オペレーション・フォーチュン
「この監督にこの俳優あり」、または「この俳優にこの監督あり」と、監督×俳優が何度もコンビを組んで製作する映画は多数存在します。
スコセッシとデニーロ、スコセッシとディカプリオ、ティムバートンにジョニーデップ、黒澤明に三船敏郎がそれらの例にあたりますが、彼らを忘れちゃいないだろうか！！
そう、ガイ・リッチーとジェイソン・ステイサムだ！
正直例に挙げた人らと比べると見劣りしてるといわれても仕方ないですが、彼らは売れる前からずっと一緒に映画をやってきてるってのがいいじゃないですか！
そもそもステイサムのデビュー作は、リッチー監督の「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」ですから！
そこから「スナッチ」で主役に抜擢し、立て続けに「リボルバー」で主演、17年ぶりに再びタッグを組んだ「キャッシュトラック」と、既に4度もコンビを組んでるわけです。
そして今回5度目のタッグを組んだのがこの「オペレーション・フォーチュン」なわけですよ～むっちゃ楽しみですね～！
前作は復讐劇でしたが、今回はゴリゴリのスパイアクション映画。
リッチー的には「コードネームＵ.N.C.L.E.」以来のスパイ映画になりますが、向こうが007寄りなら、こっちはM:iシリーズ寄りなイメージ。
早速観賞してまいりました！
作品情報
ガイ・リッチー監督ジェイソン・ステイサム主演の「キャッシュトラック」が、「リボルバー」以来のタッグを組んだことが話題となったが、久々の再会に熱を上げたのか、はたまたイギリス特有のノリなのか、またまたタッグを組んでの映画を製作。
凄腕で型破りな敏腕スパイエージェントが、個性豊かな仲間を引き連れ、世界を股にかけながらヤバいブツを回収するミッションに挑む、超痛快アクションエンタテインメント。
卓越した編集とカメラワークによって、キレのあるテンポとアクションを見せるリッチー監督。
これまでロンドンに住む労働者階級のむさくるしい男たちや、犯罪組織に属する者たちなどを中心に、ハチャメチャながらも味のあるブリティッシュ・クライムエンタテインメントを作り続けてきた監督。
「コードネームU.N.C.L.E.」以来のスパイ映画に着手した監督は、まるでミッション・インポッシブルや、同志であるマシュー・ボーン監督の「キングスマン」のようなスパイチームものに挑む。
そして50代半ばにして全く衰えを知らないステイサムを、ユーモアセンスたっぷりのセリフを交えながら描くことで、常に余裕のある最強の男へと仕立て上げていく。
共演には、「チャイルド・プレイ」のオーブリー・プラザ、「ミッション・インポシブル/デッド・レコニングPART ONE」のケイリー・エルウィス、「ダンジョンズ＆ドラゴンズ」、「ジェントルメン」のヒュー・グラント、「ブラック・ホークダウン」、「オッペンハイマー」のジョシュ・ハートネットなどが出演。
イケオジ俳優たちが、クセツヨな芝居合戦を繰り広げていく。
最高機密を巡る諜報戦。
スパイ映画史上最強の男に期待しよう。
あらすじ
英国諜報局MI6御用達の敏腕エージェント、オーソン・フォーチュン（ジェイソン・ステイサム）に下された新たなミッション。
それは100億ドルで闇取引されるとてつもなくヤバいブツ＝"ハンドル"を追跡・回収すること。
フォーチュンはMI6のコーディネーター・ネイサン（ケイリー・エルウィス）や、クセ強の天才ハッカー・サラ（オーブリー・プラザ）、新米スナイパーのJJという即席チームを率いて行動を開始する。
能天気ハリウッドスターのダニー（ジョシュ・ハートネット）を無理矢理任務に巻き込み、武器商人グレッグ（ヒュー・グラント）に大胆不敵に接近。
次第に明らかになっていく巨大な陰謀を、フォーチュンたちは阻止できるのか？そして、"ハンドル"の正体とは！？
感想
キノフィルムズより試写会に招待いただき観賞。
— モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) September 5, 2023
MI6御用達の最強スパイ演じるステイサムが、華麗なアクションだけでなくベシャリでも魅了！
ハリウッドスター演じるジョシュハートネットもハマってた！#オペレーション・フォーチュン
#オペレーション・フォーチュン感想 pic.twitter.com/BjWjhN5fnD
「ジェントルメン」以降どうもしっくりこないガイリッチー。
今回も可もなく不可もないレベルで、感想をどう言語化すればいいのか…。
以下、ネタバレします。
クセが強いなお前たち･･･｡
最強スパイをリーダーに即席のチームでヤバいブツを強奪するべくミッションに挑む者たちの物語。
観賞後真っ先に思い浮かんだ言葉は「う～ん困ったな」であります。
スパイミッションモノとしてはよくある見た目の映画で、これならミッションインポッシブルの方がまだめちゃめちゃすげえアクションやってるけども、1対1のバトルに関しては圧倒的にステイサムに分がある。
かといってスタイリッシュな面があるかと言えばクレイグボンドの時の007の方に分があるし、ベシャリの特化したセリフばかりがあったかと言われると、終始下ネタとオチのねえやり取りばかりが目立つ。
結果的に可もなく不可もなしといった感想が一番しっくりくる話でした。
とはいえキャラはどいつもこいつもクセのあるキャラだったのでその辺はしっかり褒めていきたいと思います。
まずはステイサム演じるオーソン。
基本的に彼がスパイをやるのだから最強なのは当たり前。
現場で敵をギッタンバッタンしていく様は圧巻なわけで、難易度の高いミッションだとしても、とりあえず彼がいればなんとか内瘻なくらい頼もしい戦いぶりを見せてくれました。
しかし彼がミッションをするにあたり、雇う側のMI6は頭を抱えるわけです。
どうやら彼は閉所恐怖症で、普通の飛行機での移動ができず、必ず移動はプライベートジェットでないといけない。
これに加え、仕事をする前の安定剤と称して「高級ワイン」を用意しなくてはいけない。
彼を雇うとMI6の年間予算が全部飛ぶくらいかかるということで、ネイサンの上司であるナイトン（エディ・マーサン）は、ネイサンからオーソンを打診されるや否や激昂するではありませんか。
ただ今回のミッション、ウクライナで盗まれた「ハンドル」という一体何の中身かわからんブツを奪取しなくちゃいけないという非常に難易度の高いお仕事なわけです。
仕方なく要求をのんで、バカンス中のオーソンを強引に仕事させるのであります。
今回いつものチームが組めずご立腹だったオーソンでしたが、オーソンに負けじと喋りまくるけど仕事の早いサラ、全てにおいて仕事ができるが、どうも特化したモノがない、オーソンに従順な部下ＪＪ、そして「急がば回れ」とばかりにカギを握る人物が大好きなハリウッドスター、ダニーに協力してもらい、皆それぞれ仕事をしっかりこなす毎に彼らを認めていく姿を見せております。
これまでのステイサムはどこか一匹狼で仕事をこなすイメージがありますが、今回はしっかり「チーム」を信頼して仕事を任せ本来の動きを披露する役割を見せております。
特に印象に残ったシーンは、PCのデータを盗むために豪邸に侵入するシーン。
カモフラージュとして金品や宝石も一緒に盗むというミッションをこなすんですが、主は奥さんと一緒になぜか「明日に向かって撃て！」を鑑賞してるんですね。
家中に睡眠ガスを流し込んで、皆を寝かせた状態で侵入するため、余裕綽々のオーソン。
ブッチが自転車に乗ってはしゃいでる時に流れる名曲「雨に濡れても」を口ずさみながら宝石を盗むオーソンに合わせ、指示するサラも一緒に口ずさむというノリノリの一味。
サラの指示通りに侵入するオーソンがここまでノリノリに仕事をしてるってことは、彼女の仕事を認めてる証拠でしょう。
しかし彼女から言われた「裏には警備員がいるから正面から出て」という指示が、どうやらオーソンに間違って伝わってしまったのか、警備員と鉢合わせてしまう。
無論オーソンは瞬殺で危険をかわして帰るわけですが、サラから「なんでプールがある方が正面なのよ、普通プールがない方が正面でしょ」とミスを指摘される始末。
それでも怒ることをせず黙って車に乗るオーソンがちょっぴり可愛らしくもあり、隙を見せる感じがまた信頼できるなぁと感じた瞬間でした。
JJも終盤まで目立ったシーンがなかったのですが、基本何でもできるやつなので、実はめちゃめちゃオーソンをサポートしてるという。
特にオーソンが敵のスパイに捕まった時も、しっかりオーソンの指示通り遠距離で射撃し命中させる腕を披露したり、ヘリに搭載されたミサイルが前から出るのか後ろから出るのかよくわからなかったオーソンに指摘できる姿も見せており、地味ながらなかなかの活躍を見せてくれる、いいチームでありました。
他のキャラもクセは強い。
サラはとにかく早口でまくしたてながらジョークを飛ばす女性なため、かつて一緒に仕事をしていた寡黙なハッカーと真逆な性格に、オーソンはたじたじになるほど。
しかし美しい美貌でターゲットであるグレッグをコロッと騙したり、的確な指示と素早いハッキング能力でチームをサポートする姿が印象的。
特に印象的だったのは、リッチーは彼女をセクシーに見せたいのか、やたらマイク越しに指示するサラの口元ばかりを映すんですよねｗ
しかも敢えて照明を赤くしてｗ
雨に濡れてもを歌ってる時も、オーソンが歌う姿と交互に映像挟んでくるしｗ
とまぁオーソン並みに活躍する彼女ですが、他にもハリウッドスターであるダニーが面白い。
ターゲットである武器商人グレッグが大ファンであるというダニーを使って近づくという作戦を実行するため、ダニーが義妹と不倫しているというネタでゆすり、半ば強引に協力させるのであります。
もちろんスパイ活動など演技でしかしたことのないダニーは、めちゃめちゃ不安。
グレッグとの初対面でも緊張の色を隠せなかったダニーですが、「自分自身を演じる事」に興奮し途中からノリノリにｗ
その後も自分が撮影で使用したムスタングを、大ファンであるグレッグが購入しており、それをプレゼントされご満悦。
しかも脱出する際にはこれを自ら運転し、ハリウッド映画さながらのドライブテクニックを披露。
追手を銃で狙うために見事なドリフトターンでアシストする荒技も見せ、しっかりチームとして機能したキャラクターでした。
また今回の敵である武器商人グレッグも一癖ある男。
ダニーの大ファンでありながら、セレブの恋人を狙うというギラギラした奴で、表向きは孤児院に寄付する偽善ヅラした野郎。
コイツが獲物であるハンドルを誰に仲介して売るのかを探るために近づくんですが、別荘に招待するや否や、ダニーよりもさらに目がないといった様子。
ステーキを上手に焼く作法をはじめどうでもいい自慢をしまくりる姿はもういけすかないｗ
まぁこんな奴を騙してブツを手に入れ様とするんだけど、物語は複雑な展開へとさしかかり、このグレッグを使わざるを得ない状況になるという、普段のスパイ映画で画は見られない展開へと向かっていきます。
このようなメンツがとにかく喋りながらブツをの奪い合いへと向かう物語なのであります。
キレがないリッチーはリッチーじゃない。
監督の前作「キャッシュトラック」は、とにかく話のテンポが悪く、かつてのリッチーの軽妙なリズムが失われていて個人的には低い満足度だったんですが、今回はかつてのリズムに近いシーンがいくつかあったため、まだ前作より救いようがありました。
しかし全体的にややこしいキャラ構図になっていたし、次の行動の前に小さなミッションが挟まれてたり、ヤバいブツがマクガフィンになっていないことや、結局中身が何なのか、それがどれだけヤバいのかという種明かしがあまり衝撃的ではなく、重要な所で肩透かしを食らった印象が強かったです。
何が一番ややこしいって、オーソンのライバルとされるマイクという別のスパイが、オーソンと同じ「ヤバいブツ」を追いかけていて、ちょいちょい邪魔にしやってくるというもの。
このマイクが一体誰に雇われてるのかってのは最後に明かされるわけですが、立ち位置としては良いのだけど、やり方がオーソンと違って強引なやり口なため、物語的に「邪魔」に見えがちなんですよね。
オーソンと同じように、グレッグを騙したり欺いたりするようなキャラにすれば騙し合いバトルみたいにできたのだけど、結局はオーソンの邪魔をして出し抜くやり方のため、オーソン一味VSグレッグの心理戦をかき乱す存在でしなく。
これがホントややこしかったですね。
あとはもう「今どういう状態？」な展開が多い。
先ほど上でも書いた「明日に向かって撃て！」の件では、宝石泥棒に見せかけたデータ泥棒をしたわけですけど、あれ結局何のデータ？と戸惑いました。
それこそ冒頭の爺ちゃんからカバン奪うのも正直よくわからん…。
それもこれも無駄なおしゃべりややり取りが多いから本筋見失うんじゃ！
まぁそういう無駄が多いのがガイリッチーの良さでもあるんですけど、今回はそういう本筋見失うパターンが多かったですね～ｗ
あとはもう、ヤバいブツが何なのかってことですよね。
これも途中で書いたように、このヤバいブツが何なのか謎なのです。
もろにミッションインポッシブルデッドレコニングと同じパターンなんですが、それに誰もが疑問に思うことなく追いかけるという。
このブツを回収しないととんでもないことになるというミッションに対する緊迫感が無く、またグレッグを騙して奪う所作に関しても、一応醸し出すための演出はしているモノの、グレッグが見事に騙されてる事や、阻止するキャラがこの後登場するってこともあり、イマイチ盛り上がりに欠ける。
さらにこのヤバいブツが金融を狂わせるためのAIで、結局そういうヤツかというここ最近のトレンド止まりなのがどうもしっくりこないわけで。
俺的には「は？そんなもの追いかけてたのかよｗ」くらいのオチを期待してたのですが、さすがにクソまじめなブツでトーンダウン。
ただこの映画の終盤の見せ場はそのブツで支払われる手数料をグレッグがどう奪うのかってのが一番の見せ場だったので、あそこは良かったですね。
それをエンディングでダニーが映画でやるっていうのがいいオチではありました。
最後に
JJが迷彩服に着替えるという戦闘態勢の際に、ガイリッチーがよくやる超編集ダイジェストがあったので、俺が見たいのはこれ！と興奮したんですが、他はどうも真面目な時のガイリッチーだったなと。
一応ユーモア調なセリフは多々あったんですが、個人的にはあまり笑える箇所はなく。
グレッグがターゲットであるところまでの尺は非常に早くてテンポが良かったんですけどね～どうもその後が余計なシーンの連発に思えて仕方なかったです。
やはりサメと戦った後にこういう現代のスパイ映画をやるステイサムは、もちろん凄いアクションをするし、スタイリッシュでカッコイイわけですけど、インパクトに欠けるというか。
ただ今回爆破シーンがかなり多くて金かかってんなぁ！とは思いました。
トンネルから出てくる追手の車をヘリのランチャーで爆破したり、グレッグが欠けた保険で衛星ぶっ壊したり、それこそマイクが銃撃戦仕掛けてくるシーンもなかなかの爆破で、ガイリッチー作品では珍しいパターンのド派手な演出だったように思えます。
そうだ思い出した、俺が見たいガイリッチーは「シャーロック・ホームズ３」なんだよ！早くやってよダウニーJr.！！
やっぱりガイリッチーも歳をとったのでしょう。
かつて求めていた「カッコよさ」が感じられない今、彼にとって別の新たな「カッコよさ」が出たってことなんでしょう。
そういうことにしておこうｗ
というわけで以上！あざっしたっ！！
満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10
