モービウス
ソニーピクチャーズが手掛けるマーベル作品、その名も「ソニー・スパイダーマン・ユニバース」。
スパイダーマンを中心に、彼に関連するキャラを次々と映画化。
ゆくゆくはヴィランを集めたチーム「シニスター・シックス」を結成させ、スパイダーマンと対決させるといった構想があり、アメコミファンに大きな期待をもたらしています。
今回鑑賞する映画は、SSUの新たなるキャラクターの誕生譚。
医者でありながらも重病を抱える男が、一線を越える治療を施したこにより、吸血鬼になってしまうという恐ろしいキャラ。
かつてバットマンのライバルであるジョーカーを演じた経験もあるジャレット・レトが、肉体改造を施し再びアメコミキャラとして演じてくれます。
正直このモービウスというキャラを全然知らなくて、一体どんな物語になるか全く想像できませんw
ダークヒーローとなるのか、がっつり悪なのか。
おそらくヴェノムのようなキャラではないと思うんですが果たして。
早速鑑賞してまいりました!!
作品情報
スパイダーマンやヴェノムを手掛けるソニーピクチャーズが、スパイダーマンの敵を描いたコミック「モービウス・ザ・リヴィング・ヴァンパイア」を基に映画化。
天才医師でありながら血液系疾患を抱える主人公が、同じ病気を抱ええる親友を救うため、危険な治療に着手。
自らが実験体となり実験に成功するも、人間の良き血を吸う吸血鬼と化し世間を震撼させていく。
急速に知性を持ち始める地球外生命体に脅えながら、地球への期間を急ぐ宇宙クルーの姿を描いた「ライフ」で観た者を恐怖に陥れたダニエル・エスピノーサ監督が、血を欲するモンスターを獣のようなアクションで楽しませながらも、命を救うはずの男が命を奪う存在になってしまうことへの複雑な思いも丁寧に描く。
また主演には「スーサイド・スクワッド」でジョーカーを演じ、アメコミファンに多大な影響を与えたジャレット・レトを抜擢。
コミックオタクである監督のビジョンに応えるため、肉体改造をして臨んだ。
利他的な理想を持っていながらも、内面からあふれる飢えに苦しむ男・モービウス。
果たして彼は理性を保つことができるのか、それとも街の人たちの命を奪う悪へと堕ちてしまうのか。
あらすじ
天才医師マイケル・モービウス(ジャレッド・レト)。
彼は幼いころから血液の難病を患っていた。
同じ病に苦しみ、同じ病棟で兄弟のように育った親友のマイロ(マット・スミス)の為にも、一日も早く、治療法を見つけ出したいという強い思いからマイケルは実験的な治療を自らに施す。
それはコウモリの血清を投与するという危険すぎる治療法だった。
彼の身体は激変する――
全身から力がみなぎり隆起した筋肉で覆われ、超人的なスピードと飛行能力、さらには周囲の状況を瞬時に感知するレーダー能力を手にする。しかし、その代償として、抑えきれない“血への渇望”。
まるで血に飢えたコウモリのように。
自らをコントロールする為に人工血液を飲み、薄れゆく<人間>としての意識を保つマイケルの前に、生きる為にその血清を投与してほしいとマイロが現れる。
懇願するマイロを「危険すぎる、人間ではいられなくなる」と拒み続ける、マイケル。
しかし、NYの街では、次々と全身の血が抜かれた殺人事件が頻発する―(HPより抜粋)
監督
本作を手掛けるのは、ダニエル・エスピノーサ。
作品情報でも触れましたが、ジェイク・ギレンホールやライアン・レイノルズ、真田広之などが出演した「ライフ/Life」の監督さん。
監督は大のマーベルコミック好き。
12歳の時に左足に腫瘍ができてしまい入院した時に、マーベルコミックと出会ってからキャラが友達のような存在になったというほど夢中になったそう。
中でもモービウスは身近な存在だったそう。
そもそもマイケル・モービウスという男は、両親がおらず、孤児院や入院施設で育つという複雑な環境の中で勉学に励むものの、周りの人たちから疎まれる存在になってしまうそうで、それが難民だった監督に共感をもたらしたとのこと。
ここまで思い入れのあるキャラを自らの手で映画化できたことへの喜びは、きっととんでもなかったに違いありません。
そんな監督が一体どんな物語を作ったのか、非常に楽しみですね。
キャラクター紹介
- マイケル・モービウス(ジャレット・レト)・・・血液系疾患に苦しむノーベル賞も受賞した天才医師。蝙蝠の血清を利用し治療に成功するも徐々に彼の体に異変が起き始める。
- マイロ(マット・スミス)・・・モービウスと同じく血液系疾患に苦しんでいる彼の友人。
- マルティーヌ・バンクロフト(アドリア・アルホナ)・・・モービウスの同僚の医師。
- エミール・エコルズ(ジャレット・ハリス)・・・モービウスの助言者。
- サイモン・ストラウド(タイリース・ギブソン)・・・FBI捜査官。モービウスを追う。
- アルベルト・ロドリゲス(アル・マドリガル)・・・FBI捜査官。ストラウドと共にモービウスを追う。
(以上ウィキペディアより)
新たなダークヒーローの誕生譚。
ダークな雰囲気を感じさせますが、ヴェノムと違ってシリアスなのかどうなのか。
ここから鑑賞後の感想です!!
感想
#モービウス 観賞。
— モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) 2022年4月1日
多分強いんだろうけど、ビジュアルがそもそもダセエ。
コウモリだけに曲がダークナイト寄り。
マットスミスは良い。 pic.twitter.com/U9gV8lvb5D
欲に駆られるか、人として留まるか。
呪いがもたらした代償はマイケルの想像を超えたモノだった。
にしても編集が雑、エフェクトがショボい、話が陳腐。
以下、ネタバレします。
前半は良いと思う。
やや性格に難ありの天才医師が、法と倫理を越えた実験を自ら実践したことにより、悪魔と化してしまいながらも、血を欲しがる獣と人を救う義務に葛藤し、一線を越えた友と対峙していく姿を描いた本作は、超越した能力を波長や音波でエフェクトさせたアクションや、淡々と進行する編集でテンポよく描いたものの、今後の大プロジェクトのために作られた雑さが浮き彫りになっており、ごくありふれたプロットに留まっていたのが残念な作品でございました。
上映時間はおよそ100分。
「ヴェノム」もそうだったように、長尺でスパイダーマンのヴィランを主演にした映画にはあまり尺を使いたくないようなソニーピクチャーズの意図が読めるわけですが、にしてももう少し工夫できなかったものかと首をかしげたくなる出来でした。
ザックリ前半の流れを語ると、少年時代から体を患っていたマイケルと友人マイロは、いつ死んでもおかしくない病と闘いながらも仲睦まじく過ごしていた時期が描かれていく。
外に出れば健常者という「敵」がうじゃうじゃいることから、スパルタの戦いを引用し、病人である弱者が健常者である強者に挑んでも無理だと語る。
マイロの血液を循環する機械が故障したせいで、マイロは瀕死の状態になるが、ボールペンのばねだけで機械を直したマイケルは、先生の指示の下、学校に通いながら病気と向き合うために施設を離れる。
やがて若干19歳で博士となり、血液研究のパイオニアとして人工血液を発明。
多くの人を救う医者となる。
しかし自身とマイロが抱える病を救う手立ては一向に見つからず、とうとうコウモリと人間のDNAを掛け合わせた血液を作ることに。
何度も臨床実験を重ねた結果、法に触れない場所であるパナマの国際水域の海上で自ら実験体となり実験を開始。
同僚のバンクロフト博士に手伝ってもらいながら進めていくと、マイケルの身体に異変が。
長く伸びた爪と伸びた牙、まるで獲物を狙う捕食動物のような表情をしたマイケルは、天井にぶら下がったり、船を守る傭兵たちを力づくで倒し体内の血液を飲み干してしまう。
意識を取り戻したマイケルは、船の保護を無線で連絡、気絶したバンクロフト博士と死んだ傭兵たちを残し、単身海に身を放り投げ逃亡。
FBIのストラウドらによって事件となった船上での惨劇は、やがてデイリー・ビューグル紙でも取り上げられるほどの大事に。
病院でまずいゼリーを食べながら尋問を受けるバンクロフト博士は、マイケルの身を案じながら船で見た出来事を伏せていた。
一方マイケルは自身のラボに戻り、自分の身に何が起こったのかをテレコに録音しながら実験。
人間の血が欲しいために常に体が乾いてる状態のマイケルは、人工血液で約6時間正常状態になれることを体感。
さらにはコウモリのような俊敏性と戦闘力、音波によって周囲の音や鼓動、言葉を聞きつける能力があることを自覚する。
マイケルの友人マイロは、マイケルが取り掛かっている実験がもうわずかで完成することを既知。
傭兵や船の用意をしたのも彼だった。
マイケルに中々連絡が取れないマイロは、彼のいるラボを訪れ、意識を失う寸前のマイケルを救助。
あまりの回復ぶりに驚くマイロは、血清を自分にも打ってもらうよう懇願したが、マイケルは「これは呪いであり、決して打ってはいけない」と頑なに拒否。
子供のころから外ではしゃいでる人間に憧れ、1時間だけ健康体になれたら何をしたいかマイケルに聞くほど元気な体を求めていたマイロは、これまで散々苦しい思いをしておきながら自分だけ健康体になっているマイケルに腹が立ち激昂してしまう。
しかしマイケルはコウモリ人間の形相で脅えさせ、立ち去るよう命じたのだった。
自分が発明した人工血液によって、何とか正気を保てていたマイケルだったが、なぜか血のない死体が発見される事件が再び勃発。
FBIらによって容疑者にされたマイケルは、濡れ衣を着せられないよう逃亡を図るが逮捕されてしまう。
そして刑務所を訪ねたある人物の忘れ物によって、マイケルは真犯人を止めるべく動き出すのだった。
…というのが前半のあらすじです。
誕生譚なので幼少期の事や周囲の関係性、一線を越える実験のエピソードをじっくり描くのかなぁと思ったら、結構サクサク進んでいくので、前半はとてもテンポがよろしいんですよ。
マイロとは同じ病を抱えていただけあって25年経って大人になっても、マイケルがどんどん偉業を達成しても関係性は崩れなかったわけです。
きっとマイケルなら血清を発明してくれるという希望をもっていたこともあり、マイロにとってマイケルは頼もしい存在だったのでしょう。
マイケルもまた自信と親友を救うために、日々無理をしながら研究を重ねていたことを考えるとマイロの存在は支えになっていたのでしょう。
そしてそんなマイケルを同僚として支えるバンクロフト博士との関係性もしっかり描写されてます。
ノーベル賞の授賞式「実験の副作用でできた人工血液に表彰されても嬉しくない」と啖呵を切ったマイケルに、有力者から寄付をもらうことが仕事の一つでもあるんだと説教をするんですね。
研究費もバカになりませんから、一人でも多くの命を救うためには出資してくれる存在は不可欠。
だからもうちょっとお行儀良くしてくれないとと詰め寄るバンクロフト博士は、今後恋に発展していくのか否かとにおわせたような雰囲気がありましたね。
後半から面白みが失速していく
モービウスとなったマイケルは、とにかく血を欲しがる欲求を制止しながら、どうすれば自分は人を襲わずに生存できるかや、自分に課してしまった呪いを解くかに尽力。
新たな血清を作るために、FBIに追われながらも隠れ家で研究をしていくのであります。
しかし予備で持っていた血清をマイロが盗み、事件が多発。
ようやく健康体になれた悦びと、強者になって気持ちを大きくしてしまったマイロの暴走を止めるために、マイケルは彼の力を消す研究に励んでいくのであります。
予告編の段階では、一線を越えた研究によってモンスターと化してしまったマイケルが、人々を襲いながらも葛藤する物語なのだろうと予想していましたが、結局は同じ力を持つ存在の出現によって、ダークヒーローとしての使命を全うするという流れ。
ヴェノムは人間の体内に寄生したことで「人を食べない」という枷をつけながら、
エリートのシンビオートと対決に挑む落ちこぼれコンビの物語って話で、割かし笑えるプロットになってるのが個人的には楽しかったので、このパターンはヴェノムならありだなぁと思ってましたが、モービウスはそのコメディ要素がごっそり抜けてシリアス一辺倒にしてるんですよね~。
モービウス自体もコウモリ化してしまったことで、「人を襲わない」という枷をつけて生存を試みるキャラですからヴェノムと設定はほぼ一緒ですし、同じ力を持つ存在の出現によって、人々を守るための戦いに挑むという流れもほぼ一緒です。
しかもマイロによって殺されてしまったバンクロフト博士の一言によって彼女の血=レッドを吸ってマイケルは力をつけたのは良いですが、戦いの後博士が目覚めるシーンがりました。
いやいや待て待て、その前に恩師もマイロに殺されたじゃないですか。
その時にレッドを吸っておけばよかったし、何ならマイケルやマイロが血を吸った死体は全員蘇る設定じゃないと変ですよね。
で、これもヴェノム2の最後でも似たようなシーン在りましたよね。
エディが頼りにしてた刑事さんもシンビオートが体内に寄生したことで、目が黒くなるっていうシーン、ありましたよね。
ここまで大まかな流れが似てしまってると、もはや芸がありません。
もっと差別化したプロットにしてもらわないと満足できませんて。
さらに言えば、マイケルやマイロが音波で人の声を聴いたり、それこそアクションシーンになると体内から煙のようなオーラが放たれるんです。
恐らく力の発動を可視化させたエフェクトだと思うんですけど、当初はキャラの俊敏性を活かしたカッコイイCGだと思ったんですけど、あまりの多さと画面全体が「揺れ」ばかりで一体何をしてるのかよく見えない構図になってる気がしたんですよね。
なんだろ、纏ったオーラを可視化するのではなく、もっと違った表現方法もあったのではないかと。
それこそコウモリなんですから。
あとこれ「X-MEN」でナイトクローラーが力を発動した際のエフェクトと同じですよね。
もしかしたらコミックを忠実に描きたかったのかもしれないけど、既視感は拭えませんので、今後のアメコミ映画のためにもこのパターンはよした方がいいかなぁと。
あとはしきりにスローモーションを多用してたのは気になりましたね。
マイケルもマイロもアクションする際、人間の目では負えないスピードでバトルするわけで、ここぞという胎児のシーンはスローになるんですよ。
地下鉄で戦う際も、下りのエスカレーターで追いかけて捕まえた際にスローになるんですけど、オーラ出すぎてて何してるかよくわかんなかったんで、スローにしてもなぁと。
あとビル群の上を駆け回って走るシーン在りましたけど、コウモリなんだから普通に飛行しても良かった気はするなぁ。
映像に関して色々愚痴をこぼしましたが、やはり物語ももっと工夫してほしかったなぁと。
確かに欲求を抑えて人間として過ごすことに重きを置くマイケルと違い、ようやく手に入れた健康体で日常を思う存分楽しみたい、そのためには周囲の人間なんてどうなってもいいと考えるマイロとの対比は、ヒーロー映画にはありがちではあるものの正義と悪の描き方としては悪くないです。
しかし結局マイロは、マイケルをこちら側へ来させたかったことに力を注いでるんですよね。
だから彼の周りの人間を犠牲にする必要があったんですけど、マイケルって人を救う医者なんでね、マイロにはもっと街の人たちを襲ってほしかったなぁと。
じゃないと、マイケルが葛藤して救われるって結果にならんのですよ。
それにしたらますますヴェノムと一緒になっちゃうんだけど、そっちの方がドラマとしてはいいでしょ。
内輪だけの話でダークヒーローって言われてもしっくりこねえというか。
最後に
予告編でチラッと映ってたのでネタバレにはならないと思いますが、エンディングで「スパイダーマン/ホームカミング」でピーターの恋人の父だったヴァルチャーことエイドリアン・トゥームスが登場。
「スパイダーマン/ノー・ウェイ・ホーム」で起きてしまった時空の歪みによって、彼もまたモービウスのいる世界へとやってきたわけです。
2つ目のエンドクレジットでは、モービウスと接触してスパイダーマンを倒すべく手を結んで終わるんです。
ちょっと待て、モービウスって今回だけの物語で言うならば、がっつり敵というキャラではないだろうに、なぜこうもあっさりとヴァルチャーと手を結ぶのさ。
スパイダーマンの存在も知らんだろうし、ヴァルチャーの悪だくみも知らんだろうし、自身もコウモリ化してしまったことを悔いてる人間のはずなんですけど、何故そっち側に行くかね?
何ならモービウスとして悪に墜ちるシーンが一つでもあれば理解できるんだけど、あまりにも強引すぎやしませんかね。
シニスター・シックスを結成したいSSUのムチャなつなげ方だったとしか思えません。
このシーンが無ければモービウス単体として及第点かなと思いましたが、これが挿入されたことでダメさに拍車を掛けちゃいましたね。
マイロ演じるマット・スミスの狂気ぶりは見事でしたね。
「ラストナイト・イン・ソーホー」でも怖そうな兄ちゃんやってたのが印象的でしたけど、こういうキャラ演じたら最高ですね。
もちろんジャレット・レトもあれだけの肉体改造はすごいなと思いましたけど、マット・スミスに持っていかれた感はあるかなぁ。
次回作はあるのかどうか。
MCUと共に目が離せないSSU。
ちゃんと追うからしっかりやってくれw
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆★★★★★★4/10