モンキー的映画のススメ

モンキー的映画のススメ

主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「ブルーきみは大丈夫」感想ネタバレあり解説 もう一度イマジナリーフレンドに会いたい。

ブルー きみは大丈夫

ジョン・クラシンスキーと言えば、「ジャック・ライアン」シリーズや「13時間」のようなアクション映画俳優のイメージを持ってますが、「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」でミスター・ファンタスティック役で登場したり、それこそ「クワイエット・プレイス」では監督デビューを果たし、まるでお手本のような巧い演出と構成を見せるなど、ここ数年で一気に頭角を現した俳優・監督だと思います。

 

なので、「クワイエット・プレイス」の前日譚である「DAY1」も監督を務めるだろうと思っていたんですが、どうやら家族を優先するとかなんかで降板しちゃったんですね~。

是非彼の作品でクワイエット・プレイスを見たかったんですが、そんな彼がそれをやめてまで作った映画が今回鑑賞する作品。

 

なんでも「イマジナリーフレンド」を題材にしたお話とのこと。

近年では「ジョジョ・ラビット」や「マリグナント」といった作品で扱われたり、日本では「屋根裏のラジャー」というアニメ映画もありました。

 

イマジナリーフレンドって子供にしか見えない架空の友達の事を指すけど、それが大人の俺にどうぶっ刺さるのか、今から楽しみです。

早速鑑賞してまいりました!!

 

 

作品情報

クワイエット・プレイス」シリーズを大ヒットに収めたジョン・クラシンスキーが次に手掛けるのは、子どもたちが成長して空想することをやめたとき、イマジナリー・フレンド(空想上の友だち)たちはどうなるのかを、実写とアニメーションの混在で描いた、子どもたちやかつて子どもだった大人たちに向けたファンタジー映画。

 

大人になることでもうすぐ消えてしまう「IF(イマジナリーフレンド)」たちを救うため、IFが見える少女と、大人になってもIFが見える少女の隣人が冒険を繰り広げていく姿をハートフルに描く。

 

妻で女優のエミリー・ブラントとの間に2児を授かった監督。

大ヒット作「クワイエット・プレイス」を製作しつつ、7年も前から本作を構想していたそう。

 

そんな本作で主演の少女を演じるのは、ケイリー・フレミング

ドラマシリーズ「ウォーキング・デッド」にレギュラー出演していた彼女が映画で初主演を務めた。

他にも、唯一イマジナリーフレンドが見える大人役に、「デッドプール」シリーズや「フリー・ガイ」でお馴染みライアン・レイノルズ

また多数登場するイマジナリーフレンドの声の担当を、「LIFE!」、「バイス」のスティーブ・カレル、「オッペンハイマー」、「AIR/エア」のマット・・デイモン、監督の妻でありライアン・ゴズリングとの共演が話題の「フォール・ガイ」の公開が控えるエミリー・ブラント、「リトルマーメイド」や「シャンチー」のオークワフィナ、「アーガイル」のサム・ロックウェル他、豪華声優陣が出演。

 

全米で初週1位を獲得し評価も高いとされる本作。

もしあなたが生み出したイマジナリーフレンドが、実はまだ存在していたら。

そんなIFが私たちにどんな感動をもたらすのか。

 

 

 

あらすじ

 

幼い頃に母親を亡くした13歳の少女ビー(ケイリー・フレミング)は、ある日、おばあちゃんの家で、子供にしか見えない不思議な“もふもふ”ブルー(CV:スティーブ・カレル)と出会う。

 

ブルーが友達だった子供は、今は大人になり彼の事を忘れてしまい、居場所が無くなったブルーは、もうすぐ消えてしまう運命に。

 

少女は、大人だけどブルーが見える隣人の男(ライアン・レイノルズ)の力を借り、ブルーの新しいパートナーになってくれる子供を探すのだった。(HPより抜粋)

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キャラクター紹介

  • ビー(ケイリー・フレミング)・・・ブルーたちの姿が見える少女。ブルーと出会い、彼を謎のもふもふ扱いする。ブルーから、イマジナリーフレンドたちの新しい友達になってくれる子供候補を探してほしいとお願いされる。幼いころに母親を亡くしたビーは突如現れた大きな謎のもふもふに最初は戸惑いを見せるが、子供たちに忘れられその存在が消えてしまう運命にある“空想の友達”を救う決心をする。
  • カル(ライアン・レイノルズ)・・・ビーの隣人で、大人だけどブルーたちの姿が見える人物。ビーと共に、消えゆくブルーたちを助けるための冒険に出る。

 

  • ブルー(スティーヴ・カレル)・・・巨大な紫色の生物。子供にしか見えない不思議なIF。
  • ブロッサム(フィービー・ウォーラー=ブリッジ)・・・人形のテントウムシのIF。
  • ルイス(ルイス・ゴセット・ジュニア)・・・老いたクマのIF。
  • ユニ(エミリー・ブラント)・・・ユニコーンのIF。
  • サニー(マット・デイモン)・・・頭が花の人型のIF。
  • アリー(マーヤ・ルドルフ)・・・紫色のワニのIF。
  • ロボット(ジョン・スチュワート)・・・ロボットのIF。
  • スーパードッグ(サム・ロックウェル)・・・スーパーヒーローのようにマントとサングラスを着用したイヌのIF。
  • マジシャン・マウス(セバスティアン・マニスカルコ)・・・マジシャンのネズミのIF。
  • コスモ(クリストファー・メローニ)・・・探偵のIF。
  • 美術教師(リチャード・ジェンキンス)・・・木の人形のIF。
  • オクト・キャット(ブレイク・ライヴリー)・・・タコ型の着ぐるみをきたネコのIF。
  • 石けんバブル(オークワフィナ)・・・シャボン玉のIF。
  • マシュマロウ(ジョン・クラシンスキー)・・・頭が燃えているマシュマロのIF。
  • スライムボール(キーガン=マイケル・キー)・・・緑色のスライムのIF。
  • ガミー・ベア(エイミー・シューマー)・・・赤色のグミでできたクマのIF。
  • アイス(ブラッドリー・クーパー)・・・氷と水の入ったグラスのIF。
  • アンドロメダス3世(マシュー・リス)・・・頭に王冠を載せたゴーストのIF。
  • スペースマン(ジョージ・クルーニー)・・・宇宙飛行士のIF。
  • バナナ(ビル・ヘイダー)・・・バナナのIF)

(以上ウィキペディアより抜粋)

 

 

 

 

 

 

 

僕自身イマジナリーフレンドに関する記憶がないんですが、そんな僕でも刺さるのでしょうか。

ここから観賞後の感想です!!

 

 

感想

想像上の友達を巡って描く12歳の女の子のハートフルな物語。

そう、僕らが子供の頃たくさん「創造」していたんだ。

少々タイトル詐欺ですが、ラストシーンは泣けます・・・。

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

ざっくをりあらすじ。

ビデオカメラを回すビーの母親の姿。

そこには夢中で絵を描いたり、マジックを使って家族を笑わせたり、親子そろってハロウィンの仮装をしたり、ティナ・ターナーの音楽に合わせて踊るビーと良心の姿が映し出される。

 

その映像の中には、徐々に病床へと移り髪の毛を丸めていく母親の姿も映っており、ビーの母親が幼くしてこの世を去っていくことを連想させるオープニング。

 

12歳になったビーは、そんな子供時代の思い出が詰まった祖母の家に世話になる。

理由は、母親が入院していた病院で、父親が心臓の手術をするためだ。

長い階段を上り部屋に入るビー。

かつて使っていた部屋には絵具や筆が机に並んでいた。

 

もう子供じゃない、そう祖母に微笑みながら伝えるビー。祖母は「そうね、もう絵は描かないか」と棚にしまうのだった。

 

父が入院する病院へ向かうと、隣の部屋で入院する少年と出会う。

右足やお尻、左腕などを汚しており、TVが故障したためチェスに没頭していた。

彼はビーと仲良くなっていく。

 

そして父のいる病室に入ると、父が寸劇を始める。

点滴と伸縮性の管を使って踊り始めたのだ。

冒頭のビデオカメラの映像からは、とにかく父が娘を喜ばせたい一心で芸を披露している姿が映っており、それは今でも変わっていない様子だ。

ビーは表向きには笑っているモノの、やはり祖母にも行ったことと同じく「私はもう子供じゃない」と言い放つ。

 

夜中、部屋で祖母と映画「ハーヴェイ」(空想上の友達であるウサギの妖精と男性の物語)を見ていると、部屋の奥から物音が聞こえる気がしたビー。

やがて物置から子供の頃使っていたビデオカメラを発見し、充電器を買いに外へ出ることに。

画面上ではビーを尾行する怪しい影。

 

やがてマンションの入り口で怪しい影を見つけたビーは、長い階段を最上階まで登っていく怪しい影をひたすら追いかけていく。

ドアの向こうから誰かと話している声が聞こえ、恐る恐る鍵穴からのぞくビーだったが、部屋の中の男性と目が合ってしまう。

ビーはさっき入っていった子に挨拶したいと告げるも、男性は「誰もいない」の一点張りで追い返されてしまう。

 

次の日の病院からの帰りの夜、上の階に住む男性が怪しい生き物と歩いている姿を目撃。

尾行すると男性がマンションの2階へ侵入していく。

 

スヤスヤと眠る子供を起こさないよう忍び足で部屋の奥へと進む男性。

クローゼットの奥から紫色の大きな生き物が現れたのだった。

彼の名はブルー。

想像上の生き物だったが、生み出した男の子は成長して見えなくなってしまったことで、新しい相手を独自で探していたのだった。

しかし男性からの聴取ではどうもうまくいってない様子。

急いで連れて帰ろうとするも、ブルーの大きなくしゃみで子供が目を覚ましてしまう。

 

間一髪でバレずに抜け出せたものの、ビーに一部始終を見られてしまった男性。

しかも目の前に別の生き物「ブロッサム」が現れたことで、ビーは気絶してしまう。

 

男性の部屋で目を覚ましたビーは、ブルーとブロッサムから詳しい事情を聞くことに。

彼らは「IF」いわゆる子供たちが生み出した空想上の友達であり、既に子供から見えなくなってしまっている存在であることを話す。

そして同じような友達がたくさんおり、彼らに新しい子供の友達をマッチングするための手伝いをしているとのことだった。

 

このままではずっと忘れられたままの存在であることを危惧した男性カルは、彼らを先導して仲介を行っていたのだった。

なぜ自分だけIFが見えるのか不思議でしょうがないビーだったが、彼らの事情を聞いて手伝うことを決心する。

 

カルはビーをコニーアイランドの地下空間に連れていく。

するとそこは「思い出ホーム」と名付けられたIFたちの介護施設のような場所だった。

様々なIF達に驚くビーは、足を止めてしまうほど見入ってしまうため中々目的の場所へ進めない。

そしてようやくたどり着いた場所は、このホームに長く居座るテディベアだった。

彼からIFたちの世話を任されたビーは、目を瞑って自分が創造する世界を作り出していく。

 

カルはその変わり様に戸惑い翻弄していく。

床はチェス盤のような床へと変わり、さっきまでなかったプールが作られ、中では50年代ミュージカルのような水中ダンスが行われている。

水中へと落とされたカルだったが、プールの底へ行くと今度は海にワープしており、さらには道中飾ってあった「海辺の絵」の中から出てくることに。

美術教師の絵画教室を荒らしながら移動すると、今度はIFやビーたちとショーを行う羽目に。

 

全てはビーが生み出した世界。

これで彼女は見事にカルと同様の立ち位置で、IF達の世話をすることになっていく。

 

IFと面接を行い、彼らの特性や性格、ルックスをスケッチブックに書いていくビー。

その資料を基に、まずは父の病室の隣で入院していた少年とIFをマッチングすることに。

しかし少年はIFが全く見えないのであった。

 

いきなり壁にぶつかってしまったビーだったが、祖母の写真を見てひらめく。

なんとブロッサムは祖母のIFだったことが判明したのだった。

バレリーナを夢見ていた祖母は、背が大きくなってしまったことなどを理由に挫折してしまった話を聞いていたビーは、古いレコードをこっそりかけ祖母に再び踊らせるのだった。

それを見たブロッサムの胸が光り出し、祖母は再びIFと再会することに成功する。

 

これまで「新しい子供たちとマッチングさせる」ことばかり考えていたが、本来やるべきことは創造主であるかつての子供たち=大人に思い出してもらうことだった。

 

やがてスパイキャラのコスモによって入手した極秘資料を基に、IFたちを生み出した人の元へと連れていくビー。

果たしてブルーやその他のIFたちは、居場所を取り戻すことができるのだろうか。

そしてビーやカルは、これらを経て何を得るのだろうか。

 

・・・というのがあらすじです。

 

タイトル詐欺ではあるけど泣けるわ。

邦題は「ブルー きみは大丈夫」というものですが、実際はビーが子供であることを自覚しながらも成長を遂げてくスタイルの物語であり、バディとなるカルと共に「新たな子供とのマッチング」をするのではなく、元いた場所に戻す、あるいはIFを忘れていた大人たちが彼らと再会するお手伝いをするという話。

 

それらによって、かつて子どもたちだった大人は「創造する」ことを失っていることを気付かせ、自分を物語る発端となった彼らを引き合わせることで大きな喜びを得ていくというものでした。

 

よってブルー自体が何かを探す旅ではなく、ブルーはあくまでIFの代表的な存在であり、彼だけではない全てのIFにもスポットが当てられ、皆が居場所を取り戻していくというものでした。

 

原題は「IF」というものですが、これは「もしも」のIFではなく、イマジナリーフレンドの略称であることが想像できます。

そうやって見ていくと、本作の本質が見えてくるのではないでしょうか。

 

 

個人的に本作が素晴らしいのは、ジョン・クラシンスキー監督の手腕です。

まだ2作しか手掛けてない彼が、過去作とは全く違うジャンルに挑んでいる点で既にすごいことですが、教科書通りマニュアル通りとも言える、「ハリウッド映画でよく見かける演出や構成」をしっかり踏襲している点は見事だと思います。

 

それこそ冒頭でのビデオカメラの風景は、母の死を直接悲哀的に見せるのではなく、あくまで「思い出としての一側面」として映し出しており、基本全体的には「親子の仲睦まじい描写」に留めていること。

それによって悲観的に入ることなく物語を見られるので、非常に巧い描写だと思いました。

 

また、中盤描かれる「思い出ホーム改装」シーンは、あまりのシーンの移り変わりに戸惑いを感じるも、ダンスや歌などエンタメ要素をしっかり押さえながら、ビーが生まれ持ったであろう創造性を映像を通して伝えており、さらにはライアン・レイノルズの見事なリアクションによって、とにかく楽しいシーンとして映し出されております。

 

そしてブルーが創造主であるジェレミーと再会するシーンは涙ものです。

コーヒーとクロワッサンが好きなブルーでしたが、それは創造主が好きだったから。

まず面接の前で緊張しているジェレミーの横に座り、少し遠くから箱から出したクロワッサンでジェレミーの気を引き寄せ、徐々に「ブルー」の存在を思い出させていく。

その計画は失敗に終わりますが、いざ面接をする際、ブルーが肩を置くことでブルートの記憶を取り戻し、緊張を解していくという流れを、順序よく見せている運びは感心しました。

 

ブルーもジェレミーもここぞという時で失敗するという性格を、ここでしっかり回収し、二人の意思が疎通した瞬間に克服していく、それが如何にIFにとって創造した人にとって大切なモノなのかを伝えるシーンだったのではないでしょうか。

 

 

そんな光景を一気にダイジェストで見せていくラストシーンは、さらに涙を増幅させていきます。

劇中に登場したモブキャラが、実はあのIFの創造主だったことの驚きもそうですが、彼らの記憶を取り戻し涙を流す彼らを見て、ついついもらい泣きしてしまいます。

 

そしてそれが最大級に訪れるのが、ビーとカルの存在です。

カルは実はビーのIFだったことが明かされます。

他のIFはCGで出来たキャラですが、ライアン・レイノルズ演じるカルは生身の人間であったことから、ミスリードを誘うキャラだったわけです。

それに気づいたものの、いざ部屋を訪れるとそこはただの物置部屋と化しており、誰も住んでないことを知るビー。

 

しかし、思い出ホームを改装した時のように目を閉じて想像すれば、再びみんなと出会えることを知り、ビーはカルを抱きしめるのであります。

 

最初こそビーが手伝うことに否定的だったカルでしたが、もしかしたらそれは自分を思い出してもらえてないことへの苛立ちだったのかもしれません。

しかし彼女と冒険を重ねていくことで、もしかしたら思い出してもらえるかもしれない、そんな期待と希望が叶った瞬間が詰まったシーンでした。

 

 

最後に

しかしほんと監督は抜け目のない仕上がりをしてくるなと感心。

最後のシーンでも入院していた少年が、ドラゴンのIFと出会うシーンは色々詰まってましたよね。

彼のけがはジャングルジムによるものだったことや、病室のベッドや棚に飾ってあったドラゴンが映っていたことから、彼の隣に現れるにふさわしいのはドラゴンだったということがわかるシーンだったわけです。

 

他にも子を持つ監督が「子供たちに伝えたい」一心で生み出したオリジナル映画を、ここまでテンポよく構成し、子供が楽しめるような演出や大人もしっかり感動させられる物語に仕上げた点は、非常に好感を持てるし評価に値すると思います。

クワイエットプレイスのヒットがあったからこそ、オリジナル映画を作り出せたわけで、昨今続編やIP映画が多い中、こういう映画を放てる彼を、今後も応援したいと思います。

 

ここにマイケル・ジアッキーノの音楽が凄くマッチしている点もしっかり言わないと。

基本オーケストラで構成された音楽ですけど、そこに電子系の音楽やギターの音色も加わって、壮大なものもあれば、しっとりした音楽、どれも物語を助長する良い寄り添いをした音楽でしたね。

 

しかし、透明なIFのキャラクターボイスをブラッド・ピットがやっているってのをエンドロールで知ったんですが、喋ってねえじゃねえかww

どういうことだwww

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10