モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

実写映画「ゴールデンカムイ」感想ネタバレあり解説 序章過ぎて内容が薄いので続編に期待。

ゴールデンカムイ

ここ最近のコミックに相当疎い私ですが、実写化映画となれば見ないわけにはいかない。

 

原作未読の状態で観賞すると、キャラと俳優が合ってないとか、あのエピソードや名シーン、名台詞がないとか原作ファンが言いそうな不満を避けることができるし、何より「映画」として「映像作品」として質の高い作品になってるかどうかを見極めることができるわけで、そういう面に楽しみを抱いてるのか、敢えて「原作漫画を読まない」ことを肌感覚でやってるのかもしれません。

 

何よりも「話題作」であることに変わりはなく、20年以上前から定期的に製作される「コミック実写化」の歴史をリアルタイムで追うことができるのは、現代を生きる特権でもあるのかなと。

 

今回観賞する映画は、そんなコミック実写化映画。

なんでも明治初期の北海道を舞台に金塊を争奪するサバイバルアクションということで、非常に映画に相応しい題材じゃないかと。

アクションも非常に凝ってるように見えるし、これは映画映えしそうな予感。

 

早速観賞してまいりました!!

 

 

作品情報

2014年8月から集英社「週刊ヤングジャンプ」にて連載され、全31巻で累計2,700万部突破した、野田サトルによる超大ヒットコミックを、『HiGH&LOW』シリーズで大迫力の肉弾戦バトルアクションの演出を見せた久保茂昭監督の手によって実写映画化。

 

北の大地を舞台に、莫大なアイヌの埋蔵金を巡る一攫千金ミステリーと、厳しい北海道の大自然の中で、一癖も二癖もある魅力的なキャラクターたちによって繰り広げられる、埋蔵金争奪の冒険サバイバル・バトルアクション。

 

実写化は不可能とされてきた本作を、あの『キングダム』シリーズを手掛けるCREDEUSが制作し、脚本と音楽は同じく『キングダム』シリーズの黒岩勉やまだ豊が担当。

激しいアクション描写が高い評価を得た監督と、物語に定評のある脚本家らによって、一大エンタテインメントとして完成させた。

 

主演には、「キングダム」をはじめ数多くの実写化映画で主人公を務めた山崎賢人

歳を重ねるごとに成熟していく彼の「キャラクター力」は本作でも健在。

観る者の心をしっかりつかんで離さない。

 

その他にも、「名も無き世界のエンドロール」や「哀愁しんでれら」の山田杏奈、「沈黙の艦隊」の玉木宏、「東京リベンジャーズ」の眞栄田郷敦、「ちはやふる」の矢本悠馬、そして「鋼の錬金術師」や「ヤクザと家族」の舘ひろしといった豪華布陣で送る。

 

実写化プロジェクトにふさわしい超豪華キャスト・スタッフが一同に会し、美術・衣装・小道具・メイク・VFX・・・細部にまで徹底的にこだわったほか、北海道をはじめとした大自然が残る日本各地で大規模なロケ撮影を敢行した本作。

 

三つ巴の埋蔵金強奪を描いたサバイバル・バトルが、今、始まる!!

 

 

映画「ゴールデンカムイ」オリジナル・サウンドトラック

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あらすじ

 

舞台は気高き北の大地・北海道、時代は、激動の明治末期―。

 

日露戦争においてもっとも過酷な戦場となった二〇三高地をはじめ、その鬼神のごとき戦いぶりに「不死身の杉元」と異名を付けられた元軍人・杉元佐一(山崎賢人)は、ある目的のために大金を手に入れるべく、北海道で砂金採りに明け暮れていた。 

 

そこで杉元は、アイヌ民族から強奪された莫大な金塊の存在を知る。

金塊を奪った男「のっぺら坊」は、捕まる直前に金塊をとある場所に隠し、そのありかを記した刺青を24人の囚人の身体に彫り、彼らを脱獄させた。

囚人の刺青は全員で一つの暗号になるという。

 

そんな折、野生のヒグマの襲撃を受けた杉元を、ひとりのアイヌの少女が救う。

「アシㇼパ(山田杏奈)」という名の少女は、金塊を奪った男に父親を殺されていた。

金塊を追う杉元と、父の仇を討ちたいアシㇼパは、行動を共にすることに。

 

同じく金塊を狙うのは、大日本帝国陸軍「第七師団」の鶴見篤四郎中尉(玉木宏)。

日露戦争で命を懸けて戦いながらも報われなかった師団員のため、北海道征服を目論んでおり、金塊をその軍資金代わりに必要としていた。

 

そして、もう一人、戊辰戦争で戦死したとされていた新撰組の「鬼の副長」こと土方歳三(舘ひろし)が脱獄囚の中におり、かつての盟友・永倉新八と合流し、自らの野望実現のため、金塊を追い求めていた。

 

杉元&アシㇼパVS.第七師団VS.土方歳三。
気高き北の大地を舞台に、
三つ巴の埋蔵金争奪!サバイバル・バトルが今、始まる―――!!(HPより抜粋)

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キャラクター紹介

  • 杉元佐一(山崎賢人)…日露戦争での鬼神のごとき戦いぶりから、“不死身の杉元”の異名を持つ元軍人。
  • アシㇼパ(山田杏奈)…自然の中で生きるための豊富な知識を持ち、北海道の過酷な大地で生きるアイヌの少女。

 

  • 尾形百乃助(眞栄田郷敦)…大日本帝国陸軍第七師団上等兵。兵士として卓越した才を持つ、凄腕のスナイパー。
  • 白石由竹(矢本悠馬)…〝脱獄王〟の異名を持つ天才脱獄犯。
  • 月島基(工藤阿須加)…大日本帝国陸軍第七師団軍曹。同部隊上司である鶴見中尉の側近。
  • 二階堂 浩平/洋平(柳俊太郎)…大日本帝国陸軍第七師団一等卒。外見のみでなく挙動や性格まで似通っている双子の軍人。
  • 谷垣 源次郎(大谷亮平)…大日本帝国陸軍第七師団一等卒。東北マタギの生まれで、山で生きる術を身に付けている。

 

  • 牛山 辰馬(勝矢)…「不敗の牛山」と呼ばれる柔道の達人。大柄で強靭な肉体と石のように硬い頭を持つ。
  • 永倉 新八(木場勝己)…元・新撰組二番隊隊長で"新撰組最強の剣士"と呼ばれた剣の達人。
  • 後藤 竹千代(マキタスポーツ)…北海道に砂金を探しに来た杉元に、アイヌの金塊の話をする男。
  • フチ(大方斐紗子)…アシㇼパの祖母で、アシㇼパを大切に思い、幸せを願っている。アイヌの古い教えを大切にしながら日々を生きている。
  • 大叔父(秋辺デボ)…アシㇼパの大叔父。アシㇼパの幸せを願っている。
  • 寅次(泉澤祐希)…杉元と梅子の幼なじみ。杉元と同じく二〇三高地へ出兵する。
  • 梅子(高畑充希)…杉元と寅次の幼なじみ…

 

  • 鶴見 篤四郎(玉木宏)…大日本帝国陸軍第七師団中尉。情報収集や分析能力に長ける情報将校。日露戦争で前頭部を損傷し、プロテクターで保護している。
  • 土方歳三(舘ひろし)…戊辰戦争で戦死したとされていたが、政治犯として幽閉され、生きながらえていた元新撰組・鬼の副長。

(以上HPより)

 

 

 

 

 

 

 

 

キングダム同様、続編またはシリーズものとして狙っていそうな本作。

その第1章というなのでしょう。面白いもん見せてほしいですね。

ここから観賞後の感想です!!

 

 

感想

よく出来てる実写化映画、それ以上で楽しめる所はそれほど。

幾ら原作がそうだからってキャラ出し過ぎなんだよなぁ、杉本とアシリパのやりとりが霞んじゃうんだよ。

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

良く出来てますよホント。

二百三高地で生き延びたことから「不死身の杉元」なる異名を与えられた主人公と、アイヌ民族の知恵と誇りを兼ね備えたアシリパが、金塊が眠る場所を体に掘られた脱獄死刑囚らを探す旅を描いた序章。

 

観賞前から薄々勘付いていたものの、24人もの脱獄死刑囚が全員登場するはずもなければ、刺青の皮を回収できるはずもなく。

また、第七師団と土方率いる新選組の残党らによる派閥との三つ巴による争いも、本編ではキャラクターの自己紹介程度で、続編を意識した構成の物語でありました。

 

物語の内容は、杉元とアシリパが「利害関係」から「真の相棒」へと関係性を構築していくエピソードを軸に、二百三高地によってバケモノと化した鶴見の凶暴性、24人の脱獄囚の中にまさか「新選組最後の男」が生存していたこと、アイヌの仕来りや習わしなどを杉元を通じて知り学ぶというただの娯楽に留まっていない面、その他個性的なサブキャラの見せ場などを盛り込んだ内容でありました。

 

アイヌ語をテロップ表記なしでは到底理解できない一面もあり、そうした部分が「映画」としてのノイズになってしまうことも見え隠れしてしまうものの、そこは脚本の段階で「一度アイヌ語で喋り、アイヌ語を知らない杉元に説明する」というやり方で解決する施しもあり、いやな意味での説明台詞になってないのも好印象でしたね。

 

テロップ表記に関して言えば、金塊の当時の価値が今と違うというところもしっかり補足説明として表記されてるので、近代日本史に疎い人でも「なるほど」となれる優しさがありましたね。

 

 

しかし、ここ数年の実写化映画、非常にクオリティが高いです。

一時期の実写化映画はホントにひどいモノばかりでしたが、しっかり原作ファンにも納得でき、尚且つ映画ファンをも唸らす作品が、近年増えてきたと思うんです。

 

それもきっと「ネットフリックス」の影響が大きいのだと個人的に思います。

潤沢な予算と長期の撮影、そしてVFXなど、実写化するにあたっての再現度と解像度の高さは、明らかにそれまでの実写映画への挑発とも言うべきクオリティで、尚且つ国内のドラマや映画にも進出してきたわけで、日本の映画業界もそこに劣ってはいけないのだと意識していたと思うんですよ。

 

視聴者及び映画ファンの目はだいぶ肥えてきたのだから、下手なモノはもう作れないと。

そういったレベルの押上げがこうした実写化映画のクオリティを高めたと言っても過言ではないと思います。

 

「実写化俳優」と揶揄されてきた山崎賢人ですら芝居のレベルが上がってる、というか、セリフが自分のモノになってる、言わされてるように感じなかったのは、「キングダム」でも感じたように本作でも仕上がってた印象です。

 

また風景や背景、美術面に関しても目を見張るものがあり、明治初期の小樽の街並も、しっかり当時を意識してたろうし、何よりちゃんと多数のエキストラが街に溶け込んでて、街としての活気がにじみ出てるではありませんか。

 

こういう描写はホントに大事なんだよなと改めて気づいたのであります。

 

物語の内容について

さて、具体的に中身について触れていこうと思いますが、まずは何といっても語りたいのが、冒頭の「二百三高地」戦。

ハイローの久保監督だけあって、狭い場所でのパルクール的なアクションを疑似ワンカットで見せていくシーンは非常にカッコよく、そこに唐突に血が流れ出るバイオレンス感も抑えてるから素晴らしい。

 

また歩兵を盾にして突き進んでいくしかなかった戦法をしっかり空撮で捉えたり、砲撃によって立ち込める煙、その中から突進していく杉元ら軍隊の狂気じみた光景は、正に戦争映画のそれだったなと。

決して生きて帰ることは不可能と言われたあの戦争の生々しさと、実写活劇としてのフィクショナルな部分が見事に混ざった素晴らしい冒頭でした。

 

個人的には、映画「二百三高地」での凄まじい戦争描写に震えた身。

あれを越える悲惨さはなかったものの、今という時代で製作するにおいて良くここまで表現できたなと感心しました。

できることならば、杉元がどうやってあの戦地で無双できるまでに至ったのか、そこだけをくり抜いて映画化してくれねえかなと思うほど、あのシーンは心緒を掴まされましたね。

絶対生きて帰るという男の飽くなき精神力を、山崎賢人は見事に体現してくれたと思います。

 

しかし僕のピークは冒頭だけになってしまったというのが正直な所。

原作未読故物語を追うことだけが観賞の焦点になってしまったので、この冒頭のシーンを越えるアクションシーン、いわゆる「視覚で楽しませる」シーンはあまりなかったように思えます。

 

上でも書いた通り、金塊の在り処を巡る三つ巴の戦いは続編以降に描かれるわけで、そこに至るまでの過程をメインだったこともあり、非常に残念でした。

 

そうなることは仕方ないとして、だったらもっと杉元とアシリパのやりとりを、「相方なしでは強奪は成し得ない」ような関係性に持っていてほしかったところ。

 

アイヌの言葉や習わしを教わりながらそれに倣っていく杉元を見て、明らかにアシリパに歩み寄っていく杉元の優しさが垣間見えていくのが印象的でしたが、逆に杉元でなければ絶対に親の敵討ちは達成できないと思わせてくれるようなアシリパの杉元への歩み寄り方が乏しかったように思えます。

 

それこそ一度アシリパの故郷へ帰るシーンで、杉元は親族からの話を聞いてひとり立ち去り、彼がいないことを知ったアシリパは、彼を追いかけに出ていく流れになってます。

そうならざるを得ない確たる理由が、正直自分には見えてきませんでした。

もちろん父に重ねたとか、大きなオオカミのレタラに重ねるとか、アシリパにとって必要不可欠な存在のように見せられたのに、どうも映像で見る限り「これだ」という部分が見えてこない。

 

初めて気を許した和人以上のモノが見えてこなかったんですよね。

 

要は主人公とバディを組んでいく以上、ただの利害関係から互いが歩み寄っていく気を許していく、そしてなくてはならない存在へと構築していく構成になってないというか。

正直サブキャラをじっくり描く事よりも、この2人がどうやって相棒として今後付き合っていくかを、もっと面白く描いた方が大事だったように思えます。

 

途中描かれるコミカルなシーンも決して必要とも思えず、ノイズになっていた印象を受けました。

しかも笑わせようとするようなテンポになってなくて、音楽に頼ってるようにもみえ、そこに巧さは感じなかったなぁと。

 

 

あとはもう何度も言ってますが、もっと「金塊強奪への道」を描いてほしかったと。

いわばこれってトレジャーハンティング的な要素を含んだ映画で、もっとお宝に近づいてくれないと面白みを感じないわけですよ。

例えば、数人の死刑囚の皮を剥いで、一旦どういう地図になってるのか確認してみるとか、宝探しにおけるヒントのようなものが全くなくて、全然物語が先に進んでないじゃないか、寧ろそっちよりもライバル同士がそれを忘れていがみ合ってるだけの内容になってやしないかと、色々「最優先」すべきものを描いてないわけですよ。

 

あくまでセリフとして「とんでもねえ金額」だとか「国を作れるレベルだぞ」とか言われても、誰もそこに少しでも近づこうしてない内容なわけで。

せめて24人のうちの半分くらいを、誰がどのくらい獲得してるかみたいな勢力図を映像として見せてほしいですよね。

実際第七師団はいくつ持ってるかよくわからんし、土方勢も牛山と手を組んだことと前もって土方が持っていた分だけで、数字的にどれくらいなのかよくわからない。

 

幾ら序章といっても不親切な部分が多くありゃしませんかと言いたくなるのも仕方ないというか。

 

 

最後に

あくまで原作未読の野郎が書いた戯言なので大目に見てほしいんですが、未読だからこそ見えてくる部分があるわけで、そこは「映画」にするのだから原作に忠実にえがくのではなく、もっと改変してもいいのではという、長年言い続けてきた意見として受け取っていただければと思います。

 

一方で、原作ファンが楽しめるくらい再現度の高い作品なのだろうということは重々承知しております。

それだけ製作陣の気合いが入ってるというのは、見ていて感じましたから。

 

コスプレ感も薄れてましたし、なによりフィルムの質感が素晴らしい。

雪山メインな殺風景を、どうやって観客に集中力を持続させるような内容にできるか。

そこにはエピソード的なシーンもあるけれど、それ以外の工夫もしっかり施されてるわけです。

 

ざらつきをつける箇所もあれば、思いっきりデジタルな解像度で雪の美しさも見せる。

特にバトルシーンでは合成感があったけれど、巧く見せていたし。

 

なによりバトル以外の描写にもこだわりがありましたね。

狩った動物でこしらえた鍋のうまそうなこと。

クマの肉も馬の肉もリスの肉も、恐らく臭みが強くて俺には食えそうにないんだけど、それでも「うまそう」と思わせる立ち込める湯気具合と演者のリアクション。

こういうのはホント大事ですよ。

 

だからこそ続編はもっと中身を濃くしたトレジャーハンティング的サバイバルバトルにしてほしいなと。

どっちかがどっちかを出し抜くような描写とかさ。

 

まぁ原作に忠実に描くと思うので個人的な期待はできませんが、次回作もしっかり見届けたいと思います。

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10