マッドマックス:フュリオサ
「マッドマックス:怒りのデス・ロード」を見た時の衝撃は今でも鮮明に覚えています。
公開当時はまだブログもやっておらず、受けた感動を書き残していなかったものの、もし書いていたら、ただ「すごい…」と語彙力のない言葉しか出せなかったんじゃないか、それくらい衝撃的だった作品でした。
何より単純明快なプロット、主人公のセリフがほぼない、フュリオサがむちゃかっこいい、ウォーボーイズの熱気、そして圧倒的画力。
自分が求める映画ってこういうスペクタクルで胸を熱くさせる物語なんだよなと。
そんなマッドマックスのスピンオフが満を持して公開ということで、気分はもう「V8!!V8!!」ですw
…とはいうものの、前作を超える期待はしておらず。
なぜなら主人公がマックスではなくフュリオサだから。
前日譚というアイディアや前作で人気だったキャラを掘り起こすための作品としては興味津々だけど、個人的にはマックスの次の旅路をみたいんすわ…。
僕はマッドマックス2が一番のお気に入りなもので。
それでもV8魂の灯を持った身としては今年マスト案件ですから!!
むっちゃ楽しみですよ!!えええっ!!!
早速観賞してまいりました!!
作品情報
メル・ギブソン主演で製作され、関銃で熱狂的なファンを生んだジョージ・ミラー監督の「マッドマックス」シリーズ第5作。
アカデミー賞作品賞にノミネートされた前作「マッドマックス:怒りのデス・ロード」で、暴君イモータン・ジョーの強権から逃れ自由を手に入れるべく戦った女戦士フュリオサの若き日々を描く。
世界の崩壊から45年後を舞台に、故郷「緑の地」から連れ去られた少女フュリオサが、2人の暴君の覇権争いに巻き込まれながらも必死に抗う姿を、前作以上のスケールと充満した怒りが炸裂した、驚異の映画体験作品。
「2泊3日の旅だった」前作から、本作は「フュリオサの18年間を凝縮した内容」へと進化させたジョージ・ミラー監督。
よって上映時間は前作よりも長い約150分となっており、前作以上にノンストップカーアクションが描かれているなど、ドラマもアクションもパワーアップ。
そんな監督が若きフュリオサ役に白羽の矢を立てのがアニャ・テイラー=ジョイ。
オーディションに参加した報道もあったが、監督は彼女が出演した「ラストナイト・イン・ソーホー」を見てコンタクトを取ったそう。
大抜擢されたアニャは、「スプリット」、「ウィッチ」、「ザ・メニュー」、「スーパーマリオブラザーズ・ザ・ムービー」、そして「DUNE:砂の惑星Part2」と、出演する作品すべてで輝きを放ち大ブレイクを果たした。
それでも難役を挑み続ける彼女は、本作でフュリオサのトレードマークともいうべき「バズカット」をして挑み、前作でフュリオサを演じたシャーリーズ・セロンに匹敵する存在感を放った。
他にもMCUキャラのソーでおなじみクリス・ヘムズワースが、本作で憎きキャラを熱演。「Mank/マンク」、「生きる Living」のトム・パ-クや、「マトリックス」シリーズのラッキー・ヒュームが若き日のイモータン・ジョーを演じる。
デス・ロードにつながる「怒り」の原点。
これまでにない「狂気」が渦巻く世界で、孤高の戦士が復讐のエンジンを鳴らす!!
あらすじ
世界が崩壊して45年が経ったころ、バイカー軍団に連れ去られた若きフュリオサ(アニャ・テイラー=ジョイ)は、故郷や家族、人生のすべてを奪われてしまった。
人生を懸けて故郷への道を模索するフュリオサの前に、改造バイクで絶叫する暴君ディメンタス将軍(クリス・ヘムズワース)と鉄壁の要塞を牛耳るイモータン・ジョー(ラッキー・ヒューム)が立ちはだかる。(Movie Walkerより抜粋)
感想
#マッドマックス #フュリオサ 観賞。
— モンキー🐵@「モンキー的映画のススメ」の人 (@monkey1119) May 31, 2024
これを観れば「怒りのデス・ロード」が今すぐ観たくなるし、「怒りのデス・ロード」が如何に素晴らしいかがわかる。
しかし何だろう、認めたくないのに認めないと前作を貶してしまう気持ちになるのは…。 pic.twitter.com/OSIBzFOQv3
結局は「スピンオフ」に過ぎず。
そりゃ「デス・ロード」を超えちゃいかん。
だが今すぐにでも「怒りのデス・ロード」が見たくなる怒涛のアクション映画。
以下、ネタバレします。
ざっくりあらすじ。
本作は5つの章立てによって描かれ、如何にしてあの「フュリオサ」が生まれたのかを、怒りと悲しみを交えながら映し出していく。
第1章。
緑の地。バルキリー(怒りのデス・ロードで荒れた「緑の地」で再会した女性)と共に、果実を取ろうとするフュリオサだったが、すぐ近くで賊が馬を襲っている姿を発見。
彼ら以外に土地を知られては困るため、単独でバイクのオイルホースを切断するフュリオサ。
しかし彼らに見つかってしまい、連れ去られてしまう。
首にぶら下げていた笛で助けを呼ぶフュリオサ、その音に反応する母メリー・ジャバサは、同志と共に馬に乗って行方を追う。
この土地を誰にも語ってはいけない、その掟を守るため必死で追う母は、銃で何人も仕留め、彼らのアジトであるキャンプ地までたどり着く。
そこではバイカ―集団を束ねるディメンタスが、健康体であるフュリオサに興味を示し、彼女の故郷を皆で探し出そうと画策し始める。
母は単独で娘フュリオサを救出し逃走するが、娘だけ先に逃がし、自ら時間稼ぎをするために崖でバイカ―集団を待ち構えることに。
しかし圧倒的な数には勝てず、捕らえられはりつけにされてしまう。
母を見捨てられないフュリオサは急いで駆けつけ、結局ディメンタスに捕らえられてしまう。
ディメンタスはその場しのぎの快楽のため、人を狩っては仲間に入れるなど狂気に満ち溢れていた。
ある日、赤い色の発煙銃を発見した一行は、ウォーボーイズの一人と遭遇。
フュリオサの故郷探しに奔走していた一行だったが、水も食糧もガソリンもすべてそろっているシタデルに興味が向き、イモータン・ジョーの領地であるシタデルへと急ぐ。
簡単に制圧できると思っていたディメンタスだったが、イモータン・ジョーのためならすぐにでも命を捧げられるウォーボーイズ達に攻撃に四苦八苦。
なんとかその場を逃げ切ったディメンタスは、ジョーの第2の拠点である「ガスタウン」を発見したことで、再びジョーに近づく作戦を思いつく。
それは彼らの輸送トラックを襲い、奪って侵入するというもの。
手下をウォーボーイズに仕立て上げ、トラックに乗った彼らに攻撃をすることで、あたかも「トラックが襲われている光景」を作り、ゲートを開けさせるという算段。
作戦は成功しガスタウンを制圧。
見事にイモータン・ジョーと交渉できる立場を作り出す。
ガソリンを供給する代わりに物資をもらうという交渉は、ディメンタス優勢の状態で進み成立したように思えたが、ジョーは健康体であるフュリオサに目をつけ、自分の子を産むための妻要員としてもらうことをオプションで要求する。
こうしてフュリオサはディメンタスのの元を離れ、ワイブスたちの部屋で暮らすことになるが、ジョーの息子リクタスに目をつけられ夜な夜な襲われそうになる。
事前準備によって回避できたフュリオサは、ウォーボーイズらに紛れ成長を遂げていく。
大人になったフュリオサはクレーン係からメカニック担当へと出世。
ガスタウンへの輸送トラックに忍び込んで脱出を試みるが、ガスタウン制圧の犠牲となった部下への思いからディメンタスと袂を分かったリズデールらに襲われてしまう。
トラックの運転をしていた警備隊長ジャックにバレてしまったフュリオサだったが、共にリズデールによる襲撃を回避することに成功し、ジャックの元で「生き抜くための術」を学んでいく。
徐々にジョーの配下で逞しく成長したフュリオサは、ガスタウンへの輸送時にディメンタスから「ジョーとの会談」を要求される。
最たる理由は「物資の供給が少ないために部下たちを統率できない」ことから、物資の量を上げてもらうよう交渉したかったからだ。
ジョーにそのことを伝えると、ジョーはディメンタスの要求を飲んだふりをして始末することを画策する。
夜明けに第3の拠点である「弾薬畑」に向かい、銃弾を調達するよう指示されたジャックとフュリオサ。
ジャックはその道中でフュリオサを逃がすつもりで、V8に乗るよう指示する。
しかしたどり着くと、既に弾薬畑はディメンタスの手に落ちていたのだった。
フュリオサはジャックを助けるために攻撃を援護。
2人のコンビプレーによって弾薬畑を壊滅することに成功し、急いで逃走するが、ディエンタスらに捕まってしまう。
バイクで引きずり回されるジャックを目の当たりにしながら、けがを負った左腕でつるし上げられるフュリオサ。
遊びに飽きたディメンタスが車の後ろを見ると、フュリオサの左腕だけがぶら下がってることに気付く。
片腕だけでバイクにまたがり逃げるフュリオサは、なんとかジョーのいるシタデルにたどり着き、次はここが狙われると報告。
そして40日間に及ぶ、ジョーとディメンタスの激しい戦争が勃発していく。
母を殺された憎しみを怒りに変え、ディメンタスへの復讐を誓うフュリオサ。
果たして彼女はこの狂気の地獄から希望である故郷へ帰還できるのか。
・・・というのがザックリしたあらすじです。
そこはやっぱりスピンオフ。
今回IMAX試写に参加して観賞する予定だったのですが、観賞中体調不良に見舞われ途中退席。
公開初日にしっかり見届けるという「1.5回目」の観賞をしてまいりましたw
音はバリバリ重低音が鳴るのですが画角自体は通常のフォーマットだったため、無理してIMAXで見る必要はないことが、この1.5回の観賞で判明しました。
映像に関しても、正直「怒りのデス・ロード」と比べるとCGの荒さが目立つため、没頭したいのに気になってしまうんですよね。
だから無理して大画面でなくても問題ないかと思います。
さてさて本作の中身についてあれこれ感想を述べたいと思いますが、事前に「怒りのデス・ロード」を見ておいたこともあって、緑の地がどんな場所だったかや、母の存在、鉄馬の女たちの底知れぬ強さや部族の掟、おでこをくっつけあわせる祈りなど、前作では詳しく説明されなかった部分が徐々に浮き彫りになっていく序盤でしたね。
特に緑の地に関しては、あんなに砂漠で覆われていたにもかかわらず、しっかり生活できる環境になってるほど豊かな大地で、そりゃフュリオサの体も健康体だし歯だってちゃんと生え揃ってるよなぁと。
怒りのデス・ロードでは環境汚染によって荒れ地となってしまってましたから、フュリオサが落胆するのもうなずける変わりようだったことが、本作で感じられると思います。
物語の中身に関しては、母を殺され故郷へ帰れなくなったフュリオサが、狂気に満ちた世界で怒りと悲しみを背負いながら、内に秘めた狂気を表面化しながら希望を見出していく構成にになってました。
よってあくまでフュリオサが憎しみを抱く対象は、本作ではジョーではなくディメンタスなんですよね。
とにかく奴に復讐したい思いで、ジョーの側に付き、生きる術をジャックから学びながら成長し、時に脱走を試みるも、色々なきっかけによって復讐の機会を伺う。
最後は、ジョーの妻たちを引き連れ脱走をする姿が映し出され、あの「怒りのデス・ロード」の始まりへと繋がっていく、というものでした。
しかし個人的に疑問だったのは、本作の中で「ジョーへの憎しみ」はほとんど描かれていないため、果たしてこれを「前日譚」として受け入れていいモノなのかどうかということ。
確かに「怒りのデス・ロード」でしか知らなかった彼女が如何にしてあの姿になっていくのかに関しては見物だったわけで、どうして片腕だけ機械なのかや、故郷がどんな場所だったのか、母の存在や同志たちの姿や、髪を坊主にした理由なんかもしれて良かったんですけど、「シタデルを抜け出す」きっかけや「ジョーへの怒り」が沸きだすきっかけは映し出されてないんですよね。
俺はぶっちゃけそこが一番興味があったので、正直新たにディメンタスのようなキャラを登場させるよりも、普通にシタデルでのし上がりながら何度も脱出を試みる姿の方が見たかったんですよね。
まぁスピンオフなので肉付けは必要ですし、あの世界観を再び我々に堪能させながら不屈の戦士を拝ませてくれることは嬉しかったですけど。
しかしディメンタスが正直あまり魅力的ではないというか。
クリヘム自体がキャラ負けしてるようにも思えて仕方ありませんでしたね。
確かに憎たらしいキャラクターではありました。
平気で人を弄ぶし、部下の命を何とも思ってない。
とにかくその場しのぎで計画的なアイディアを持ち合わせていない性格で、実際ガスタウンをまともに統治できない、頭の悪さなんかもうかがえる。
それでもその場を凌ぐための画期的なアイディアも持ってるもんだから侮れない。
それだけ修羅場を潜り抜けて集団を統率できる風格をつけてきたんでしょうね。
しかしイモータン・ジョーほどのインパクトを残すような悪のようにも見えないし、ずっと抱えてるぬいぐるみがそうさせないし、とにかく喋るのがどうも「絶対的悪」になりきれてないというか。
終盤でのフュリオサとの一騎打ちでは、ベラベラしゃべる口でフュリオサをイラつかせるんですけど、正直一番キャラ的に魅力的だったのはそこくらいで、あとはなんかソーの二番煎じ的な姿にしか見えないというか。
アニャに関しては第3章から登場するので、もっと早くから登場してほしかったという気持ちが強くあるんですけど、それでもあの大きな瞳で睨みつける姿は映画女優ならではの迫力でしたし、立ち振る舞いも小柄で華奢ながら背中がものすごく大きく見えるオーラがビンビン伝わってきましたね。
そういう意味では適役ではありました。
全体的にはド派手なカーアクションもしっかり用意されていてV8!V8!って気分にはなるんですけど、前作のように必然的なモノとはあまり思えないところでアクション始めちゃうもんだから、映画自体を盛り上げるための部分て感じが大きく思えました。
前作ってもういきなりカーアクションで世界観を突きつけるもんだから、そこから話がトーンダウンしても熱が冷めないんですよね。
でも今回は順を追ってフュリオサの物語を描くから、前作よりも説明が多いしセリフも多く、アクションが必要でない場面でアクションシーンが入ったり、今そのやり取り要る?って所でやり取りが入るから、単純に気持ちを高めさせてくれるような展開になってない気がして。
どうもその辺のバランスが悪い上に150分もあるから、出来が良くないように思えちゃうんですよね。
僕なら最初の2章分をもっと縮めて、3~最終章を分厚くしますけどね。
そうすれば、物語の序盤でジャックが運転するトラックが襲われる所で気分が高まるし、普段のマッドマックスのように背景をサラッとまとめることでフュリオサのキャラをマックスにも似たような寡黙ながらも怒りを秘めた女性として映し出せるような気がするんですよね。
とはいえマックスと差別化して描かなきゃいけないだろうし、あくまでフュリオサの半生や過去を描く物語だから、これくらいの説明や台詞のやり取りは必要だったんでしょうけど、もっと全体的に縮めても良かったと思うんだよなぁ。
最後に
色々ウジウジ言いましたけど、エンドロールでは「怒りのデス・ロード」へと繋がる伏線、そして映像が加わることで、今すぐにでも「怒りのデス・ロード」が見てえ!!って気分になります。
これから飲み会なんだけど、景気づけに一人で一杯ひっかけとくか、そんな感じで見ると最高かもしれませんw
そういや左腕を失ったフュリオサが瀕死の状態で砂漠を歩く姿を、崖の上からマックスが見下ろすシーンがありましたね。
絡み自体はもちろんなかったですけど、マックスってあの頃からあの辺をうろついてたのかと思うと、それまで一体どこで何をしてたんだろうという気持ちが膨らみますね。
やはり俺はマッドマックスのマックスの次の旅路が見たいので、今回のようなスピンオフは正直あまり受け入れられないんですけど、これ見たおかげで「怒りのデス・ロード」が如何に素晴らしい作品かってのが、物語的にも作品の出来としても強まったものになりました。
あとあれだ、ジョーの部下として前作で登場していた医者、あいつそもそもディメンタスの部下だったんですね。
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10