モンキー的映画のススメ

モンキー的映画のススメ

主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「ダム・マネー ウォール街を狙え!」感想ネタバレあり解説 金持ち連中に一泡吹かせてやったぜ!

ダム・マネー ウォール街を狙え!

老後の資金は投資で賄ってくれという、金のないもんにとってはもはや地獄の未来しかない現代社会。

新NISAをやろうにも積み立てる資金がありません!モンキーです!!

 

つうか、暴落することだってあり得るのに、なぜ「安心」と言えるのか、俺にはさっぱりわからないんで、しばらくタンス預金していこうと思ってます、はい。

 

いきなり金の話で申し訳ないんですが、今回観賞する映画は「金」の話です。

厳密には「株」の話。

マネー・ショート」って映画で「空売り」なんて言葉を覚えたものの、実態はどんなもんかちゃんと調べないと覚えてもないワード。

 

どうも今回もこの「空売り」がバンバン出てくるということで、事前学習して臨みたいと思いますが、おそらく俺みたいな馬鹿でも「うぉ~すげ~!!」って感じの熱い映画っぽいんで、まずは楽しみたいと思います。

早速観賞してまいりました!!

 

 

作品情報

コロナ禍によって誰もが孤独と将来への不安に苛まれた2020~2021年、時代遅れで倒産間近と囁かれていたゲームストップ社の株をこぞって買いまくり、同社を空売りしていたヘッジファンドに大損害を与えた「ゲームストップ株騒動」を、「アイ、トーニャ」の監督が、『ソーシャル・ネットワーク』の原作者でもあるベン・メズリックのノンフィクションに基づき実写映画化。

 

ネット掲示板の動画配信でゲームストップ社の価値を真摯に訴え続けた主人公と、彼の主張に共感して夢を追い求めた人々のジェットコースターな人間模様、やがて巻き起こるヘッジファンドとの熾烈な攻防など、破格のサプライズとユーモア満載で描く、小市民VS大富豪の究極のマネーゲーム。

 

「息子と一緒に暮らしていなければこの騒動を知ることはなかった」と語る監督のクレイグ・ギレスピーは、ダムを決壊されるがごとく起きた騒動を映画にすることで、今なお続く貧富の差に対して議論の一助になればと願いを込めた。

 

主人公には、「スイスアーミーマン」や「ルビー・スパークス」、「ザ・バットマン」でのリドラー役としての怪演が記憶に新しいポール・ダノ

赤いハチマキにネコのプリントTシャツを着た、いかにおオタク感のある外見とは裏腹に、家族や仲間、そして会社への熱い思いを持ったイケメンハートを持ったナイスガイを熱演した。

 

他キャストには、「トランスフォーマー/ビースト覚醒」のアンソニー・ラモスピート・デヴィッドソン、「マグニフィセント・セブン」のヴィンセント・ドノフリオ、「バービー」のアメリカ・フェレーラ、「ハーツ・ビート・ラウド たびだちのうた」のニック・オファーマン、「キャプテンアメリカ」のバッキー役でおなじみセバスチャン・スタン、「ダイバージェント」シリーズのシャイリーン・ウッドリー、そして「フェイブルマンズ」のセス・ローゲンなどが出演する。

 

権力や資産を持つものが上に立つ社会で、一般人がどんな革命をもたらすのか。

強欲で私利私欲なやつらに一泡吹かせる大逆転劇を見逃すなかれ。

 

 

あらすじ

 

コロナ禍まっただ中の2020年。

米マサチューセッツ州の平凡な会社員キース・ギル(ポール・ダノ)は、全財産の5万ドルをゲームストップ株につぎ込んでいた。

 

アメリカ各地の実店舗でゲームソフトを販売するゲームストップ社は業績が低迷し、倒産間近のボロ株と見なされていたが、キースは赤いハチマキを巻き、ネコのTシャツ姿の“ローリング・キティ”という別名義で動画を配信し、この株が著しく過小評価されているとネット掲示板の住民に訴える。

 

 

すると、キースの主張に共感した大勢の個人投資家がゲームストップ株を買い始め、2021年初頭に株価はまさかの大暴騰。

同社を空売りしてひと儲けをもくろんでいた金融業界の大富豪たちは巨額の損失を被った。

 

やがてSNSに集った無力な一般市民が、この世の富を独占するウォール街のエリートに反旗を翻したこのニュースは、連日メディアをにぎわせ、全米を揺るがす社会現象に発展。

 

しかし一躍、時の人になったキースの行く手には、想像を絶する事態が待ち受けていた……!(HPより抜粋)

youtu.be

 

 

感想

株のフランス革命やぁ!!

弱者だとしても、投資した額が「愚かな金」だとしても、束になってかかれば、空売りばっかして市場を牛耳るクソ金持ちに一泡吹かせられんだよ!

最高じゃねえか!!

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

決して難しくない。

コロナ禍に起きた騒動ってことで、めちゃめちゃ最近の出来事にも拘らず、こうしてエンタメ映画として世に放つことができるフットワークの軽さこそアメリカ映画の良いことろだと思ってるんですけど、この「ゲームストップ株騒動」をどうやって物語として組み立てるかって結構難しい所があったと思うんですよ。

 

もちろん原作を基に描いてはいるだろうし、渦中の人物であるローリング・キティの視点で描けばいいのだろうけど、関連する人物にもフォーカスを当てないといけない。

 

それこそシデタル社のケン・グリフィンや投資家のケイブ、一連の騒動に拍車をかけたロビンフッドのブラッドといった、いわゆ市場を操作するる金持ち連中による、株の急騰によるリアクションや、その後の対策をどう講じるかなどといった一挙手一投足を描かないといけないだろう。

 

さらには、ローリング・キティのダイヤの手を信じる者たちが、今どういう立場で株に向き合ったり、どういう状況下で彼の話を信じ株を買うという判断を下すか、また手放すかといった、一連の動向にもフォーカスを当てないと、今回の騒動をひとくくりにして見せることができない。

 

それをギレスピ―は、これらを綺麗にまとめて描けていたように思えます。

 

一体どのように見せたのか。

一番効果的だったのは、時代が「コロナ禍」の真っただ中というのが大きいかと。

劇中では、事あるごとに「マスクをつけろ」と促す連中が登場したり、外に出る際、特に公共の交通機関内では皆マスクをしてるんですよね。

それくらいパンデミックに警戒していた時期だったんですよ。

 

で、皆が直接会って交流することが難しい時期だったことから、登場人物全員が絡む必要がなかったわけです。

もちろんキース一家は実家が近くにあるからということもあり、机を挟んでの家族会議などをするシーンがありますが、他の登場人物は誰も直接会うことはありません。

 

やがて金の貸し借りをすることになる投資家連中も、電話かビデオチャットくらい。

またキティ信者たちも直接会うこともなければ、連絡を取り合うこともありません。

そうした個々の視点をリズムよく挟みながら、見る側が騒動を見守るようなスタイルにしてるんですよね。

 

さらに「良いなぁ」と思えたのにも「コロナ禍」が関係してきます。

当時、誰もが「会いたくても会えない」孤独感にさいなまれていた時期。

そうした不安を何かで解消しなければ、さらに孤独を増していたことでしょう。

何かに縋らないとやっていけない中、縋りたい気持ちにさせてくれたのが株であり、「ゲームストップ」という会社が好きだと熱弁しながら微笑みを浮かべるキティだった。

知らず知らずのうちに彼の虜になった視聴者が、ゲームストップの株でなく、彼にBETしていく姿を見せてい行くわけです。

 

看護師をしながら子育てに暮れるシングルマザーは、子供の歯の矯正資金目当てだったものの、それ以上の希望を彼に見出していく。

ゲームストップで働く若者は、実家の引っ越し資金目当てで始めたが、彼の言葉に耳を傾けることで希望を見出していく。

学生ローンの支払いをしなくてはならない女子二人組もまた、キティの言葉に乗っかっていく。

 

そうしたキティ信者たちの行動や背景を見せることで、孤独や不安を埋め、それが希望となっていく過程をちゃんと見せていくわけです。

すると、かつてコロナ禍によって同じように孤独と不安を抱いていた自分と重なっていくではありませんか。

気軽に飲みに行けない、遊びにも行けない、稼ぎも減っていく、いつコロナが明けるか先が見えない中で、皆各々がどうやって人と関わり人と繋がろうとし、その場を乗り越えようとしていたかを想起させてくれるんですよ。

 

物語は、中盤でゲームストップ株が急騰していく流れになります。

そうした信者たちの悦びの姿を束にして見せる様や、キティ自身が唖然とする姿をピークに、今度は投資家たちの逆襲が後半描かれ、キティや信者たちの心が揺らいでいくわけです。

 

こうしたアゲサゲからの解放という組み立て方により、物語は非常に心地の良い流れを汲んだ映画になってたんですよね。

 

一連の騒動をまとめてみる。

きっと観た人は、難しい用語がバンバン出てきたり、登場人物の多さ故に頭がパンクしてしまうかもしれないんですけど、ギレスピ―監督は、小口投資家である一般人たちの悲喜こもごもにフォーカスをあてたり、彼特有の楽曲チョイスのノリを物語に挿入することで、非常に見やすく爽快な物語へと作り上げてました。

 

とはいうものの、実際このゲームストップ株騒動とは一体どういうことだったのかってのは、自分含めちゃんと押さえておきたいなと思い、知った風な口で(笑)語っていこうと思います。

 

 

そもそもゲームストップってどんな会社よって話なんですが、具体的にはゲームの小売業を営む会社だそう。

新品や中古のゲーム販売がメインのようですが、今や時代はオンラインが主流ということで、業績は軒並みダウンしていた様子。

そこに目を付けたヘッジファンド(富裕層らを対象にした私募形式の投資信託)が空売り(下がると見込んだ株を、信用取引などを利用して「借りて売る」、下落すれば差額が利益になる)して儲けようというやり方で、ゲームストップ社を潰しにかかっていたわけです。

 

しかし、空売りされてることに気付いたローリングキティは、「この会社が好きだ」という理由で、阻止することを決断。

総資産の半分に及ぶ5万ドルを資金にして株を大量購入した報告を、自身のYouTubeや、WSB(個人投資家たちのコミュニティ)で公表したのであります。

 

それに感化されたコミュニティの連中が、彼に賛同し、ゲームストップ株を購入、半年から1年かけてジワジワと株価が上昇し、年明けに急騰する事態が発生したのであります。

 

もちろん小口投資家が束になって買いを進めれば株価は上がりますが、理由はそれだけではありません。

空売りしていた投資家たちが、「このままでは損をする」ということで、買い戻しを始めたことがさらに拍車をかけたのであります。

 

こうしてゲームストップ株は、2週間で株価が8倍にも上昇するも一旦下落、そこからまた上昇するというジェットコースター相場と化したのであります。

 

劇中、この騒動で大損をこくのがセス・ローゲン演じるケイブ。

マイアミのデカい家で悠々自適な暮らしをしてますが、仲間であるスティーブからの連絡によって、一気に顔面蒼白。

なんと6.8億ドル(たしかケイブが書いた紙にそう書いてあった)。

なんとか資金をシデタル社から借りることで持ち直したものの、大損をこいてしまったのであります。

 

ケイブは10年前からゲームストップ株をコツコツ空売りをしていた人の一人である緒と共に、ゲームストップの価値を下げた人とのひとり。

そうやって株価操作して会社を潰し、そこで働いてる人たちが路頭に迷うことなど考えずにのうのうと暮らす奴が、一般市民である個人投資家たちの手によって人生を転がり落ちていく様は痛快です。

 

劇中では、個人投資家たちが情報共有していたコミュニティサイト「WSB」が突如閉鎖されてしまう事件が起きます。

その原因は、ロビンフッドという手数料なしで株の取り引きができるアプリを運営する会社のCEOデヴィッド・テネフ’(セバスチャン・スタンが演じてました)。

 

乱高下を繰り返すゲームストップ株の取引き量の多さから、預託金を収めなくてはならない事態となったデヴィッドは、シデタル社から金を借りることでなんとかその場を収め、さらに資金調達しなくてもいいように、新規の株取引を停止するという暴挙にでたのであります。

 

この事態を重く見たホワイトハウスは、ローリングキティとシデタル社のケン、ヘッジファンドのケイブとロビンフッドのデヴィッドから直接話を聞くために公聴会に呼ぶことに。

 

映画では、オンラインで1度きりしか描かれてませんが、複数回行われたようです。

 

今回のこのゲームストップ株騒動は、本来情報を持っていることで優先して行動することができ、さらには資金としても影響力のあるヘッジファンド勢に劣勢だった個人投資家が、SNSの普及によって情報を共有できたこと、それによってダムマネー(愚かな資金)だとしても革命は起こせる=強大な力をも倒すことができることを示したのであります。

 

さらに遡れば、「マネーショート」で描かれた「サブプライム住宅ローンの崩壊にを予知し、世紀の空売りをした2009年にも言及した作品であり、今回の騒動によって、ヘッジファンドは個人投資家の動向にも注視するようになったとのこと。

 

・・・という知った風な口調で語りましたが、事の背景はそういうことだったわけです。

 

 

最後に

実際ローリング・キティは実在しており、渦中の人物だったので主人公として描くのはセオリーだと思いますが、例えば、彼自体を一切描かずに彼を信じ群がるコミュニティの人たちを中心に描いたら、面白そうだなとも思えましたね。

いわゆる「桐島、部活やめるってよ」スタイルとでもいいましょうか。

キティを信じまくることで、一獲千金を手に入れる者もいればそうでない者もいる、みたいな。

 

あくまで適当に浮かんだアイディアなんでスルーしてくださいw

 

個人的にはどうしてもギル(ローリング・キティのこと)が、ゲームストップという会社への愛が全然描かれてないことが一番の不満。

言葉でサラッと言われても、俺は「そこまで言うなら俺たちで救おうじゃないか!」とはならないんですよ。

やはりそこは回想で新作のゲームを買ってやり込むキティ少年、弟のケビン、そして亡くなってしまったサラとの子供時代を見せることで、気持ちが乗っかるわけじゃないですか。

 

本来知恵と運によって儲かる可能性のある株を、富裕層が情報と資金力だけで独占する市場に一石を投じるための行動だったという着地や、実際コロナ禍で苦しい中でも悠々と金を秒で稼ぐ金持ち連中への敵視みたいな構図があっての物語だとは理解してるものの、そこはギルのドラマとしてもう少し深みを出してほしかったですよね、フィクションとして。

 

それでもやはり弱者が強者を倒す構図は見事で痛快でした。

ラストシーンは、微笑ましかったなぁw

兄弟裸一貫でダッシュw

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10