニングがユーモラスに描かれてるし、二手に分かれて行動すると古びた回廊かと思いきやクラブに出てしまう意外な展開、地上でウロウロするだけのサリーに対し、ネイトとクロエは水責めに合うハプニングに出くわしたりと、歴史と同居するバルセロナ市内だからこそあり得そうな仕掛けが盛りだくさんでした。
後半は、いよいよ本丸。
クロエの裏切り行為によってマゼラン一行が遺した地図を奪われたネイトとサリーは、彼女の行動を尾行し、モンカーダと繋がっていたことを察知。
輸送機に隠れて乗り込み、地図を奪取する作戦に。
コンテナに積まれた貨物を外へ放り出して、下っ端どもを一掃しようと試みるネイトでしたが、敢え無く落下。
貨物の紐に足が引っ掛かっていたおかげで一命をとりとめますが、同じく生存していた手下たちの銃弾を交わしながら戦う羽目に。
トムホの華麗なジャンプ力と華奢な体からは想像できない腕力がこのアトラクションを面白くさせてくれます。
フィリピンの島に漂着したネイトとクロエ。
彼女の裏切り行為を水に流したネイトは、ここで盗んだ地図が指す「アンチャーテッド=地図にない場所」を、サムから届いた絵ハガキを頼りに導き出します。
サリーは、サムがもしかしたら最後の仕掛けを弟であるネイトに託したのではないかと睨んでいましたが、その予想は見事的中。
しっかり弟に宝の在り処を託してたんですね~。
ロマンや…。
クライマックスは海賊船をヘリで空輸する際に、ネイトとサリーが一機制圧しての空中バトル。
錆びた剣を手にして敵の手下どもをガンガン海に突き落とすシーンでは、ようやく互いを信じ始めたネイトとサリーのコンビプレイが見事です。
背中合わせて敵と対峙したり、ロープで反動をつけて蹴りで攻撃するネイト。
そのネイトの手を掴み、サリーが補助してさらに振り子攻撃するアクションは良かったですね。
そもそもこれまで大した活躍を見せてなかったサリーの数少ない見せ場でもありますw(一応ジョーとのタイマンシーンはありましたけど、そこまで強くねえなぁって思ってたんでw)
ヘリの乗っ取りに成功したサリーは、もう一機海賊船を輸送している敵を注視しながら、下で戦っているネイトをフォローする展開に。
ネイトもネイトで気分はジャックスパロウなのか、砲弾を見つけては砲台にツッコんで敵の船を攻撃する名案(?)も炸裂。
いかにもアドベンチャーらしい無茶な名案で、映画ならではの機転を利かせた展開に、思わずニンマリ。
最後も、サリーがようやく男を見せる熱い行動をすることで、裏切りの連続だった本作に絆が結ばれた良いエンディングでした。
善人=トムホ、胡散臭い=マークが良い。
今回の映画化がうまくいったなぁと思った大きな要因は、キャスティングの妙だと思います。
やっぱりトム・ホランドってスパイダーマン=ピーター・パーカーのイメージが強く、何をやっても純真無垢でまだ子供だなぁって思いがち。
「カオス・ウォーキング」でもそれが如実に現れたキャラでしたし、本作でもそう。
実際スリ行為で人を騙すようなことをしてても、胡散臭いサリーにいいように扱われてるわけだし。
一方で、損な役回りをするネイトの慌てっぷりな役柄は、トムホだから表現できる姿だったように思えます。
また誰も信用できないと豪語するクロエとのやり取りも「人を信じがち」なネイトを見事に表現していたように思えます。
明らかにクロエを意識しているネイトは、バルセロナのシーンで裏切られちゃうんですが、僕もまんまと騙されてまして、ネイトもこんな気持ちだったのかなと思うとすごく切ないw
好意持ってる女性に裏切られるってなかなかのセンチメンタルでしょw
これをトムホがやるってのがベストマッチすぎるっていうか、君は未だにこういう役回りなのね…まだこの手の役を卒業できないのね…でも最高だよwと。
あとは、バーテンダーの姿がかっこよかったですねw
喋りながらカクテルのパフォーマンスを見せて気を引くんですけど、多分トム・クルーズの「カクテル」見て勉強したんだろうなあとw(それじゃピーター・パーカーじゃんw)
ボトルを回す練習もしっかりやったんだろうなぁと思えたお芝居でしたねw
こんな善人のネイトに対し、豊富な経験で修羅場を掻い潜ってきたサリー演じるマーク・ウォールバーグもハマってましたね。
彼の場合、大体筋肉系バカか筋肉系クズのどっちかを演じることが多いんですが、そのイメージとはちょっと違う「胡散臭さ」を見事に表現してました。
なんていうんでしょう、彼のとぼけた顔ってすごく画になるんですよw
ホントコイツ何考えてるかわからないみたいなw
だから兄であるサムの真相を伏せてたり、ネイトに損な役回りさせて自分は美味しいとこ持っていっちゃうとこ、財宝最優先であとはお構いなしなところとか、全部彼だからOKみたいな。
そうした強欲な所があるから手柄を自分で掴めない残念な感じ、にもかかわらず金に執着心を持ってる姿や彼の読めない表情が、マークのいい所でしたね。
最後に
ルーベン・フライシャー監督の、手堅く面白く見せる手腕も今回のような映画に適しており、編集もすごく良かったですよ。
いきなり空中で気絶するネイトで始まる冒頭。
本作の見せ場である輸送機から落ちてるシーンから、危ない!ってなるギリギリのところで15年前の回想に入り、兄サムとの別れを描く。
これを数分で描いて、一気にサリーとの出会いに移るという非常にスマートなオープニング。
もういちいち演者の葛藤とか無駄なやり取りとか描かない潔さがありましたね。
サクサク進む編集と、人物関係あっさりだけど見せ場には時間をかける「観衆を楽しませる」技術は見事だったと思います。
エンドクレジットのおまけも二つあり、続編を匂わせる映像でしたね。
是非続編をやってほしいですし、サリーはあの姿で出てくれると期待しておりますw
無いのではなく、見つかっていない。
何にでもそういう心意気で臨めば、誰もたどり着いたことのない場所に行けるのかもしれません。
ネイトとサリーがたどり着いた場所は、「あると信じてたどり着いた景色」。
お宝でも目標でも、信じることが大事ってことですね(すげ~きれいにまとめようとしてるw)
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10
