モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「ウィッシュ」感想ネタバレあり解説 終始小っ恥ずかしい王道ミュージカル。

 ウィッシュ

創立100周年を迎えるディズニーは、北米を中心に世界的な興行不振が目立っています。

口コミでヒットしたとはいえ、スマッシュヒットに至らなかった「マイ・エレメント」はもちろん、MCU作品も思うようなヒットを叩いていません。

 

その最たる理由はディズニープラスを筆頭に「質より量」にシフトしたラインナップによる、お客さんたちの「飽き」だという指摘がされています。

 

今回観賞する「ウィッシュ」も、先だって公開された北米興行収入は思うような成績を上げられていない状況。

日本でも「ラーヤと龍の王国」、「ミラベルと魔法だらけの家」など、公開45日後に配信されることなどから、「アナと雪の女王」のような社会現象を起こす状況にはならず、客離れが深刻化してします。

 

もちろん数字と評価はイコールにはなりませんが、あのディズニーが、なんですよね。

果たして起死回生の一発を本作で叩き出すことができるのか。

早速鑑賞してまいりました!!

 

 

作品情報

創立100周年を迎えたディズニーの記念すべき作品を、『アナと雪の女王』のスタッフによって製作、ディズニー100年の歴史の集大成となる新たなドラマティック・ミュージカルが誕生した。

 

どんな“願い”も叶うと言われている “ロサス王国”を舞台に、主人公の少女と「願い星」、そして相棒のヤギと共に、願いを操作して支配する王から、みんなの願いを取り戻す冒険譚。

 

ウエスト・サイド・ストーリー』で第94回アカデミー賞助演女優賞を受賞したアリアナ・デボーズが、ヒロインの声を担当。

他にも民の願いを操作し国を支配する王の声を、「ダンジョンズ&ドラゴンズ」で現代的なリーダーを好演したクリス・パインが、ヒロインの相棒となる子ヤギの声を、「シュガー・ラッシュ」のヴィランでアニー賞を受賞して以降、ディズニーアニメ御用達声優となったアラン・テュディックなどが担当した。

 

日本語吹き替え声優陣も、主人公の声を元乃木坂46のメンバーで現在ミュージカルでも活躍する生田絵梨花が担当し、ヴィランとなる王の声を福山雅治が担当するなど豪華布陣となっている。

 

また、60回グラミー賞主要2部門にノミネートし、ジャスティン・ビーバーエド・シーランら有名アーティストへの楽曲提供をするなど、世界的ヒット・ソング・ライター兼アーティストとして活躍しているジュリア・マイケルズが、音楽を担当。

かわいらしさと力強さが秘められた主題歌は、「アナと雪の女王」並みに口ずさみやすいメロディーとなっており、興行面との相乗効果も期待される。

 

長きにわたりディズニー作品が描き続けてきた“願いの力”を真正面からテーマとして描く、100年の歴史の集大成。

果たしてその中身とは。

 

 

 

 

あらすじ

 

どんな願いも叶うと言われているロサス王国。

魔法を操る王(CV:クリス・パイン/福山雅治)は国民から慕われているが、城で働く17歳のアーシャ(CV:アリアナ・デボーズ/生田絵梨花)はある秘密を知る。

 

それは、国民が王を信じ捧げた願いのほとんどは叶えられることがないということ。

王を信じた人々の願いを救いたいと思ったアーシャが夜空の星に祈ると、空から魔法の力を持った願い星のスターが舞い降りる。

 

魔法によって話すことができるようになった子ヤギのバレンティノ(CV:アラン・テュディック/山寺宏一)やスターと共に、アーシャは悪に立ち向かう。(Movie Walkerより抜粋)

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キャラクター紹介

  • アーシャ(CV:アリアナ・デボーズ/生田絵梨花)

    無数の“願い星”が輝くロサス王国のお城で働く。アーシャは、相棒の子ヤギ・バレンティノとともに暮らす。リーダー気質で明るい性格。ロサス王国を治めるマグニフィコ王の弟子になったことから、王が国民のすべての“願い”が叶うかどうかを決めており、すべての“願い”を支配しているという王国の秘密を知ってしまう。皆の願いを取り戻すため、アーシャはディズニーの歴史で最も恐ろしい敵に立ち向かうことを決心する。

 

  • バレンティノ(CV:アラン・テュディック/山寺宏一)

    アーシャの相棒である生後3か月の子ヤギ。アーシャが”みんなの願い”を救うため”お願い”したところ、願い星“スター”が降臨。スターがバレンティノに輝く粉を振りまくと、言葉を話せるようになる。話す時の声は低音ボイスである。

 

  • マグニフィコ王(CV:クリス・パイン/福山雅治)

    ロサス王国を治める王。魔法を操ることができ、国民から愛されている偉大な王。しかし、国民が捧げた美しく輝く“願い”の玉を所有しており、実は閉じ込められたすべての“願い”を支配している。人々の心の原動力である”願い“の力を利用して、さらなる強大な魔力を手に入れようとするヴィラン。

 

  • ダリア...アーシャの大親友。メガネがトレードマーク。
  • ガーボ...現実主義で少し皮肉屋なところがあり気難しい顔をしがち。
  • ハル...明るい性格でいつもご機嫌なムードメーカー。
  • サフィ...しゃみに悩まされている。
  • ダリオ..頬が赤く大きな耳がトレードマーク。.つもとぼけた感じで、たまに、みんながびっくりするような行動をとる。

(以上、FassionPressより抜粋)

 

 

 

 

 

 

 

 

ここ最近興行の不振が続くディズニー。口コミ効果で興行成績のあがった「マイ・エレメント」のようにロングヒットとなるか。

ここから観賞後の感想です!!

 

感想

明らかに小さな子供向けの仕上がり。

願いは誰かに管理されるものでなく、自分の心の中に持っておくべき。

そんなメッセージを放ちながらも、どう考えてもこの国のシステムに異を唱える奴らがいなすぎて困った。

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

結構見てられないくらい恥ずかしかった。

願いを王が管理し、儀式の度に願いを叶えることで国の統率を図るロサス。

そんな中、主人公のアーシャは祖父の願いを叶えてもらうよう、国王にお願いをするも拒否られることで「え?なんかおかしくない?」と気づく。

 

民は俺に感謝しろ、なんて俺はかっこいいんだ、すべて国のためだ、など、徐々にメッキが剥がれていく王の振る舞い。

やがてアーシャは願い星と出会う。

願いは誰かに管理されるものではなく自分で管理する、そして自分で叶えるモノだと気づき、王が管理する民の願いを解放するため、仲間と共に立ち上がるのでした。

 

というのがざっくりしたあらすじ。

 

今回吹替え版での観賞となりましたが、これがまぁ辛かった。

冒頭から超早口で舞台の説明をしつつ、ひたすら俊敏な動きと感情の激しいアーシャを見せられることで、個人的にはすでに置き去りにされました。

主人公の声を生田絵梨花が担当しており、ミュージカル経験も豊富な彼女だけあって、技術的にも表現的にも非常に豊かな歌声を披露してはいるんだけど、肝心の「声優」としてのスキルなのか、ハイテンポな展開のためなのか、あまりのキャラの情緒の切り替えの多さにノレないんですよね。

 

それが彼女のせいだと決めつけるのはよくないんですが、とにかく演技してるのか素なのかの聞き分けのとれないお芝居をしていて、個人的には可もなく不可もなく好きでもなく嫌いでもないという、何の感情も生まれない演技でした。

 

主人公に入っていけない、もはや拒否反応すら出てくると、一体誰に気持ちなり視点を向ければいいのかと考えた時、やはりアーシャと対極に位置するマグニフィコ王演じる福山雅治に向けるのが妥当だろうと。

 

国王の弟子を選ぶ面接にやってきたアーシャは、晴れて国王と対面するわけですが、国王の第一声を聞いた途端「モロ福山じゃねえか」と。

ディズニーの吹替えキャスティングとしては個人的には結構いいとこついてきたなって感じで、ただでさえ何度もテイクを重ねて理想を追求することで知られるアテレコだって聞いていたので、数十年聴いて耳に沁みついたあの声を、どうやって国王っぽく作り上げてきたんだろうと胸躍らせて待ち望んでいたわけですが、結果「モロ福山じゃねえか」と。

 

鏡を前にして「俺ってカッコイイ」とか、「君はなぜ弟子になりたいのか」という些細な質問でさえ福山雅治が浮かんでくるわけで、そりゃもうミュージカルどころじゃねえし、映画どころじゃねえ。

普通に湯川学が浮かんでくるし、坂本龍馬が浮かんでくるし、なんなら若かりし頃の小ぃ兄ちゃんさえ浮かんでくる。

 

イキった顔でクソカッコつけた表情でギターをかき鳴らすかのように当て振りをする「VS~知的と快楽の螺旋」の顔が浮かぶし、もしかしたら「実に面白い」とか「あんちゃん!」とか「おまんにちっくと見てほしいもんがあるんじゃ」とか、あわよくば「小梅の気持ち考えたらな、そっとしておいてやるのが家族だろ!兄弟だろ!」とさえいうんじゃないか、いや待てよ、ラジオで言ってるような「仮性人ですから!」と下ネタさえぶち込んでるんじゃないのか?と、頭の中で虚構と虚構の間をグルグルかけめぐっていたわけであります。

 

 

そんなモロ福山の国王の声に翻弄されながら、物語はどんどん王道ミュージカルへとシフトしていく。

ロサスにやってきた観光客を案内しながら歌い上げるアーシャ、国王との面接でデュエットしだすアーシャと国王、祖父のためを思って「願いはかなわない」と告げたのに出てけと怒られて家を飛び出し主題歌「ウィッシュ」を歌い上げ我に返るアーシャ、あいつの思うとおりにさせてたまるかと反旗を翻すアーシャと仲間たちなどなど、一見普通のミュージカルな展開なのに、なぜか小っ恥ずかしくなる演出。

 

特に白雪姫の七人の小人を彷彿とさせるダリアたちとの決起集会的なミュージカルは、皆がどこか舞台劇で披露してるかのような視線なり方向を向いて歌ってるんですよね。

アウトロが終わった瞬間なんか、みんなスクリーンの中央に集合して拳を高らかに上げ、何としてでも国王の陰謀を阻止しなくてはならない、そんな使命感にかられたような引き締まった表情をしてるんですよ。

 

正直そこまでする必要あるんかなってっくらい、僕は引いてしまいました。

そもそも歌の導入はナチュラルなのに、歌い終わった後から普通の会話に戻る切り替え具合がナチュラルじゃないというか。

そんなミュージカルをたくさん見てきたのに、なんで俺こんなに恥ずかしい気持ちになってるんだろうと。

 

きっと歌の歌詞がストレートすぎるからだったりするんでしょうね。

おそらく字幕版は違った歌詞になってるんだろうし、なんせ英語で歌ってるから、違和感はないんだろうけど、こうして日本語で、それこそ「この願い 諦めることはない!」ってやっぱりストレート過ぎるんですよね言葉が。

英語と違ってこれ以上の解釈がないという受け止め方をし続けた結果、あまりのド直球な歌の数々に恥ずかしくなってしまったんだろうと。

 

願いを管理する国って…

色々自分の中で妄想が膨らんだり、受け止める姿勢が出来てないこともあって、なかなか面白さを感じられなかった本作。

 

舞台となるロサスという国は、どうやら18歳を向かえると、王に願いを差し出し願いを守ってもらう決まりがあるとのこと。

預けた者は、その願いを忘れ生活を送ることになるが、アーシャの仲間であるサイモンは、どこか浮かない様子。

というか、むしろ覇気がない。

 

そんな彼の姿を通じて思うのは、願いというモノは常に心の中に持って置かなければ豊かな生活は送れないのだろうということ。

それを解ったうえで、国王は「混乱を招かないため」と称して、人の願いを管理しているわけです。

 

一応暴動に襲われ家族を失った過去から、反乱や暴力が生まれないよう管理する必要があるという考えに行きついたのは、ある種仕方ないとも言える反面、みんなンお願いを守るってのはそうじゃねえだろうとも言えるわけで、本作を通じて思うのは、表向きは利他的な思考を見せておいて、中身はがっつり利己的なんだな、そんな奴を人の上に立たせちゃいけないなという考えですよね。

 

そんな国王の悪知恵に気付いたアーシャ。

諦められない願いがあることを思う存分歌い上げた途端、空からお星さまが振ってくるではありませんか。

ひたすらはしゃぎまわった結果、森の動物たちに言葉を与え、相棒のヤギのバレンティノにも言葉を与え、ひとんちの洗濯物にカラダ語とツッコんで、赤い毛糸で遊び倒すというディズニーだからこそ許せるいたずらを見せていく。

 

そんな願い星に乗せられたアーシャは、星から与えられた魔法の杖を武器に、禁じられた本の中に書かれた危険な杖を持って暴走する国を制止するために動き出すのであります。

 

結果的には、願い星からちゃんんとした杖を授かり、プリンセスとしてではなく魔女として、みんなの願いを叶えるという立場になるという物語だったわけです。

 

ディズニー100周年という記念すべき本作は、「星に願いを」という名曲を下地に、「誰もが願いを持っていい」、「それぞれの願いによって未来は作られていく」という大団円へと持っていく作品だったわけです。

 

結局のところ、夢や希望を搾取して私腹を肥やすような奴は、鏡の中に封印すべきだよねという、ファンタジーでありながら現実と地続きの物語設定だったように思います。

 

こうした政治的なメッセージを発信しながら、高らかにディズニー100周年と称して、白雪姫やピーターパン、星に願いをのピノキオなど、過去作を連想させるキャラ設定や小ネタを挟み、終いには、ディズニーのロゴを意識した「いつもみんなの願いを叶えるディズニーをこれからもよろしくお願いします」とさえ言ってるような締め方で、とにかくPR映画でしかない辺りがいけませんよね~とw

 

俺たちはPR映画をみたいわけじゃじゃないんよ、と。

 

 

最後に

100周年記念作品てことで、長年にわたって伝え続けてきた「願い」を題材にしたのは良いモノの、結果的に自社のPR的な締め方でがっかりさせた本作。

 

そこにモロ福山という吹替え版でしか味わえない苦痛に何とか耐えた僕でした。

ただそこは反対の賛成なのだ!ってことで、俺の人生において福山雅治という男の影響は計り知れないモノだった、こんなにも彼の姿を思い浮かべてしまうほど、俺の人生は彼でいっぱいだったのかを思い視された「マシャ愛」を改めて気づかされた作品だったのかもしれません。

 

でなければ、国王の振る舞いにもっと拒否反応を起こしても良かったはず。

なのに結局、ましゃ~!!ってなってるわけですからw

とりあえず、彼にはこれで味を占めてミュージカル作品に出演しようなんて浅はかな考えを起こしてほしくありません。

ただでさえ二足のわらじで成功してる数少ない存在なのに、三足目を履こうなんて欲深さを出してほしくない。

絶対失敗します。

 

とりあえずいろいろと食い合わせの悪い作品でした。

 

ディズニーはこれからどこへ向かうんでしょうね。

根っこの部分から改善しないと、映画興行も失敗しますよホント。

世間が何を求めていて、何を求められているか。

色々政治絡みが見え隠れする映画を作るのではなく、本来見せたかったであろう作品制作を望んでおります。

こんな僕の願い、いつか叶いますように。

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆★★★★★★4/10