F1® エフワン
Netflixのドキュメンタリー「Formula 1: 栄光のグランプリ」が世界的に人気だそうです。
各シーズン1話完結の全10話で構成されてるそうで、モータースポーツとしてのタイトル争いではなく、ドライバーやスタッフ、チームにフォーカスを当てて、生々しい舞台裏やインタビュー、内情などありのままを映すことで、人間関係の機微を浮かび上がらせ、僕のようなカーレースに興味のない人たちを夢中にさせてるんだとか。
特にアメリカでは空前のブームだそうで、今回鑑賞する映画「F1」も、その波に乗って製作されたのではないかと思ってます。
これまで「栄光のル・マン」、「グラン・プリ」、「ラッシュ/プライドと友情」、「フォードVSフェラーリ」、そして「グランツーリスモ」など、様々なカーレース映画が歴史に名を刻む中、おそらく本作はこれらの映画よりも「リアル」を追求した作品になってる様子。
果たして映画で体感も満足度も時速300㎞を越えられるか。
早速鑑賞してまいりました!!
作品情報
監督のジョセフ・コシンスキー、プロデューサーのジェリー・ブラッカイマー、脚本のアーレン・クルーガーら「トップガン マーヴェリック」を手がけたスタッフが集い、F1(R)の全面協力を得て、グランプリ開催中の本物のサーキットコースを使って撮影を敢行、世界チャンピオンにも輝いた現役F1(R)ドライバーのルイス・ハミルトンもプロデューサーとして参加し、メルセデスの全面協力の下、本気の映画がついに幕を開ける。
最下位に沈むレーシングチームに加入した元伝説のドライバーを中心に、幾度も衝突を繰り返して、なかなか一つにまとまらないチームが、過酷な試練を乗り越えながら絆を強め頂点を目指す姿を、極限を追求する人間模様と細部にまでこだわった映像技術で「映画とリアルの境界線をシームレス」にさせ、極上の映画体験を提供する。
「トップガン:マーヴェリック」を大成功に収めたプロデューサー、ジェリー・ブラッカイマーは、共に製作したコシンスキー監督に「リアルなF1映画を製作したい」と打診。
主演のブラッド・ピットや現役レーサーで今後映画製作にも力を入れる予定のルイス・ハミルトン、さらには彼が当時所属していたメルセデスらが加わり、F1を運営するFIAや各チームとの関係作りをしながら、製作を実現させた。
伝説のドライバー・ソニー・ヘイズを演じるのはブラッド・ピット。
ハミルトンと幾度もコミュニケーションをとりながらトレーニングに臨んだブラッドは、F4から段階的に訓練を受け、撮影時にはF2マシンをベースにF1風の改造を施したマシンに自ら運転し、限界に挑んだ。
しかもワールドプレミア後には、マクラーレンF1のプライベートテストに参加し、正真正銘のF1マシンで走ったことも明かされた。
他にも「トレイン・ミッション」のダムソン・イドリス、「プロフェッショナル」、「イニシェリン島の精霊」のケリー・コンドン、「DUNE/砂の惑星」、「リトル・マーメイド」のハビエル・バルデム、TVシリーズ「アウトランダー」のトビアス・メンジーズなどが出演。
またレース会場では現役ドライバーたちが多数出演している。
F1ファンはもちろん、モータースポーツに興味のない人でも必見の本作。
果たして最弱のチームに、勝利の女神は微笑むのか。
あらすじ
ソニー・ヘイズ(ブラッド・ピット)はかつて「アイルトン・セナ」「ナイジェル・マンセル」など伝説のドライバーがいた時代に、彗星のごとく現われた期待の新人だったが、「スペインGP」の大クラッシュで引退。
それから30年。
「デイトナ24時間レース」の優勝を見届けて帰るソニーは、かつての同志でF1新興チーム「APX(エイペックス)」を運営しているルーベン(ハビエル・バルデム)と再会。
最下位が続き、チームを手放さざるを得ないところまで追い詰められており、チーム存続のためソニーに望みを託す。
APXには、注目の新人ドライバージョシュア(ダムソン・イドリス)や、マシン設計や作戦などを統括するテクニカル・ディレクターに新人かつ女性初となるケイト(ケリー・コンドン)が就任。
いずれもやる気が空回りしているのか、チーム全体がチグハグな状態を醸し出していた。
自由奔放を絵に描いたようなソニーは、チームは初日から常識破りの行動をし振り回していく。
チームワークなどお構いなしだが天性の速さを見せるソニーに対し、周囲から期待を一身に受けるはずだったジョシュアは、内心穏やかではなかった。
何を目的としてF1復帰したのかすら明かさないまま、ソニーは「レースで優勝できる」と豪語し、皆を鼓舞していく。
残された時間は今シーズン最終戦「アブダビGP」までの9レース。
ソニーはAPXを優勝に導くことができるのだろうか。
キャラクター紹介
- ソニー・ヘイズ(ブラッド・ピット)…型破りなカリスマF1レーサー。ルーベンからの誘いを受けて現役復帰し、チームを率いていく。
- ジョシュア(ダムソン・イドリス)…ソニーのチームメイトで若きルーキーF1レーサー。自信過剰でソニーともぶつかり合うが、徐々に成長していく。
- ケイト(ケリー・コンドン)…チームを支えるピットクルーのリーダー。
- ルーベン(ハビエル・バルデム)…最下位に沈むF1チームの代表であり、かつてのソニーのチームメイト。ソニーをF1の世界に呼び戻す。
- バーナデット(サラ・ナイルズ)…ジョシュアの母。息子をサポートする。
- リコ(ジョセフ・バルデラマ)…中堅レースエンジニア。
- ヒュー(ウィル・メリック)…若手レースエンジニア。
- ピーター(トビアス・メンジーズ)…物語の重要なカギを握る人物。
- キャッシュマン(サムソン・ケイオ)…ジョシュアの陽気なマネージャー。
- ドッジ(アブダル・サリス)…ピットクルーの頼れるベテラン。
- ジョディ(キャリー・クック)…成長過程のピットクルー若手メンバー。
- チップ(シェー・ウィガム)…ソニーが参加するデイトナ24時間レースのチームオーナー。
(以上Fassion Pressより抜粋)
IMAX推奨の本作。
映像も音もヤバそうだなぁ…。
ここから鑑賞後の感想です!!
感想
#映画F1 鑑賞!!
— モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) June 27, 2025
通常スクリーンで観ても全く問題ない最高のモータースポーツ映画。
なんてたって、マシンが、ブラピが、かっこいい。
時に映画は「かっこいい」だけで良いのだ。
やはりスター映画はこの先も絶対必要。
きっとブラピも思ってる。
だから彼は言う。
「走った先で会おうぜ」と。 pic.twitter.com/jUbjPtAnSL
圧巻のカーレース映画。
パーツは優れているのになぜか速く走れないチームに、ソニーという最速エンジンが加わったことで、歯車が少しずつハマっていく。
F1というスポーツが「チームスポーツ」だと初めて知った。
以下、ネタバレします。
ざっくりあらすじ。
かつてセナやプロストと肩を並べたものの、レース中の事故によりF1の世界から姿を消した「最速の男」ソニー・ヘイズは、元同僚のルーベンから声をかけられ最弱のチームにセカンドドライバーとして参加。
女性初のテクニカルディレクター、不慣れなエンジニア、過去の栄光に拘るチーフエンジニア、そしてカッコばかりの若輩レーサー。
見かねたソニーは、自らレースを荒らしつつ、スタッフたちに意図を理解させ自信を持たせていく。
少しずつチームの軌道が修正されていく中、ソニーを敵対視してばかりのジョシュアは、彼の助言を無視してクラッシュをしてしまう。
ジョシュアが戻ってくるまでの間、彼のためにレースの順位を上げていくソニー。
幾度も衝突しながらも互いを理解しようと努める2人のレーサーだったが、ラスベガスGPの直前、認可されてないマシンだというタレコミによって、改良したマシンでレースに参加できないことが告げられる。
怒ったソニーはスタート開始から暴走し、クラッシュを起こしてしまう。
病院へ見舞いに来たルーベンは、ソニーが未だ当時の事故の傷が癒えてないこと、そしてレースに出れば「全身麻痺か死」が待っていると書かれた診断書を見て、ソニーを解雇してしまう。
退院後、役員会のピーターがソニーの前に現れ、ソニーの活躍でAPXを高く売れること、ソニーをレース監督に抜擢して新たなスタートを切ることを告げられる。
アブダビの最終GP。
ソニーは全員がいるピットに現れ、レース中に死んだとしてもルーベンに一切の責任はないと書かれた書面を渡し、ドライバーに復帰。
偽造書類を出した黒幕ピーターに中指を立てたメッセージを送ったソニーは、最終戦にして初めて「チーム」でうウィニングランを掴むために、痛みを隠しながらポールポジションに着く。
果たして、最弱のチームは初の栄冠を手にすることができるのか。
・・・というのがざっくりあらすじです。
これぞ映画体験。
今や「ハリウッドスター」目当てで客が集まらなくなった昨今のハリウッド映画。
あのトム・クルーズでさえ、シリーズの続編でないと人が来ない始末。
だからこそこの映画は、大きなスクリーンでブラッド・ピットを堪能してほしい「オリジナル映画」だと感じた1作でした。
まず何が良いって、景気が良い。
今回Appleが製作、ワーナーが配給という、映画スタジオだけでは予算が組めない現状に悲しい部分が感じられるものの、FIAが全面協力しただけあって実際にレース会場でレースを観戦してるようなド派手な演出が目白押し。
シルバーストーンから、ラスベガス、アブダビ、ちゃっかり鈴鹿サーキット場まで見れちゃうからファンでない自分も興奮。
会場に駆け付けた客の熱気や、これから死闘を繰り広げるレーサーたちのぎギラついた表情、そしてレース展開が「本気」で「リアル」だからたまったもんじゃない。
マシンに小型カメラをいくつも搭載していることもあって、ドライバーの表情はもちろん、車外の様子を切り替えながら見せる様子。
そこにケイト始めスタッフのやりとりや指示を待ちながら爆走するジョシュアの姿、別のブースでレースの様子を拝むルーベンの姿などが、入れ替わり立ち代わり映ることで、一気に「同じ空間にいる」錯覚に陥り、映画の虜になっていくではありませんか。
もっとも圧巻だったのは、タイヤやパーツを交換するためにピットインするシーン。
最初のレースでは、緊張してうまくいかないエンジニアたちのために、ソニーが敢えて何度もタイヤをパンクさせて「準備しとけ」と告げるんですね。
そうすることで、いつしかエンジニアたちは「準備できてる」余裕が生まれ、最初こそもたついたタイヤ交換が、3度目には3秒以内で交換できてしまうまでになる。
これを高速のカット割りで見せていくことで、交換の早さがどれだけ凄いかが瞬間的に理解できるというもの。
このシーンは思わず「すご!」とうなってしまいました。
他にも、雨の中の走行や大クラッシュでのシーンは圧巻でしたし、ソニーが口ではなくプレイで示すことで周囲に「どんなに姑息な手を使ってでも俺たちは勝つぞ」という意志が伝わり、少しずつチームが一つになっていく展開は胸アツです。
会場ごとに違うレース展開になっているから見逃せない部分も多いし、その会場で打ちあがる花火の量と来たら半端ない。
そもそもジェリー・ブラッカイマー製作の映画はド派手な特効が持ち味ってイメージですが、今回彼の拘りはそうした花火の量まであったんじゃないかというほど景気が良い。
一体いくらかけたらこんなすごい映画が取れるんだと感心しっぱなしの150分でした。
ブラピを見るだけで最高なスター映画。
今回ソニー演じるブラピは、劇中では異端児、いや問題児といってもいいようなキャラ。
APXにやってきた当時は、感覚以前にマシンの使いこなし方や、マシンの性能に難アリな部分もあって本領発揮できない姿が見られましたが、実力自体は老齢でも速く走れることは伝わってました。
しかし、速さだけではこのチームは勝てないと考えたソニーは、勝つための手段を変えてくわけです。
上でも書いた通り、まずはエンジニアたちに自信をもたせること。
敢えて下位を走り、幾度もパンクさせてピットインし、エンジニアたちを慣れさせる。
次にケイトに「速いマシン」を作るよう説得させる。
完走を条件に、コーナーでも速い速度で走れるようサイドフロントを改良させ、しかもそのパーツを使って、接触する相手のマシンを壊し、レース展開を有利にさせていくという、故意にやったら即失格レベルの走りを見せていく。
ジョシュアに勝たせるために場を荒らした走りをするも、結局ジョシュアの独断が原因で彼は手にやけどを負ってしまうクラッシュを起こしてしまいますが、ジョシュアがいない間はソニーが本気の走りを見せて順位を上げていきます。
今回のブラピ、とにかく周囲には「自信満々」で「飄々」とした態度を見せるんだけど、一人になると過去の痛みやルーティーン、そしてレース後の疲労度などから、如何にレースにカラダに鞭打って命を懸けてるかが伝わる姿でした。
俺に任せれば大丈夫とポーカーフェイスをかますブラピに、誰もが「かっこいい」と思うはずで、惜しげもなく披露する上半身の裸体ももうすぐ60歳になるとは思えないほどセクシーな体。
時にスターって、いつもみんなの前では徹底したファンサービスを行い、いくつものインタビューでウィットにとんだジョークを交えつつ真摯に答えるなど、我々に見せる姿って基本ポーカーフェイスなんですよ。
その裏でどれだけの努力や苦悩をしたかは、一切見せないわけです。
実際ブラピも離婚手続きで精神的に参ってるはずだし、アルコール中毒にもなってセラピーを受けたらしく、苦労は絶えないわけです。
そんなブラピが、ソニーというキャラクターを通じて、如何にスターはスターであるべきかを見せた映画だったんじゃないかと思ったんです。
だからこそ彼が場所を去る度に「走った先で会おうぜ」って意味がグッとくるんですよね。
彼の虜になった人たちは、彼ともう一度仕事したくなるわけです。
だからその高みに行くために奮闘して、もう一度会いに行くと。
それはこれからスターになりたい若手俳優や監督スタッフも同じなんじゃないかと。
抜群のプロポーションや表情、そして役を通じた生き様、それが映える規模のデカさなど、今回改めてハリウッドスターは、ハリウッドスター映画は消えてしまってはいけないと思いました。
そのためには配信プラットフォームが金を出すような現状ではなく、もっとオリジナル映画を当てに行く映画スタジオが気合いを入れて変えていかないといけないよなと。
最後に
物語的にはやや都合のいい展開がありましたし、チームスポーツ特有の「ひとつになっていく」展開にはもう一捻り欲しいなと思う箇所もありましたが、スター映画としては申し分ない面白さでした。
ブラピ以外にも、ルーベン役のハビエル・バルデムの相性も良かったですし、ケイト役のケリー・コンドンは素晴らしかったですね。
自分の掟を破ってワンナイトしたあと、バルコニーにいるソニーに恥ずかしそうに近寄る姿がめっちゃ可愛いったらありゃしない。
ソニーさ、お前そこくらいカッコつけねえで「よかったよ♡」くらい言ってやれや!!
・・・いや、俺もあれくらいスカした表情したいんだよ…ああいうときw
最終戦の展開は、ちょっと涙出そうになったな…。
あれだけうまくいってなかったチームが、たった9レースでここまで一つになっていくなんて普通ありえないし、ジョシュアが心入れ替えてワンフォアオール オールフォアワンな精神になっていくのも最高だし、ソニーが「空を飛ぶ」瞬間を目の当たりにするのも「フォードVSフェラーリ」であったような最高のスローモーションでしたし、やり方は置いといてF1って「チームスポーツ」なんだなと感じた一番の瞬間でしたから、泣きそうでしたよ。
どうでもいいけど、製作にブラピの「プランB」が入ってるから、どうしても「プランB」ってあんまし言えなかったんですかね?w
やたら「プランC」でしたからねw
実は今回通常スクリーンで見たんですが、IMAXかドルビーシネマでもう一度体感したいですね。
全然通常でも問題な没入感でしたから、これから見る人は好きなフォーマットで見てほしいですね。
配信じゃなくて映画館でお願いしますw
あ、どうやらアブダビのレース後にクリス・ヘムズワースが映ってるらしいよ。
確かにそれっぽい人は一瞬映ってたんよ。
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆☆☆☆★★★7/10